なぜ資産運用が必要なのか?

運用の必要性

資産運用にはリスクが伴います。そのリスクをとってまで運用することは必要なのでしょうか? 運用について考えてみましょう。

運用の必要性は、

1. 生涯の収支が合わないこと。
2. 資本主義社会にはインフレという見えないリスクがあるので、これに対抗すること。

この2点があります。極端な話、この二つが該当しない人であれば、特に資産運用などする必要はないとも言えます。

概算収支の一例


(概算ですが)、夫婦、子供2人家庭の生涯収支を考えてみます。

入社から退職までの平均年収を、夫600万円、妻300万円とすると収支はどうなるでしょう。(文末に計算根拠を記載しています。)

収入
○夫       600万円×43年=2億5800万円
○妻       300万円×25年=  7500万円
○退職金             1500万円
○公的年金   22万円×12ヶ月×25年=6600万円
合計 4億1400万円

支出
○生活費            1億7940万円
○所得税、住民税         1479万円
○社会保険料           4458万円
○固定資産税、自動車税など     810万円
○住居費             4800万円
○教育費              2400万円
○電化製品、自動車など購入    1200万円
○(掛捨)生命保険料など      2064万円
○レジャー費            900万円
○結婚援助など           300万円

合計 3億9041万円
黒字 2359万円

著者の経験からの数字なので、誤差はあると思いますが、まずは元になる数値がなければ始まりませんので、収支のイメージをしてみました。このケースは、比較的高所得家庭をイメージしています。しかし生涯の収支はそれほど大きなプラスにはならないことを改めて感じました。

また便宜上この段階でインフレは考慮していませんが、実際の収支には大きく影響します。給与が上昇、または預貯金などからの金利が十分であればインフレを気にする必要はありませんが、そうでない場合は、何らかの別ルートからの収入が必要となります。生活にゆとりを求める場合はなおさらです。

現在すでに年金生活を送っている世代は、

・物価以上に給与水準が大幅に上がったこと。
・元本保証の預貯金でも5%などの金利があったこと。
・不動産は買えば値上がりだったのでそれほど負担が大きくなかったこと。
・社会保障の負担が小さかったこと。
・物価水準をはるかに超える上昇率となっている、(学校外を含む)教育費の負担が小さかったこと。

これらの要因によって、収支がプラスになっていることが多いのですが、今を生きる世代には成し得ないことばかりです。

また前提条件から、妻の収入がなくなると……年金水準が下がってしまうと……後は改めて言わなくても分かりますね。

資産形成のために


このように考えると、少なくとも何らかの形で資産形成をしなければなりません。

資産を作る具体的な手法は、日々節約を心がけ支出を削ることで預貯金の形で資産を作ること。または運用収益の助けを借りて収入を増やすこと(もちろん両方が理想ですが)です。いずれも期間を友達にして、有効に働いてもらうことがポイントとなります。

例えば毎月2万円の積み立てを40年間続けると960万円になり、結構大きな資産となります。

一方、毎年3%の運用収益を上乗せできるならば、40年後には運用を行わなかった時のほぼ倍額にあたる1810万円となります。自分の節約力だけで3.77万貯めれば1810万円が貯まるので、運用せずにひたすら節約→貯蓄に励むことも結構です。しかし、ゆとりある生活も考えると運用を併用する方が得策だと私は思うのですが。

元本が準備できた状態での運用も大きな収益となります。例えば100万円を3%で40年間運用すると326万円となります。100万円を節約して貯めると、予定外の226万円の収入が増えるのです。ちなみに5%であれば432万円です。

インフレの影響も考える


念のためインフレの影響もここで確認しておきましょう。

基本生活費23万円だけに限りますが、日銀目標の2%で増えた場合45年後は56万円の基本生活費が必要となります。中間値の39.5万円で計算すると、この項目だけで65年間で3億0810万円となり、当初の1億7940万円に比べ大きな支出増となります。

インフレ率が1%としても中間値30万円となり、当初の1億7940万円に比べ5460万円の支出増です。インフレを考えると、生涯収支は大きな赤字になります。このため、赤字にならないために資産運用は「必須」とも考えられます。

もちろんこのケースは一例であり、概算金額です。家族構成、収入水準、教育コース、相続の有無、居住形態などによって結果は大きく変わってきます。

だからこそ自分自身のライフプラン・キャッシュフロー表を作成し、生涯の住宅予算を始め、教育費の予算、保険にかける予算、レジャーにかける予算、運用収益目標などを求めなければならないのです。そして、できるだけ早く資産運用を始めるべきなのです。自分自身のキャッシュフロー表を作ってみませんか。(執筆者:山副 耕一)

収支前提
 基本生活費内訳 月額23万円、65年
・食品      7万円
・水道光熱費  2.5万円
・通信費    3.5万円
・小遣い等    5万円
・その他      5万円
 所得税、住民税 夫 28万円×43年= 1204万円
          妻 11万円×25年=275万円
          計       1479万円
 社会保険料 夫 81万円×43年= 3483万円
          妻 39万円×25年=975万円
          計 4458万円
 固定資産税 15万円、自動車税 3万円、 45年で810万円
 住居費 ローン 3000万円、金利800万円(1%、35年)、諸経費500万円、維持費500万円、計4800万円
 教育費 幼稚園私立、公立、公立、私立、私立文系の場合一人1200万円
 保険料等 生保(掛捨)月額2.5万円、40年で1200万円
       損保月額 1.2万円、60年で864万円
       計 2064万円
 レジャー費用 年20万円、45年 =900万円

この記事を書いた人

山副 耕一 山副 耕一»筆者の記事一覧 (34) http://makeity.blog.fc2.com/

「長期個別株投資」推奨ファイナンシャルプランナー
メイキット有限会社 代表取締役
京都府在住。関西大学経済学部卒業後、独立系FP会社に入社。平成7年メイキット有限会社を設立。現在に至る。FP資格講座や経済セミナー講師業務、原稿執筆などを行う中で、現在は「投資」としての「長期個別株投資」の普及活動を中心に活動中。「株式投資」には、本来の意味である企業への「投資」と、株式を使った「トレード」が併存するが、後者の情報やセミナーばかりになっていることが現状。これを少しでもバランス良くするための情報発信をすることが天命と考えている。
<保有資格>:CFP、1級FP技能士
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