現在、年金と雇用保険で2種類、調整されるものがあります。

(1) 「老齢厚生年金と失業保険」が調整
(2) 「老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付」が調整

以前、(1)の「老齢厚生年金と失業保険」との調整を取り上げました※1

今回は、「老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付」が調整を取り上げたいと思います。

※1 「老齢厚生年金と失業保険」が調整については、2016年1月28日の記事「「老齢厚生年金」と「失業保険(基本手当)」は給付調整があります」をご参照ください。

「高年齢雇用継続給付」の要件

雇用保険の給付は、失業したときに受けられる給付(基本手当など)と高齢者の雇用を継続するための「高年齢雇用継続給付」があります。

「高年齢雇用継続給付」は、以下の要件を満たす必要があります。

(1) 雇用保険の被保険者期間が5年以上あること。
(2) 60歳以上65歳未満であること(ただし、雇用保険に加入していること)
(3) 給与が60歳時点の75%未満であること

「高年齢雇用継続給付」の支給率

60歳時点の給与の75%未満に給与が下がった場合、下がった給与の最大15%が「高年齢雇用継続給付」として支給されます。

また、給与が75%未満に給与が下がり「高年齢雇用継続給付」が支給された場合、老齢厚生年金(働きながら受給する老齢厚生年金を「在職老齢年金」といいます)が、最大「標準報酬月額×6%」の額が支給停止されます。

「在職老齢年金」との調整の具体例


実際に、「在職老齢年金」と「高年齢雇用継続給付」との関係をみてみましょう。

例)
60歳以降の給与: 20万円(60歳時点での給与の60%)
60歳からの老齢厚生年金:5万円

まずは、この条件より60歳以降の給与が60%に下がっているため、

「高年齢雇用継続給付」 20万円 × 15% = 3万円

そして、老齢厚生年金の調整額の計算は、

 (1) 在職による老齢厚生年金の調整額
 (20万円(給与)× 5万円(年金額))-28万円(基準額)×1/2= 0

 (2)「高年齢雇用継続給付」との調整額
  20万円(給与)× 6% =1万2,000円

以上、(1)と(2)より実際にもらえる在職老齢年金は、

5万円(老齢厚生年金額)- 1万2,000円((1)+(2))=3万8,000円

となります。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)