皆さんは大学・短大入試の季節といえばいつ頃を思い浮かべますか? 年明け以降、冬のイメージが強いと思います。
まだ、夏休みにもなっていないのに、「入学金の準備など早すぎる」と思われるのではないでしょうか?
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目次
私立短大の一般入試合格者は「16%以下」
文部科学省発表の「平成27年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況」の概要によると
国立大学入学者割合
AO入試 2.7% 推薦入試 12.1%
合計 14.8%
公立大学入学者割合
AO入試 2.9% 推薦入試 24.0%
合計 26.9%
私立大学入学者割合
AO入試 10.5% 推薦入試 40.1%
合計 50.6%公立短大入学者割合
AO入試 3.1% 推薦入試 42.3%
合計 45.4%
私立短大入学者割合
AO入試 21.9% 推薦入試 62.1%
合計 84.0%
*AO=アドミッションオフィス(入学事務局)
となっております。
その他の入試方法もありますので、私立大学の約半数、私立短大の約16%しか、年明け後に行われる一般入試で入学しないのです。
入学金準備は今や夏場
一般的な入試スケジュールを見ると
推薦入試が11月から12月
センター試験が1月
国公立2次試験及び私立大学一般入試が2月から3月
となっております。
そして、ここが大事なポイントですが、入学金などの納付期限は合格発表後10日から2週間以内となっております。
もし、納付できなければ合格取り消しになるのです。つまり、早ければ9月には、100万円近い入学金が必要となるのです。私立に限って言えば、受験の本番は秋なのです。
奨学金では間に合わない
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高校3年生の中には、この4月に「日本学生支援機構奨学金」の申し込みを済ませた方もいらっしゃるかと思います。この奨学金、支給は進学後の4月以降になります。
また、「入学時特別増額貸与奨学金」についても、「入学時」と名前がついていても、支給されるのは進学後の4月以降となります。
つまり、AO入試・推薦入試・一般入試など選抜方法にかかわらず、奨学金では入学金納付に間に合わないのです。
教育ローンにも審査がある
そうなると入学金など納付には、「自己資金」もしくは「教育ローン」の2通りが考えられます。
教育ローンはローンである以上、住宅ローンと同様に審査があります。つまり、審査の結果はすぐには出ないし、審査の結果ローンを借りられない場合もあります。
合格発表後に教育ローンの相談に行ったのでは、審査している間に納付期限が過ぎてしまいます。せっかくの合格が取り消しになってしまいます。
ですから、受験が決まった段階で、一度金融機関に教育ローンの相談に行かれることをお勧めします。8月にはローン相談が必要となるのです。
自己資金のちょっとした工夫
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教育費を自分で準備されている方は、準備方法として、主に定期積立や学資保険を利用されていると思います。
そのうち、満期まで3か月以上期間がある方は、「必要だから」と解約せずに、夏のボーナスを利用してみてはいかがでしょうか。
なぜならば、教育費積み立ては長い期間に亘って準備されてきているので、利率のいい条件で積み立てられているはずです。
マイナス金利導入後のいま、夏のボーナスを貯蓄に充てるよりも、入学金の準備金として残しておいた方がいいです。利率のいいものを、なるべく長く残しておくのです。
定期預金は古いもので最長10年前の利率が適用されています。10年前とはリーマンショック以前の利率水準です。おそらく年利0.2%前後ですが、現在の年利0.01%よりはかなりマシです。
学資保険に至っては最長で18年前の予定利率が適用になっているため、その頃の予定利率は1.2%~1.5%程度だったと記憶しております。
いかがでしょうか。入学準備といえば「2月・3月」のイメージが強いですが、体育祭、学園祭、修学旅行が前倒しで行われるように、今や受験シーズンは秋が本番なのです。
入学金準備を夏のボーナス時期から始めるのは、けっして早いわけではないのです。(執筆者:田島 稔之)