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退職後の傷病手当金と失業保険の受給について

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退職後の傷病手当金と失業保険の受給について

病気やケガをして仕事ができなくなり会社を休むと、健康保険制度より生活保障のために「傷病手当金」が支給されます。

近年、メンタル等の不調により「傷病手当金」を受給している方が、会社を退職した方が良いのか、又は会社を退職せずに療養し職場復帰したほうがよいのか悩まれるケースが多数あります

制度をしっかり理解し、今後どのようにするかを検討するとよいでしょう。


「傷病手当金」について

「傷病手当金」は、支給開始日より1年6か月間受給することが可能です

また、在職中に症状が回復し一旦「傷病手当金」の支給が中断されることになっても、再発し支給期間内(支給開始日より1年6か月間)であれば、再度傷病手当金を受給することができます。

また、退職した場合にも引き続き傷病手当金は支給されますが、仕事ができる状態に回復し、その後再び仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。

細かい「傷病手当金」の支給要件等は以前の記事にてご確認ください。(※1)

※1 「傷病手当金」の支給要件等は、2015年10月23日の記事「「傷病手当金」の支給条件と支給額や期間 退職後でも受け取れる」をご参照ください。

なお、支給額ですが平成28年4月からは以下のように変更となっています。

1日あたりの金額

((支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額)÷30日)×2/3

(1) 支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日です。

(2) 支給開始日以前の期間が12ヶ月ない場合は、

(a) 支給開始日の属する月以前の継続した各月の各標準報酬月額を平均した額
(b) 28万(毎年9月30日に見直されます)

この(a)と(b)を比べて少ない額を使用して計算されます。

退職後の「傷病手当金」と「失業保険」について

「失業保険」を受けるためには、「働く意思と能力」があることが前提となります。

そのため、「傷病手当金」を受給していると、「いつでも働くことができる能力(健康状態)」という要件を欠くことになり原則として「失業保険」は受給することができません。

このように、「失業保険」と「傷病手当金」は、同時期に受給できないことになります

ただし、「失業保険」は、退職日の翌日から1年間が受給期間となりますが、受給期間の延長の申出をすると最大3年間は延長することができます。


会社の職場復帰支援の配慮も参考に

「傷病手当金」と「失業保険」の制度的な違いは理解されましたでしょうか。

しかしながら、会社は働いているすべての方に「安全配慮義務」がありますから、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を提供しなければなりません。当然、メンタル不調者の職場復帰に対しても一定の配慮が必要です。

メンタル不調者が、職場復帰した場合は休職する前の業務量をこなすのは難しいでしょう。会社がメンタル不調を理解し、復帰者に対する配慮や職場への復帰支援に対しての配慮がされているかも確認する必要があります。

このように総合的に勘案し、会社を退職した方が良いのか、又は会社を退職せずに療養し職場復帰したほうがよいのか検討をするとよいでしょう。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)

《高橋 豊》
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高橋 豊

ゆたか社会保険労務士事務所 代表 大学卒業後、中堅企業にて労働関係法規や社会保険関係法規等に絡む業務、社内研修などの企画立案・実施、新卒採用などの人材採用・人事を経験。社会保険労務士事務所開業後は、企業に対して「人材がやめない企業づくり」をモットーに各種制度提案、就業規則等の作成、退職金制度設計、助成金申請などを行い、個人に対しては、遺族年金・障害年金等の複雑な年金請求のサポートを行っている。また、大学や短大でキャリア教育講座の講師を務めており、学生の就職活動支援なども行っている。 <保有資格> 社会保険労務士、宅地建物取引士、管理業務主任者 ・愛知県雇用労働相談センター 相談員 寄稿者にメッセージを送る

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