1. 住宅ローンは金利競争から「保障」競争へ


現状、住宅ローン金利は過去最低まで下がり、金融機関の競争は金利から「保障」に移ってきている。

マイホームを購入するとき、金融機関から「疾病保障付住宅ローン」を勧められる場面が増えてくるだろう。この住宅ローンは、特定の病気になると住宅ローンの返済が免除されるのが特徴。

住宅ローンを組む際に「団体信用生命保険(団信)」に加入する人がほとんどだが、この団信のオプションとして「疾病保障」が付加されるというしくみである。

団信は住宅ローンを借りた人が返済中に亡くなったり、高度障害状態になった場合に保険金でローンを返済してもらえるが、この考え方を特定の病気まで範囲を広げたのが疾病保障付住宅ローンだ。

どの病気を対象とするかによって内容が変わってくる。

・がんに備える「がん保障付」
・がん・脳卒中・急性心筋梗塞が対象の「3大疾病保障付」
・糖尿病・高血圧症なども対象とする「7~8大疾病保障付」

2. 疾病保障付住宅ローンの注意点

 

1. 金利コスト面
2. 各疾病の該当条件

1のコスト面だが、疾病保障付を付加した場合の保険料は、住宅ローン金利に上乗せするのが主流だ。

・がん保障付の場合、0.05~0.2%
・3大疾病保障付の場合、0.2%前後
・7~8大疾病保障付の場合、0.3%前後

例えば25年の住宅ローンを1.2%の固定金利で組んだ場合、上乗せ金利が0.3%だとすると、総額で125万円ほど多く支払うことになる。借入金額が多かったりや返済期間が長ければ、更に負担額は増える。

またこれらの上乗せの保障は、ローン返済中に解約(取り外し)できない金融機関が多いことも注意する必要がある

2の各疾病の該当条件だが、がん保障付の場合は、90日以内のがんは免責、上皮内がんや悪性黒色腫以外の皮膚がんは対象外だ。

3大疾病保障付の「脳卒中」と「急性心筋梗塞」の条件だが、その診断受けた日から60日以上「所定の状態」が継続したと医師による診断を受けた場合に初めて住宅ローン返済が免除される。
  
所定の状態とは、「労働制限」や「他覚的な神経学的後遺症」などが条件だ。

7~8大疾病保障付の場合、その疾病によって「就業不能状態」が12カ月以上継続しなければ、住宅ローン返済は免除されない。就業不能状態とは、本人の経験・能力に応じたいかなる業務にも全く従事できない状態を指す。

例えば慢性腎不全も7大疾病に該当するが、人工透析を受けながら働いている場合や、抗がん剤を投与しながら働いている場合は対象とはならない。

7~8大疾病保障付は、保障範囲が広いので安心感があるかもしれないが、金利コストと住宅ローン返済免除条件の両面から考えると、おすすめはできない。

2017年4月に消費税が10%になる前に、住宅の購入を検討されている人が多いと思うが、住宅ローンを組むときには上記2点の注意点をしっかり頭にいれた上で、金融機関と話しをすすめていただきたい。(執筆者:釜口 博)