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ごみ屋敷問題には新法を制定せよ 所有者の責任問えない理由

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ごみ屋敷問題には新法を制定せよ 所有者の責任問えない理由

先週、蚊取り線香が火元となって、自宅でためていたごみに燃え移り自宅のみならず隣接する住民の民家にまで延焼するという事故が愛知県の豊田市で起きてしまいました。


幸い火事で死亡事故などにはならなかったようですが、日常的にごみの悪臭や景観の悪化の被害に苦しんでいる近隣住民の方が最後には家まで燃やされてしまうなんて、「気の毒」なんて言葉では表現できないほど痛ましい事故であります。

それにしてもテレビのコメンテーターや行政の方々が判をおしたように「このごみ屋敷の所有者の責任を問うことは法的に難しい」と言ってます。どうやら、ごみそのものが本人が「ごみじゃない」といえば個人の所有物となり行政の権限で撤去できないとか、火事が起こっても「失火責任法」があるため責任が問えないというのがその理由だそうです。

しかし、これらの理由は単なる行政の怠慢であって真剣にこれに取り組めばもっと早く被害を最小化できたはずです。

だいたい空家問題なんかでも個人がどう思おうが「空家」と法律で定義され、特定空家に指定されたら固定資産税の負担が多くなり、場合によっては強制撤去されます。この法律以外でも定義付けられることで、公共の利益のため私権が制限されたり、ペナルティが課されるなんてことはいくらでもあります。

従ってこのごみ屋敷問題に関しても、「ごみ」というものを産業廃棄物法に準じて定義づけて、適切に処分していない場合には罰則をもうける法律を制定すればいいのではないでしょうか?

また失火責任法は、明治32年に軽過失ならば民法709条の不法行為責任を適用させために制定した法律です。そのころは木造建物が主流であり電気もまだ普及しておらず、火で煮炊きをしたり(電気炊飯器が発明されたのは昭和30年)ランプや行燈で灯りを取っていた時代であります。

そう考えると、時代背景も大きく異なる現代でいくらでも防火対策ができるのに、危険性を自ら作りそれを放置したような人を保護するための法律ではないのは明らかではないでしょうか?

今後は時代背景を踏まえて法律改正を行い、あきらかに近隣住民の迷惑になるゴミ屋敷は行政が認定し、固定資産税を100倍にするなどして放置を防ぐとかいくらでも対策方法があるように思えます。

豊田市には「行政が住民を守ることができなかった」という意識があるかどうかわかりませんが、今回はたまたま自分の隣がそうでないだけであって、今後どこでも起こりえることであり、国や各自治体の早急な対応が望まれます。(執筆者:田井 能久)

《田井 能久》
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田井 能久

執筆者:不動産鑑定士 田井 能久 田井 能久

株式会社 タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役/専任不動産鑑定士 大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドに転職し、資産評価業務を担当。全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。1,000件以上の評価実績を有し特に相続や訴訟に関連する案件を得意とする。海外事業では滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」業務を行い、2015年にマレーシアの企業と業務提携開始。MM2H取得アドバイス業務や海外不動産投資アドバイスを行い(https://malaysia-longstay.com/)自身も2018年にMM2Hを取得。元愛知大学非常勤講師で現在セミナー活動もしながら各種WEBメディアに記事提供を行う。 <保有資格>:不動産鑑定士 寄稿者にメッセージを送る

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