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民泊解禁は新たな不動産投資手法になるか?

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民泊解禁は新たな不動産投資手法になるか?

個人的には昨年、初めてairbnbというサイトを知りましたが、またたく間に「民泊」という言葉がメジャーになりました。

近年の訪日外国人の増加に対応した新しいサービスになるよう、旅館業との整合性を保つための検討が政府でなされているようです。

民泊を旅館業に該当させ、簡易宿泊所の要件を緩和し、現在はなし崩しに広まっているものを追認するほか、東京大田区では特区を使って旅館業法の適用から外す特例が2月からスタートします。

特区になることを見込んでマンションディベロッパーの大京などは民泊事業に参入を表明しました。


≪民泊で宿泊する貸し部屋≫

規制緩和が生み出す「新しいビジネス」と「新しいリスク」

規制緩和は新しいビジネスを生みだす効果もあります。

今までは住むには少々狭すぎて収納がないとか、バスタブがなくシャワーだけのような物件でも、今後は民泊に適した施設や立地を備えた物件は収益性が上がり、不動産価値に影響を与える可能性は高いと思います。

しかしその一方、様々なリスクも懸念されています。

よく指摘されるのが、同じマンション内の別の部屋で民泊として使われることにより、住民が安定せず、騒音や近所迷トラブルが発生するリスクです。

また、借りる方だって貸部屋にセキュリティの名目で隠しカメラや盗聴器がセットされていることで、部屋で過ごしている時の会話や行動が、知らない間に記録されている恐れがあるようです。

それ以外のリスクに契約期間が過ぎても居座られた場合はどう対応するか」というのも大きな問題になるような気がします

なんでも、アメリカのカリフォルニア州では借主が30日以上賃料を払っていれば保護されることを盾に、44日間の予約を取った利用者がいました。

最初の30日間はきちんと賃料を払っていたのですが、その後は残りの分を払わなくなり、貸主が退去を求めた時には法律上正式かつ大がかりな立退き要求をする必要があり、最長6ヵ月の期間が見込まれたので、やむなくお金で早期解決を図ったという話があるようです。

日本では一次使用なら借地借家法が適用されないので借家権の主張はできず、旅館業と考えれば無銭宿泊扱いになり“居住権”は認められないはずです。

しかし、海外の旅行者が日本の法律を理解しているわけもなく、変な権利を主張して居座られた場合の説得は相当難しそうです。

考えすぎかもしれませんが、期間が数カ月に及ぶ場合に「一時使用」と言い切れるかなど、いろいろややこしい問題も生じてきそうな気がします。

そう考えると居住面積や設備など物理的なインフラ要件を検討することも必要ですが、日本人はもちろん、外国人も納得できるような明確なルールや法律というソフト面のインフラも同時に整備が進んでこそ、民泊という新しい波に不動産に関連するプレイヤーがうまく乗れるような気がします。(執筆者:田井 能久)

《田井 能久》
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田井 能久

執筆者:不動産鑑定士 田井 能久 田井 能久

株式会社 タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役/専任不動産鑑定士 大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドに転職し、資産評価業務を担当。全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。1,000件以上の評価実績を有し特に相続や訴訟に関連する案件を得意とする。海外事業では滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」業務を行い、2015年にマレーシアの企業と業務提携開始。MM2H取得アドバイス業務や海外不動産投資アドバイスを行い(https://malaysia-longstay.com/)自身も2018年にMM2Hを取得。元愛知大学非常勤講師で現在セミナー活動もしながら各種WEBメディアに記事提供を行う。 <保有資格>:不動産鑑定士 寄稿者にメッセージを送る

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