過去の要人語録から予測 今後のドル円レートの行方

1月20日、ドル円レートは一瞬とは言え、1年ぶりに115円台に突入しました。執筆時点のレートは117.30円付近となっています。

黒田日銀総裁の言葉を借りるならば、「やや騒がしい」(14日、第二地銀協会賀詞交歓会にて)金融市場です。

ご存知の通り、原油安と中国を筆頭とした新興国通貨下落が主な要因となり、日経平均株価は1万6,000円台へ下落。そこで市場が期待し始めたのが、黒田日銀の第3弾バズーカ、追加金融緩和です。

市場の思惑通り追加金融緩和が実行されれば、当然ドル円レートも大きく反応することになると思われます。

このような市場動向となっていますが、今後のドル円レートの行方はどうなるのでしょうか? 過去の要人語録を見ながら今後のドル円レートを予測してみたいと思います。

この記事の結論

今後のドル円レートは「116円」に注目です。もし116円を割り込むようなことがあれば、ドルを買い、と見ています。

過去の要人語録でファンダメンタル分析


今ではすっかり音沙汰なくなった「政府による市場介入」というフレーズですが、時計の針を5,6年ほど戻すと、数回にわたり日本政府は日銀を介して市場介入を行ない、円高是正を試みています。

興味深いのは市場介入実行前の要人語録。政府の要人は、市場介入を行なう旨のシグナルを市場に発信しているのです。

たとえば、2010年9月8日、当時財務相だった民主党の野田佳彦氏は、ドル円レートについて「明らかに一方的に偏っている」と懸念を表明し、今後必要とあれば「断固たる措置をとる」と述べました。

「断固たる措置」は何度も繰り返し発言されていたため、経済界では言わずと知れた市場介入語録となっています。その年、流行語大賞にノミネートされたかどうかは定かでありませんが。

そして、同月の15日、政府・日銀は急激な円高進行阻止のため、為替市場介入に踏み切りました。「断固たる措置」が市場介入のシグナルだったわけですね。

もう一つの例が、年は同じく2010年の1月、当時の鳩山由紀夫内閣にて菅直人氏が財務大臣に就任したときの会見です。当時のドル円相場は1ドル約92円で、そのドル円相場に対し「95円前後の水準が望ましい」と発言しました。

結果、ドル円相場は短時間で50銭以上円安へ加速。市場は、新財務相の菅氏の発言を為替市場介入のシグナルと捉えたわけです。

2つほどの語録例を見てみましたが、分かるのは政府または日銀がアクションを起こす前に何らかのシグナルを発することが多い、ということです。

現在、ドル円相場は117円台。「やや騒がしい」と発言した日銀・黒田総裁は何らかのアクションを起こすつもりなのでしょうか?

今は追加緩和催促の段階


今のところ、黒田総裁からアクションを起こすと思われる明確なシグナルは発せられていません。強いていうなら、「やや騒がしい」という発言で「市場を注視していますよ」と表明したことくらいです。

しかし、上述したようにドル円レートは117円台と、以前と比較してかなり円高が進行しています。このレートがなぜ円高だと認識しなければならないのか。それは、前回の日銀短観で示された企業想定レートの119.40円を下回っているからです。

企業想定レートを下回っているとなれば、企業業績の下振れリスクが高まっていることであり、それだけ企業は業績と円高に対して警戒を強めているという意味でもあるのです。

ですから、最近は、市場が日銀に対し追加緩和を催促している段階となっています。

117円付近のドル円レートがさらに円高進行となれば、黒田総裁から何らかの “シグナル” が発せられるかもしれません。または、金融政策会合後の会見で突如として “第3弾・黒田バズーカ” が発射される可能性も。

ただし、一部のアナリストが語っているように、仮に追加緩和が実行されてもあまり効果はないかと思われます。アベノミクスと黒田バズーカの限界説、真実味を帯びてきました

今後のドル円レート予測

ファンダメンタル面から言えば、上述したようにドル円企業想定レートを下回っているため、円高是正のために黒田日銀が動く可能性があります。そうなれば、ドル円は120円を目指すことになる、というのが手堅い予測でしょうか。

今後の円高進行に関してですが、キーポイントは116円ラインです。以下、ドル円日足チャートをご覧ください。(ヒロセ通商アプリのチャートを利用)


≪ドル円 日足チャート≫

矢印で示したのが2015年8月、中国発株安が起きたときのドル円レートです。116円を割り込まずに長い舌ひげをつけてレートは徐々に上昇していきました。

テクニカル的に言うと、今後は116円が一つの目安となります。1月20日に一瞬115円台に突入したとはいえ、その後は反発していることから、これから116円を割り込むか否かに注目です。

もし116円を割り込むようなことがあれば、筆者であればドルを買います。黒田日銀が何らかのアクションを起こすと思われるからです

黒田総裁のシグナル、ドル円レート116円。この2つを注視しながらのドル円取引を推奨します。(執筆者:堀 聖人)

この記事を書いた人

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「お金のために働くのではなく、お金に働いてもらう」ことをライフテーマとするアラフォー。銀行にお金を預けるだけでは時間とお金を活かしきれていないと悟り、お金がお金を生む仕組みを独学で学ぶ。投資歴は株式投資8年、FX3年。開設済み証券口座は5口座、FX口座は10口座以上。株式投資、FX投資、クレジットカードをメインに鋭い視点からなるコラム執筆中。日経ヴェリタスなどでもコメント。
<保有資格>:第二種証券外務員資格
<メディア掲載>:日経ヴェリタス 2015年11月15日号、 株完全ガイド(晋遊舎)
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