金融機関が企業へ融資をするかどうか審査する際、決算書が大きなウエイトを占めていることはみなさんご存じでしょう。

もちろん、決算書の数字だけで判断するわけではありません。経営者の経営能力や技術力等の決算書には出てこない部分も大切ではありますが、やはり審査で最も重要であることは間違いありません。

自己資本比率

金融機関が決算書の数字を使って財務分析をするとき、重視する財務指標がいくつかありますが、代表的なものとして自己資本比率があります。

自己資本比率=自己資本÷総資本×100(%)

中小企業であれば、自己資本は貸借対照表の右下にある純資産のことだとお考えください(図表1の15,500千円)。


≪図表1 貸借対照表≫

中小企業だとあまりみかけませんが、もし純資産の中に新株予約権と少数株主持分がありましたら、それらを除いて自己資本を求めて下さい。

資本金等自己の投下資本と今までの利益の蓄積部分を合計した自己資本が、総資本(図表1右下の負債・純資産合計105,000千円)のうちどれだけあるかを表しています。

自己資本は負債とは違い支払や返済義務がありませんから、この比率が高いことは安全性の高い企業といえます

理想的には50%以上という意見もありますが、業種による差はあるものの30%以上あれば優秀なほうであり、一桁台では安全性に問題があるといえます。

図表1の数字からは次のように求められます。

15,500÷105,000×100=14.7%

資産価値の無いものは除いて計算する

しかし、ここで注意しなければならないのは、金融機関は決算書の数字でそのまま財務分析はしないということです。資産価値の無いものが貸借対照表に計上されていないかチェックし、もしあればその分は減額するのです。

例えば、売掛金で回収が不能なもの(あるいは極めて難しいもの)や、在庫で流行遅れによって売れないまたは大幅に値引きしないと販売が困難なものです。それらが存在する場合、その分を資産から控除して自己資本比率を求めることになります。

先ほどの貸借対照表には以下のような不良資産が見つかったとします。

・回収できない受取手形4,000千円と売掛金5,000千円があった。
・流行遅れによって販売が困難な商品が3,000千円あった。

当初の純資産は15,500千円ですが、そこから資産価値が無い12,000千円分を過去の利益の蓄積である利益剰余金から減額していくと、実質では3,500千円となります(図表2)。


≪図表2 クリックで拡大≫

15,500千円-4,000千円-5,000千円-3,000千円=3,500千円

図表2から自己資本比率を再度計算してみると次のようになります。

3,500÷93,000×100=3.8%

当初14.7%でしたが、実質的には3.8%まで減少してしまいました。こうなると金融機関は安全性に問題があると考えます

また、次の決算で業績が振るわなければ債務超過になる懸念があります。債務超過とは自己資本がマイナスなった状態をいいます。もしそうなったら、この会社が廃業し資産を現金化してもすべての負債を支払ったり、借入金を返済したりすることはできません。

したがって、融資する側の金融機関としては、自己資本比率が低いまたは債務超過の企業への融資には極めて消極的になってしまうのです。

皆さんの会社も実際の自己資本比率が低くないか、債務超過になっていないか、ぜひ確認してみて下さい。(執筆者:瀬野 正博)