2016年度の初月が早くも終わりました。日経平均株価は4月中旬以降ようやく底入れをしたかと思わせる動きを見せていましたが、月末に大きな下落をしてしまいました。

この下落の背景には、日銀会合とそれをめぐるブルームバーグの記事があります。今回は、この下落について振り返っていくとともに、今後の展望についての筆者の見方を解説していきます。

リスクオフの流れが終わるかと思いきや、再び大きな下落

ブルームバーグ記事と日銀会合前の上昇

4月、日経平均株価は下落からスタートし、一時は1万6000円を割り込む局面もありました。しかし、その後は上昇に転じ、4月後半に入ると3月の高値水準まで値を戻して、1万7000円前後で推移していました。

こういった底入れの流れのなか、4月22日にブルームバーグが、「28日の日銀会合において金融機関への貸出にマイナス金利の適用が検討されている」という内容の記事を配信します。

これを受けて市場では日銀会合への期待が一気に高まり、日経平均株価、そして為替ではドル円も大きな上昇を見せました。

日銀はゼロ回答によって上昇が一転、大きな下落へ

しかし、いざ蓋を開けてみると、日銀会合が終わって発表された金融政策は、この期待に対してまったくのゼロ回答の現状維持。

その後に行われた黒田日銀総裁の会見でも、金融機関への貸出にマイナス金利の適用を「検討していない」という発言をしており、ブルームバーグの記事については眼中にないという対応でした。

この期待外れの結果を確認すると、期待で上昇した日経平均株価とドル円は下落し、ブルームバーグの記事が出たときの値も大きく下回ってしまいます。

日銀会合の翌日29日は祝日ですが、CME日経平均先物は1万6000円を割り込んでしまっており、4月につけた安値に迫る勢いを見せています。

ドル円はさらに大きく振り回されており、107円を割り込んで4月につけた年初来安値を大きく更新してしまっています。

ブルームバーグ記事と日銀の無反応によって高まった期待

なぜブルームバーグ記事で期待が高まったのか?

今回の大きな下落を生み出した原因は、ブルームバーグの記事によって大きく高まった期待感です。

実は、この記事を書いたブルームバーグの日高記者は、過去にもこういった飛ばし的な記事を書いて相場を乱高下させた前科があります

ある意味、そんな日高記者が書いた記事でここまで期待感が高まってしまうことが不思議にも思えてしまいます。

日本人の多くが疑いを持っていた記事だと思いますが、結果として上昇につながった原因は英訳の記事にあるのかもしれません。

日本の記事では「関係者」による情報と書かれているんですが、英訳の記事では「BOJ Official said」という表現になっていました。こういう形で報道がされてしまうと、反応せざるをえないということだったのかもしれません。

日銀が記事を否定しなかったことによる思惑

もう1つ気になったのが、この記事に対する日銀の対応でした。

これだけ相場に影響を与えた記事に対して、事前に否定するコメントが出てきていないんです。日銀会合後の黒田日銀総裁の発言もそうでしたが、完全に無視を決め込んでいました。

「そんな記事に振り回されてどうするの?」というメッセージなのかもしれませんが、否定コメントが出なかったことが、逆に「もしかして、本当にやってくるかも」という思惑につながった可能性もあると思います。

筆者もこういった勘ぐりをしてしまっていて、日銀会合前にポジションを持つことはできませんでした。

追加緩和していても同じパターンだった?

4月の日銀会合では追加緩和は行われなかったわけですが、ここで追加緩和をしていても、結果として同じような状態に陥っていたかもしれないと思っています

というのが、あれだけ期待感が高まっているなかで、それを上回る政策でなければ、材料出尽くしで下落というパターンにハマッてしまいやすいからです。

追加緩和という手を使ったうえに下落してしまうというのが最悪のパターンなので、もしかすると追加緩和を回避したことは手を保存したという意味ではマシだった、という見方もできるかもしれません。

相場を荒らす飛ばし記事

いずれにせよ、事前にこういった内容をリークすることが市場にいい影響を及ぼすとは思えません。

日銀が追加緩和をしても材料出尽くしとなる可能性が高くなり、追加緩和をしなくても期待はずれとなってしまうわけですから。

「BOJ Officiall saids」にいたっては、悪意すら感じてしまいます。大きな影響力を持つ大手通信社の記事なわけですから、そのことを自覚していただきたいものですね。
 

このまま下げは続くのか? 今後の展望について

値頃感で買うのは危険な局面

現在は、大きな下降トレンドの中で下値模索をしているような状態です。今のところ、この下降トレンドを払拭するためには材料不足で、上がってくれるイメージを持つことは難しいです。

下方向で意識されるのは、日経平均株価では1万5000円、ドル円では105円といったところですが、ここを守り切れるかどうかが今後のポイントになると見ています

しばらくは厳しい状態が続きそうですが、こういった状態で値頃感だけで買っていくのは避けたいところです。

可能性だけで言うと、このままさらなる大暴落につながってしまうことも十分にありえます。大底を狙う投資行動が成功する可能性が低いということを、特に意識しておいたほうがいい局面だと思います。

買いを入れるのは、底入れを示すような値動きが出てからでもまったく遅くありません。さらにそれに加えて、その値動きを裏付けるような材料があるのかどうかについても、丁寧に確認しておきたいところです。

リスクオフの流れが終わるためのポイントは?

それでは、このリスクオフの流れがいつ終わるのか、いくつかポイントを整理しておきます。

今後の日本関係のスケジュールを見ていくと、5月末に伊勢志摩サミットがあって、6月中旬に次回の日銀会合が予定されています。そして、7月には参議院選挙があります。

おそらく政府は、7月の選挙までに景気を支える施策を打ち出して、いい状態で選挙を迎えたいはずです。

その施策として考えられるのが、10兆円とも言われる大規模な財政出動と消費増税の延期です。このあたりの強力な材料が出てくれば、今のリスクオフの流れが変わることに期待が持てると思います。

材料が出てくる時期は5月末の伊勢志摩サミットが目安になるという見方が多いので、ここを強く意識しておきたいですね

そのうえで、6月に行われる次回の日銀会合です。6月になれば、マイナス金利導入の影響も見極めることができ、追加緩和を打ち出すタイミングとしては現実的だと思います。

5月に政府から施策が出て、さらに6月の日銀会合で追加緩和という流れになってくれば、さすがに悪い流れが断ち切られる気がします。(上昇後の副作用も怖いところですが……。)

今はこれらのポイントを意識しながら、のんびりと待つのもいいかもしれません。「休むも投資」というやつですね。ドーンと上昇の動きが出て流れが変わってくるまでは、いったん相場から離れてみてもいいかもしれませんね。

(免責事項)
当記事は筆者の相場観や取引戦略に関する記述を含みますが、これは投資助言を目的としたものではありません。当記事の内容によって生じたいかなる損失・損害に対しても、当方は一切の責任を負いません。取引のリスクを十分に理解したうえで、ご自身の責任において最終判断をするようにお願いいたします。(執筆者:貝田 凡太)