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日本は今なにをしようとしているのか 「イノベーション」なければ未来はない

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日本は今なにをしようとしているのか 「イノベーション」なければ未来はない

日本銀行が、とうとうマイナス金利を導入しました。

マイナス金利の説明は、いろんなところでなされているので詳しくは説明しませんが、誤解を恐れずはっきりと言えば、

マイナス金利の目的は二つ、

「長期金利を押し下げる」
「為替を円安に誘導する」

です。

円高・株安は止まるのか


長期金利を押し下げることで、

企業や個人がお金を借りやすくなります

。個人の生活では、

住宅ローンの金利が低くなります

。平たく言えば「

お金を借りたほうが得

…」という世界になるのです。


マイナス金利導入発表後、長期金利は大きく下落し、新発債でマイナスの金利がつくようになりましたが、為替は大きく円高に振れました

為替が円高になることで、株価は大きく下落しました。これを受けてマイナス金利導入の効果はない、すでに賞味期限は切れたと言われましたが、マイナス金利の効果はこれからです。

中央銀行に逆らうな…これが相場の格言です。

そもそも円高の要因は、原油価格下落や中国景気不安などで投資家心理が冷え込み、安全資産の円を買う動きが加速したことです。その要因が解けぬ限り、円高はとまらないと見るべきでしょうね。

政府の思惑通りにならない現状


1. 信用リスクが高い債券(ハイイールドボンド等)
2. 超長期債(たとえば40年債等)
3. 株やコモディティ、不動産など
4. 現金(cash)

利回りを求めて、リスクはあるが利回りの高い債券や償還期間が長い債券、株などのリスク資産そのもの、または、調達コストが抑えられる不動産に資金は流れます。

マイナス金利ですから現金ニーズも高まります。しかし、政府の思惑は「預金は悪だ」と言わんばかりに、現金をリスク資産に誘導することです。

現金に関しては引き出し規制など、今後は現金資産保有に関する規制をかけてくると思われます

政府の本音は「せっかく資金を供給しているにもかかわらず、預金ばかりで一向にリスクを取ろうとしない、その根性を叩きのめす…」というものでしょう

マイナス金利幅は、理論上は無限です。マイナス金利導入は、本気でインフレ目標2%を実現するという、日銀の強いメッセージを感じます。

金融政策は、半ば強引にお金の流れを変えるもので、あくまでも画面上の数字を変えるものです。

市場への資金供給量を増やして、強引に円安にし、輸出企業の構成が多い日経平均株価を押し上げます。リスクを取りやすい環境を、いわば強引に作っているわけです。

企業としても株価が上がることで含み益が増え、証券市場に資金が入ることで、直接金融での資金調達がやりやすくなります。

日銀にすれば、企業業績が伸び、その後、労働者賃金が増え、消費が活発になるという見通しでした。

ところが、ここまでは日銀の思惑通りにいかなかったのです。金融機関や企業が、思ったほど積極的に投資を行わず、資金が労働者賃金に移動しなかったのです。

このことは、株価ばかりが上がって、実体経済が一向によくならないという現象が起こってしまいました。日銀への風当たりは強くなりますね。

「イノベーション」なければ、日本の未来はない


インフレになると、いずれは金利は上昇します。そうなると国債利払いが増えます。


利払いができなくなるとデフォルトしてしまいます。国家破綻です。破綻の定義は、自分で発行した国債の利払いができなくなることなのです。

そうならないために、いまのうちに、財政再建をしておかなければなりません

中央銀行の金融政策は、あくまでも経済低迷期から脱するための初動に必要なことで、そのあとは政府の役割です。

それがアベノミクス三本の矢で言うところの、第二の矢「機動的な財政出動」と、第三の矢「民間需要を喚起する成長戦略」です。

どちらも国内の経済活動を活発にして税収を増やそうというものです。

財政再建の端的な方法が増税です。消費税率引上げはまさにそうですね。しかし、増税と景気回復は相反するもので、増税は景気を冷やしてしまいます。

増税に代わる税収アップ政策は、国内需要を喚起することです。経済活動を活発にさせることです。そのために、いまの日本にとって必要なのは「イノベーション」なのです

イノベーション…「技術革新」という日本語が充てられますが、新しい産業を興すことがいまの日本には急がれます。

ある意味、マイナンバー制度導入も、新しい公共事業を作ったようなものです。マイナンバー制度導入でかなりの市場規模が見込まれます。

フィンテック、ネットの金融決済機能も市場を生みます。ロボット、AI、燃料電池、自動運転自動車などなど、日本に新しい産業を生まれさせない限り、日本の未来はないということです。

Uber、ライドシェア(相乗り)…制度の見直しも、新しい産業を生み出しやすい県境設定となります。それが規制緩和です。

内需拡大と外資誘致の思惑


日本の内需を喚起する政策に訪日外国人を増やすことも考えられます。中国人による爆買いも、内需拡大にはウェルカムですね。民泊という新しい制度もそのひとつですよね。


海外企業誘致にも積極的です。羽田空港周辺再開発もその一環です。アジアNo,1のビジネスステーションを作るそうです。

海外企業誘致にネックとなるのが、日本の雇用環境です。いったん雇用したら、会社が倒産しないかぎり従業員をやめさせることはできません

そこでいま検討されているのが「解雇規制の緩和」、解雇を金銭で解決することができるようにするというものです。

高い法人税率も、海外企業誘致には足かせとなります。アジアで一番安い法人税率にするというのが、安倍総理の掲げた目標でもあります。

中小企業の新陳代謝…赤字なのに長く存続している中小企業は、税を納めない上に新しい芽を潰すということで、会社をたたみやすいように、連帯保証人の無効化を実現する民法改正が話題になっています

古くからの中小企業の借入れの連帯保証人は親戚の方がなっているケースが多く、親戚に迷惑をかけられないから会社を存続させているというので、その連帯保証制度をなくすことで、会社をたたみやすくするというのが狙いだとも言われています。

個人が消費をしやすいように、貸金業法改正を行おうという動きもあります。年収制限の廃止、専業主婦も再びカードローンを組めるようにするなどです。

構造改革とは規制緩和、その背景には、内需拡大と外資誘致の思惑があるようです。

私たちは何をすべきか


日本がマイナス金利を導入してまでも、金融政策で経済を下支えしている間に、これらイノベーションを起こさないとどうなるか。


インフレ政策を打ち出してうまくいかなければ、過去の歴史で見れば、戦争で需要を喚起する以外には方法は残っていないのです。

歴史は繰り返すと言われますが、戦争だけは避けたいですよね。

いま日本が何をしようとしているのか、ご理解いただけましたでしょうか。そしてその流れの中で、私たちは何をしなければならないのか、どう居場所を確保しなければならないのか、よく考えましょう。時代は待ってはくれませんからね…(執筆者:原 彰宏)

《原 彰宏》
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原 彰宏

原 彰宏

株式会社アイウイッシュ 代表取締役 関西学院大学卒業。大阪府生。吉富製薬株式会社(現田辺三菱製薬株式会社)、JTB日本交通公社(現(株)ジェイティービー)を経て独立。独学でCFP取得。現在独立系FPと して活動。異業種経験から、総合的に経済、企業をウォッチ、金融出身でないことを武器に「平易で」「わかりやすい」言葉で解説、をモットーにラジオ出演、 セミナーや相談業務、企業労組の顧問としての年金制度相談、組合員個別相談、個人の年金運用アドバイスなどを実施。個人投資家として、株式投資やFX投資を行っている。 <保有資格>:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP 寄稿者にメッセージを送る

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