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「タックスヘイブン」の実態(2) タックスヘイブンを利用する目的

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「タックスヘイブン」の実態(2) タックスヘイブンを利用する目的

こんにちは! 国際フィナンシャルコンサルタントの荒川 雄一です。

さて、今回は、前回に引き続き、タックスヘイブンを利用する目的の一つであるIBCについて、見ていきましょう。

タックスヘイブンを利用する目的(IBC)

本格的にタックスヘイブンを活用する場合、運用資金も数千万から数億円といった単位となるため、その場合には、法人を利用するケースが一般的です。

タックスヘイブンで法人を設立した場合、この法人のことを「オフショアカンパニー」又は「IBC(国際ビジネス会社)」と呼びます

法人税がかからないバハマなどに、プライベートバンクやコンサルティング会社などを通じて、IBC(ペーパーカンパニー)を作ります。そして、この法人を通じて、様々な商品への投資を行うわけです。

収益はすべてバハマの会社に入りますが、法人税は課税されません。そして、日本に住むオーナー資産家も、この会社から配当を受け取らなければ所得が発生しないことになります


日本政府の対策

それは、日本には、「タックスヘイブン対策税制」という法律があることです。

タックスヘイブン地域の「ペーパーカンパニー」は、税を逃れる目的で設立されることが多いため、この「租税回避行為」を防ぐための法律で、その要旨は以下のようなものです。

「タックスヘイブン対策税制」

外国法人のうち、日本の居住者や国内法人が、そのペーパーカンパニーの50%超の株式を有している場合、その法人の属する国の税率に着目し、法人税率が無いまたは20%以下の場合には、その内部留保している利益を、日本の居住者や国内法人に支払われたものとして、税金を課すとする制度です。

従って、タックスヘイブンにおいて、合法的に節税したい場合は、この法令の対象となる企業に「該当しないようにする」必要があります。

法律の適用を回避するのは困難

結論から言うと、この法律の適用を回避する方法としては、次の3つが考えられます。

1. その外国法人の所有比率を50%以内にする

2. 税金を20%超課税する国に法人を設立する

3. 10%未満の株主で構成する

言葉にすると簡単ですが、現実にやろうとすると、いずれもそうたやすくできる方法ではありません。あくまで「合法的」に同法からの課税を受けないための選択肢として、挙げさせて頂きました。


ノミニー制度を用いるケース

ただ、実際には、もっと簡便な方法で、租税を回避しているケースがあります。それは、ノミニー制度を用いるケースです。ノミニー(Nominee)制度とは、法人の役員や株主を第三者名義で登記できる制度です。

ノミニーを用いると、株主や取締役に自分の名前を出さずに、法人を設立することができます。従って、表面上は、自分の名前が出ないため、「課税を免れる手段」に使われているのです。

ただし、実質的オーナーが日本の居住者や法人であれば、当然、国内での納税義務はあるので注意が必要です。

では、次回は、タックスヘイブンを利用するもう一つの大きな目的である「トラスト」について取り上げてみたいと思います。(執筆者:荒川 雄一)

《荒川 雄一》
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荒川 雄一

荒川 雄一

IFA JAPAN®株式会社 代表取締役社長兼CEO 国際フィナンシャルコンサルタント 投資顧問会社 IFA JAPAN®株式会社ほかリンクスグループ3社の代表を務める。中小企業診断士、日本FP協会認定CFP®。現在、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「海外分散投資」や「モデルポートフォリオ運用」を専門としている。中でも、海外ファンドを用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。また、投資教育にも力を入れており、国立高知大学非常勤講師など、講演回数700回以上。日本経済新聞ほか、各マネー誌など執筆多数。 寄稿者にメッセージを送る

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