終身雇用が当たり前で、一度勤めればよほどのことがない限り転職はなかった時代も今では昔のこととなってしまいました。

一旦就職したものの、より給与が高い会社に転職したい、といった自己実現に向かったものから、逆に会社の業績が芳しくなく、縮小により会社をやめざるを得なくなり、やむを得ず転職というケースも少なからず見られます。

すぐに仕事が見つかる、あるいは次の再就職先を確保してからの退職であればいいのですが、そうでないことも結構あります。そのときにありがたいのがいわゆる失業保険(正式には「失業等給付」)です。

自己都合と会社都合で大きく異なる「失業等給付」

この失業保険ですが、受け取れるには、

(1)ハローワークに来所して、求職申し込みをし、就職の意思・能力があるのに失業状態であること

(2)離職の日以前2年間に、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある雇用保険に加入した月が通算して12か月以上あること

が必要です。ただし、この(2)については倒産や解雇などを理由とした受給のときは要件が緩和されています。

時々見られるのが、会社を辞めるときにいわゆる自己都合か、会社都合かが会社と辞めた本人で違いがある場合です。

基本手当は、受給資格がある人が会社を離れてから最初にハローワークに求職の申し込みをした日以後、失業している日が通算して7日に満たないときは支給されない、いわゆる「待機期間」があります。

正当な理由のない、自己都合での退職、または辞める人に責任がある重大な理由での解雇ですと、「待機期間」が終わってからもさらに3か月間給付が受けられないという制限があります

どんな場合給付制限があるパターンかについては、厚生労働省のホームページに詳しく書かれています。また、自己都合での退職であれば、年齢による区別なく、雇用保険の加入期間に応じて失業手当の給付日数が決まっています。

これに対して、会社都合の場合には、「待機期間」がない上に、「特定受給資格者」にあたれば、年齢や雇用保険の加入期間により失業手当の給付日数が手厚く保障されています

たとえば、年齢が45歳で雇用保険の加入期間が10年であったとすると、自己都合であれば失業手当の給付日数が120日であるのに対して、会社都合となると270日分給付されることになるのです。

このように、会社を辞めたときの事情が自己都合とされるか、会社都合かで、失業給付をいつから受け取れるようになるか、あるいはどのくらい受け取れるかが大きく異なってくる場合があります。ですから、会社が作成する離職証明書にどんな理由での離職とされているか、良くチェックする必要があります

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事実に反して「自己都合」にされた場合は?

会社が事実とは違い自己都合退職として、具体的事情を記載する欄にも異なる事情を書いているときは、内容を改めるよう会社に求める必要があります。もし、それでも会社が記載を変えないときは、会社を辞める人が記入する欄に、自分が事実と考えていることをきちんと書いて、「異議有り」に○をつけておくべきです。

また、会社を辞めた人の意に反して、会社が離職票に「自己都合退職」としてしまっているときは、会社に訂正するよう求めるとともに、ハローワークに相談しましょう。

相談をするときは、自分の主張(「会社都合」の退職である旨)を裏付けるような資料(たとえば会社を辞めるに至るまでのやりとりを書いたメモ、録音媒体など)をできるだけ準備することが大事です。

さらに、会社を解雇されたのち、解雇を争って裁判などにする場合、失業保険は受けられるのかというご相談を受けることがあります。

この場合は、ハローワークに今会社と解雇に関して争っていることが分かる資料(たとえば、弁護士に依頼して作成してもらった内容証明郵便や労働審判申立書・訴状のコピーなど)を提出すると、「仮給付」を受けることができます。

のちに会社による解雇が裁判などで無効になり、会社から解雇時点からの給与を受け取れば、ハローワークにその間受け取った失業給付を返還することで調整を図ることになります。

雇用保険は会社に勤めているときに支払っているのですから、受け取ることができるお金をきちんと受け取って、再スタートを切るようにしたいものです。(執筆者:片島 由賀)