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人生で2番目に高い買い物「生命保険」を貯蓄や投資と捉えてはいけない理由

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人生で2番目に高い買い物「生命保険」を貯蓄や投資と捉えてはいけない理由

人生で2番目に高い買い物と言われるのが「生命保険」です

全世帯の約9割が加入しており(個人年金保険を含む)、世帯平均で年間38.5万円を支払っているそうです。(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」調べ)。

仮に、30歳で結婚を機に加入したケースの場合、そこから約35年間支払ったとすると、合計支払金額は「1,347万円」となります。(平均初婚年齢が男性30歳、女性29歳を参考)

ちなみに世帯年収に対する年間払込保険料の比率は7.4%(平成27年度)を占めています。そんな人生における高い買い物「生命保険」ですが、皆さんは何を基準に選ぶのでしょうか?

「保険料の負担が少ない」、「外交員の対応がよかった」と諸々の理由がありますが、そんな中「返戻率(へんれいりつ)」を基準に選ぶ人が意外と多いです。


返戻率「120%」は本当にお得なのか?

返戻率(へんれいりつ)とは、払い込んだ金額より受け取る金額がどれだけ多いかを表す数字です

この数字は会社によって異なりますが、高くて「120%」といったところです。上記「120%」の場合、「100万円預けたら120万円戻ってくる」ということです。

「こんなに戻ってくるんだったらお得!」、「これはぜひ入らなきゃ!」ということで「貯蓄」、「投資」代わりに入る方も多いようです。

しかし、この返戻率には「重要な概念」が隠されています。

それが「時間」という概念です。100万円が120万円になりましたが「どのくらい時間をかけて」そうなったのでしょうか

投資の神様といわれるウォーレンバフェットもこの「時間」という概念なくしては世界一の大富豪になれませんでした。

そのくらいお金において「時間」という概念は大切です。金融の世界で、今日の1万円は、10年後に1万円以上の価値を持ちます

たとえば、先ほどの返戻率120%の場合を見てみましょう。

100万円預けて120万円返ってきたとしても、時間が「35年間」かかっていれば利回りの平均は約「0.5%」にしかなりません

「120%」という魅力的な数字も35年という「時間」のフィルターを通してみると実は大したことはないのです。この35年という時間を有効に使えればあなたのお金はたくさん働くことができます。

あなたの貴重な年金が株式投資で運用されている理由

ご存じの通り、みなさんの貴重な年金は株式投資でも運用されています。

「なぜそんなリスクがあることをするのか?」という問いに対し運用法人であるGPIFはレポートで以下のように述べています。

「株式物価や賃金の上昇を下回る金利で運用を続ければ、実質的な価値が目減りしていくことが避けられません。」。

つまり、低金利で貯蓄をしているだけではインフレによって実質価値が目減りすることになるのです。もはや「なにもしない」ことが十分にリスクになり得ます。そう思うからこそ、GPIFもリスクをとって投資せざるを得ないのです。


株式投資の場合の「返戻率」は281%!

では、100万円を株式投資した場合の「返戻率」はどうなるでしょうか。年間3%の運用利回りで、35年間運用するケースを考えてみましょう。

このケースの場合、35年後に100万円は「281万円」となって返ってきます。この場合の返戻率は「281%」であり、先ほどの保険と比較するとその差は歴然です。

もちろん毎月積み立ての場合は計算が異なるのでイメージを把握するための概算ですが、投資に「時間」という概念を味方につけることで、ここまで差が開きます

「返戻率」という文字に惑わされ、生命保険を「貯蓄」、「投資」代わりにするとこういった大きな投資機会を逃すことにつながりかねません。それは人生において資産形成をする最後のチャンスが保険によって奪われてしまうことでもあります。

投資で年3%は可能か?

とはいっても「投資で年3%なんて可能なの?」という疑問もあります。

もちろん投資に絶対はありません。ただ、先述のように「なにもしないこと」でかえって資産を目減りさせることにもなります。

GPIFのレポートでも、株式投資についてこう語っています。

「株式投資では、一般に東証株価指数など市場を幅広く反映する指数でみると、その収益率は経済成長に連動し、長期的に保有していれば安定的に高い収益を得ることが期待されます。このように、株式投資では、長期に価値向上が期待されるものに投資をすることが基本となります。」

日々世界経済は上下しつつも歴史を辿ると成長を続けています。ちなみにGPIFの運用利回りは、過去平均で年「3.68%」です(独立行政法人が設立された平成18年度以降の9年間)。

さらに個別株を見てみても、例えば日本を代表するトヨタは、現在配当利回りだけで年間3.8%近くあります(2016年6月末現在)。

もちろん短期でみれば株価は上下しますが、トヨタの売上高は過去最高を更新しており、トヨタの過去30年の平均リターンは6.6%です。

「1年で資産○倍!」は無理でも、こういった成長に乗って年間3%の利益を享受し、複利の効果をつかって資産形成をすることはそう困難なことではないはずです。

日本人の7割が「保険についてほとんど知識がない」と回答


保険が持つ役割自体を否定するわけでは決してありませんが、世の中には仕組みが複雑だったり、オプションが付きすぎている保険が蔓延しています

安易に保険を「貯蓄」や「投資」の代わりにして所得の多くを保険の支払にあてることには合理性があるとは思えません

人生で2番目に高い買い物といわれる以上、保険を貯蓄や投資と捉えることは「資産形成する人生最大のチャンス」が奪われることを意味します。

保険に「貯蓄」や「投資」の役割を求めず、「保険は保険」と割り切って商品を選び、剰余金を投資に回す方が将来よほど実りがあります

全世帯の約9割が生命保険(個人年金保険)に加入していますが、生命保険や個人年金保険に関する知識全般について全体の7割近くが「ほとんど知識がない」と回答しています。このような状態では保険会社のいいカモです。

自らが加入している又は加入しようとしている保険について今一度しっかり考えることは、「スーパーで10円安い野菜を探すこと」よりよほど重要です。

素敵なマネーライフを送れるよう、しっかり調べて納得のいく答えを出しましょう。(執筆者:国府 勇太)

《国府 勇太》
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国府 勇太

1984年生まれ。慶應義塾大学卒。大学院時代にFXを知りその魅力に取りつかれ、より深く知りたいとの思いからヤフーグループのYJFXに入社。ディーリング部にて、主要通貨のディールを担当したのち独立。会社を経営をしながらも、世界中を旅して自由な日々を過ごす。「マネーライフの課題解決」がモットーで、初心者にわかりやすい解説に定評がある。 <保有資格>:日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト 寄稿者にメッセージを送る

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