Q:台湾の会社で勤務するAさんが商談のために日本に来日し、1か月ほど滞在した後、台湾に帰国しました。この台湾企業は日本に支店や子会社などは有しておらず、Aさんは過去に 日本に住んだことはありません。Aさんは日本で所得税の納税義務を負うのでしょうか?

解説

Aさんが日本で納税義務を負うかどうかは、国内法である日本の所得税法と租税条約によっ て決定します

1. 国内法による取扱い

日本の所得税は(1)永住者である居住者、(2)非永住者である居住者、(3)非居住者の3つの区分に応じて取り扱いが定められています。

Aさんの場合は、日本に住んでおらず、非居住者に分類されますので、国内源泉所得のみ課税されます。

給与所得の場合、台湾の会社から支給される給与のうち、日本滞在日数を日割などして算出した金額は日本で働いたことにより得たものとみなされ、所得税 20.42%が課税されます。

具体的な納税方法はAさん が納税管理人を定めた場合を除き、日本を出国するまでに麹町税務署に申告します。

2. 租税条約による取扱い

租税条約では一般的に下記の要件を充たす場合、出張者には課税しないという、「短期滞在者免税」の取扱いが定められています。

(1) 183 日以内の来日滞在であること
(2) 給与等の支払者が非居住者であること
(3) その給与の支払者が支払う給与を日本国内の支店等の費用・負担としないこと

このように、租税条約を締結している国どうしの場合、通常短期の出張者には課税されません。

しかし、日本と台湾では租税条約は締結されていないので、この規定は適用できません。

3. まとめ

日本と台湾で租税条約が締結されていないため、原則的には国内法の取扱いとなります。 そのため、たとえ短期間の出張でも出張先の国で所得税を支払う義務が生じます。

要するに

台湾は日本にとって最重要な経済パートナーであるにもかかわらず、租税条約がいまだに締結されておりません。そのため、短期滞在者免税の問題だけではなく、両国間の税務情報等の交換も 困難であるため、一日も早い締結が望まれています。(執筆者:小嶋 大志)