昨今、自然の脅威による災害が増加しており、平成27年9月の関東・東北豪雨は、各地に甚大な災害をもたらしました。特に河川の氾濫による水害で多くの住宅が床上浸水等の被害に見舞われました。

一般的には、住宅建物や生活用の家財道具が水害に遭ってしまった場合には、火災保険や共済の『水災補償』に加入していれば補償されます。『水災補償』では、洪水による被害の他、土砂崩れや融雪洪水なども補償の対象となります。

ただし、保険会社や共済等のパンフレットやちらしには『水災補償』という言葉が謳われていても、実際に損害が発生した場合の補償内容は様々なので注意が必要です。

火災保険は、保険会社によって補償内容や保険料に違いがあり、火災共済も含めて補償内容の詳細な比較は大変難しくなっています。

特に『水災補償』は、保険会社や保険種類によって補償内容にずいぶん違いがあることに注意が必要です。『水災補償』と謳われていても、実際には十分に補償されないものもあります

『水災補償』の主なパターン


大きく分けると『水災補償』には、主に次のようなパターンがあります。

(1) 実際の損害額が保険金額限度で補償される
(2) 一定の限度額まで補償される
(3) 損害の程度によって、保険金額の一定割合が補償される

実際の損害を保険金額まで補償するものが最も安心できますが、一般的に保険料は高くなります。一方、水災では建物が全損になる可能性もありますので、限度額があるものや一定割合の補償では不十分となり、大きな損害に備えるということができなくなってしまいます

さらに、水害には様々な状況がありますが、損害の状況(原因)によって補償内容に違いがあります。保険会社が取り扱っている火災保険では、一般的に床上浸水の場合は実際の損害額が支払われることになっていますが、床下浸水や土砂崩れなどの被害では建物や家財に30%以上の損害が発生した場合に限られている保険が多くなっています。

例えば、再調達価格(実際に建て直したらかかる金額)3,000万円の建物に保険金額3,000万円で保険に加入していた場合、床上浸水で800万円の損害が発生した場合には、800万円の損害保険金が支払われます。その他特約等で臨時費用や取り片付け費用なども支払われます。

ところが、例えば裏山が崩れて、建物の一部に損害が発生し、修理代が800万円かかった場合の損害は、30%未満なので保険金は支払われません。この場合、900万円以上の損害が発生した場合には補償されることになります。

今回の洪水被害では、床上浸水に至らなかったが建物の外に設置されているエアコンの室外機などが水に浸かって壊れてしまったという被害も多数発生しましたが、残念ながら補償対象にならないケースも少なくなかったと思われます。

落雷で室外機が壊れたら補償されるが、室外機だけが水に浸かり壊れたというケースでは補償されない。『水災補償』にはそんな違いがあり、保険や共済の種類によって補償内容は様々なのです。

水災は、大きな損害につながる可能性が高い災害です。水災の補償をつけると保険料はけっこう高くなるので、水災の補償はつけないで火災保険に加入しているという人も少なくないと思われます。近年、都市型の水害では、排水管を逆流してきた水によって2階以上で水害が発生している事例もあります。

火災保険に加入するときに補償内容をどのようにするかを決定する必要がありますが、単に保険料の差だけではなく、様々なリスクの可能性と補償の必要性を十分に考え、いざという時の大きなリスクに備えるという保険本来の目的を踏まえて決めることが重要です。

更に、関東・東北豪雨では、洪水等の水災ではなく、雨漏りの被害も多発しましたが、雨漏りについては火災保険では補償されません。強風や落下物が原因で屋根や窓が壊れて雨が吹き込んだような場合は、風災や落下物の災害による補償となります。

なお、築10年以内の住宅の場合、雨漏りは住宅事業者の責任で保証されます。瑕疵担保責任といい、補修費用について住宅事業者の責任で保証されることになっています。(執筆者:高根澤 茂)