出産や育児に関する社会保険制度から給付されるものは、法律をまたいで複雑に絡み合っています。

前回は、出産に関する保険給付の「出産育児一時金」について取り上げましたが、今回は「出産手当金」についてピックアップしたいと思います。

「出産手当金」とは?

出産前後の一定期間について生活保障のために健康保険制度に加入している被保険者(「任意継続被保険者(※1)」は除く)が出産のために会社を休み給与などの報酬の支払いを受けなかった場合に「出産手当金」が支給されます。

このことから、「出産」を行わない男性の被保険者は出産手当金の受給はできません

※1 「任意継続被保険者」については、2015年11月11日の記事「会社退職後の「健康保険の任意継続制度」と「国民健康保険」はどちらが良いのか」をご参照ください。

「出産手当金」の支給要件

給付が行われる要件は、

出産の日(出産の日(実際に出産した日)が予定日より後になったときは出産予定日)以前42日(双子などの多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間

となります。

この支給期間は、労働基準法第65条の産前・産後休業期間に相当するものとなります。

労働基準法の産前・産後休業期間の生活保障をこの健康保険制度の「出産手当金」で補てんされているという考え方をすると出産手当金の支給期間がわかりやすいと思います。


※2 出産日は出産の日以前の期間に含まれます。
※3 出産が予定日より遅れた場合について、その期間(予定日より遅れた日数)も出産手当金が支給されます。

「出産手当金」の支給金額


出産手当金が支給される期間で、会社を休んだ日に給与の支払いがあったとき、その支払われた給与が出産手当金の金額より少ない場合は、出産手当金と給与の差額が出産手当金として支給されることになります。

なお、平成28年4月からは以下のように変更となります。

※4 支給開始日とは、一番最初に出産手当金が支給された日です。
※5 支給開始日以前の期間が12か月ない場合は、
   (1) 支給開始日の属する月以前の継続した各月の各標準報酬月額を平均した額
   (2) 28万(毎年9月30日に見直されます)
   この、(1) と(2) を比べて少ない額を使用して計算されます。

ぜひ出産手当金をしっかり活用しましょう。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)