お父さんが死んでもお母さんが生活に困らないようにこの遺言書を書きました。

 中島先輩が作成した遺言公正証書は、こんな内容になったそうです。(内容は本コラム末尾に記載)

 そして、証人には倉本しげ先輩ご夫婦がなられました。倉本先輩の遺言公正証書の証人には中島先輩のご夫婦がなられました。苦労した点を深堀事務所でお聴きしてみます。

深堀:
中島先輩。しげ先輩。先日はご馳走様でした。
中島:
楽しかったな。
倉本:
嬉しいお酒はうまいよな。
深堀:
先日は詳しくお聞き出来なかったのですが、公正証書遺言を作成する事で大変だと感じた事はありましたか?
中島:
文章は公証人の青木先生に作成していただいたから苦労する事なんてなかったが、付言というので悩んじゃったよ。

俺の遺言書を作成する時は、相続をする立場なので妻のみゆきは同席出来ないだろう。同じ公証人役場にいるのに相談が出来ない。それなのに青木先生が「付言はなくても良いですが円満相続には重要な部分です」なんて言われるものだからしげちゃんと一緒に考え込んじゃったよ。そうして、出来たのがこの赤い部分。

深堀:
先輩。素晴らしいです。しげ先輩は、どうされたんですか?
倉本:
中島とほぼ同じなんだ。
深堀:
そうですか。この付言を読んだ時にお子さん方はお父さんとの思い出が走馬灯の様に蘇るんでしょう。それで、育てて貰った感謝の心がこみあげてきて、お母さんを大事にしないといけないという事を再確認するのでしょう。

中島先輩、しげ先輩、素晴らしい遺言書が出来て本当に良かったですね。遺言の執行者についても奥様にされたのは賢明ですね。

 先輩方は、遺言公正証書の正本と謄本を貰って帰宅しましたが、お互い夫婦が証人ですから謄本を夫々が持ち合うことになったそうです。そして、原本は公証人役場に保管されていますので、万が一紛失しても何時でも再発行してもらえると聞いて安心されていました。

 つづく(執筆者:岩宗 繁樹)

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——————————以下、遺言公正証書———————————-

平成○○年第○○号
遺言公正証書

本職は後記遺言者の嘱託により後記証人の立ち会いをもって佐の遺言の口述を筆記しこの証書を作成する

1 遺言者は、遺言者の所有する次の不動産を妻、中島みゆき(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
(1)所  在 さいたま市浦和区元町〇丁目
   地  番 〇番
   地  目 宅地
   地  籍 ○○.○○平方メートル
(2)所  在 さいたま市浦和区元町〇丁目
   家屋番号 ○○番
   種  類 居宅
   構  造 軽量鉄骨2階建
   床 面 積 1階 〇〇.○○平方メートル
        2階 〇〇.○○平方メートル
2 遺言者は、遺言者の所有する次の財産を妻、中島みゆきに相続させる。
(1)○○信用金庫 浦和支店に対する遺言者名義の総合預金債権及びその他の預金債権全部。
3 遺言者は、残余の遺産はすべて妻 中島みゆきに相続させる。
4 遺言者は、この遺言の執行者として妻 中島みゆきを指定する。
5 (付言)遺言を作成するにあたり、次の通り申し添えます。

お父さんが死んでも、お母さんが生活に困らないようにこの遺言書を書きました。私の大事な子供たちである一郎と和子には相続されませんが、立派に生活していけると安心しています。一郎と和子はお母さんを見送った後に、財産を仲良く分けてください。
今までお父さんに優しくしてくれてありがとう。感謝します。

以上
本 旨 外 要 件

住  所 さいたま市浦和区元町○○丁目〇〇番
職  業 無職
氏  名 中島常之 生年月日           昭和○○年〇月〇日生
上記の者は、本職氏名を知らず面識がないので法定の印鑑証明書により人違いでない事を証明させた。

住  所 さいたま市浦和区元町○○丁目〇〇番地
職  業 無職
氏  名 倉本茂樹             昭和〇〇年○○月○○日生

住  所 さいたま市浦和区元町○○丁目〇〇番地
職  業 会社員
氏  名 倉本のりこ            昭和〇〇年○○月○○日生

以上各事項を遺言者及び証人に読み聞かせたところ各自筆記の正確な事を承認し下記に署名押印する。

遺言者  中島常之  実印
証 人  倉本茂樹  印
証 人  倉本のりこ 印
この証書は民法第969条第一号ないし第4号の方式に従い作成し道場第5号に基づき下記に署名押印する。

平成○○年○○月〇〇日
本職役場において原本により作成したものである。
役場所在地 さいたま市浦和区高砂○○番地
さいたま地方法務局 所属
公証人   青木 一生 印