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「タックスヘイブン」の実態(1) 「オフショア」、「タックスヘイブン」はどうして出来たのか?

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「タックスヘイブン」の実態(1) 「オフショア」、「タックスヘイブン」はどうして出来たのか?

「パナマ文書」問題を覚えていますか


こんにちは! 国際フィナンシャルコンサルタントの荒川雄一です。


さて、英国による「EU離脱問題」で、最近ほとんど報道されなくなりましたが、1、2か月前まで、毎日のようにテレビや新聞を賑わしていたのが、いわゆる「パナマ文書」問題です。日本の報道は、台風一過のようです。

すでに皆さんも、様々なメディアで、その内容はご存知のことと思います。

パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から、約40年間にわたり設立されたペーパーカンパニー21万社の情報が、公にされたという出来事です。

そしてそのリストの中に、プーチン大統領や習近平国家主席、キャメロン首相など、世界の名だたる政治家が関与している情報まで含まれていたため、世界的なニュースとして、紙面を賑わせました。

また、日本の法人個人についても、ペーパーカンパニー270社、日本人約300人の名が挙がっていたようです。

密かに利用されていた制度

さて、今まで「オフショア」、「タックスヘイブン」という言葉が、ここまで公に取り上げられることはありませんでした。

もともと密かに利用されていた制度で、OECD加盟国などが、時折、情報開示を迫る声明などを出していたものの、本気でこの件に踏み込むことはありませんでした。

それは今回明らかになったように、各国の政治家も何らかの理由で関与している人間が大勢いるからです。本来、公にならない前提のものが、「パンドラの箱」を開けてしまったわけです。

そこで今回は、この「タックスヘイブン」について、その本質と今後の影響などについて考えてみたいと思います。

タックスヘイブンとは

私自身も、「海外分散投資」に長らく携わってきた中、オフショアやタックスヘイブンという仕組みについては、それ相応の研究をしてきました。

Offshore(オフショア)とは、辞書で引くと、「海岸線の外側」というような意味が書いてあります。

金融の世界において使う場合は、規制が非常に少なく「国外からの所得」に対して所得税や法人税が安いか、まったくかからない国や自治権を持った「地域」の金融マーケットなどを指しています

オフショアの中でも、今回問題となっているのが、「タックスヘイブン型」といわれるものです。

オフショアの国や地域が誕生した経緯


では、オフショアの国や地域とは、どのようなところなのでしょうか。


スイスやルクセンブルクなどの有名な国もありますが、その大半は小さな島や地域です。そしてそのほとんどが、観光や鉱物をはじめとする自然資源に収入を頼っている場所が多いのです。

従って、これらの国や地域が生き残る手段の一つとして編み出されたのが、「オフショア金融システム」の一つの側面といえます

つまり、国内における主産業が観光など不安定な収入なため、これらの国や地域においては、「国外からの安定した収入」を得られる方法が必要だったのです。

そこで、国外からの収入(配当や有価証券売買利益など)には課税しない、または低税率にすることによって、資金を呼び込もうという制度を作り上げました。

タックスヘイブン型のオフショア金融システムがなくならない理由

近年、このタックスヘイブンの地域が、マネーロンダリング(資金洗浄)や先進国をはじめとする国々の租税回避地として使われることから、タックスヘイブン地域への圧力が強くなっていました。

ただ、それらの地域にとっては、オフショア金融システムの存続は死活問題であり、そう簡単に手放すことはできないのが実情です。

また、「パナマ文書」にあるように、オフショア地域を公には非難している先進国においても、その国の富裕層や権力者たち自身が利用している現実があるため、このタックスヘイブン型のオフショア金融システムが、完全になくなることはないでしょう。

では、次回は、タックスヘイブンを利用するときに用いる「オフショアカンパニー」について、掘り下げてみたいと思います。(執筆者:荒川 雄一)

《荒川 雄一》
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荒川 雄一

IFA JAPAN®株式会社 代表取締役社長兼CEO 国際フィナンシャルコンサルタント 投資顧問会社 IFA JAPAN®株式会社ほかリンクスグループ3社の代表を務める。中小企業診断士、日本FP協会認定CFP®。現在、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「海外分散投資」や「モデルポートフォリオ運用」を専門としている。中でも、海外ファンドを用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。また、投資教育にも力を入れており、国立高知大学非常勤講師など、講演回数700回以上。日本経済新聞ほか、各マネー誌など執筆多数。 寄稿者にメッセージを送る

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