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「投資家・出資者側」の立場からクラウドファンディングのリスクを解説

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「投資家・出資者側」の立場からクラウドファンディングのリスクを解説

前回まで、クラウドファンディングの種類や市場規模等についてみてきました。

社会性の高さや利回りの高さを背景にこの2、3年のうちに世界中で急成長を続けてきたクラウドファンディングですが、落とし穴がないのか気になるところですね。

今回はクラウドファンディングのリスクについて、投資家・出資者側の立場からみていきましょう。


「寄付型(募金型)」の注意点

寄付金控除を受けられるものばかりではない

プロジェクトが一定の条件を満たしていれば出資者は税務上の寄付金控除を受けることができます

一方で全てのプロジェクトが寄付金控除の対象というわけではないので、「寄付型(募金型)」に出資する場合には事前に十分に確認をする必要があります。

寄付行為が無意味になることがある

運営会社が集めた資金が、不正に流用される可能性があります。運営会社の見極めが非常に大切です

「購入型」の注意点

プロジェクトが成立するとは限らない

製品やサービスが完成しないリスクや、完成品が期待に沿うものではないというリスクがあります。

会社の運転資金等に流用される場合がある

資金が対象プロジェクト以外にも流用される可能性があります。

悪しき例としては、集めた資金でプロジェクトと無関係な車を買った、ファーストクラスで出張に行った、というようなケースもありました。


「貸付型(融資型)」の注意点

「貸付型(融資型)」は現在、大きく成長中ですが、一定のリスクがあることも知っておいていただければと思います。

元本割れのリスクがある

貸付対象事業が不調である場合や運営会社が倒産した場合等では、期待通りの利回りを得られない可能性があり、また元本割れを起こす可能性もあります

運営会社の手腕に依存することが大きくなってしまうので、まずは運営会社の情報を収集して検討することが大切です。

通常、貸付型クラウドファンディングは他の金融商品に比べ、高い利回りを提供していますが、相応のリスクがあることを理解したうえで投資することが大切です。

借主の詳細な情報を把握できない

現在、日本においては行政の指導により運営会社は借主の詳細な情報を開示することができません

一方で借主の業種や実績、過去の大まかな業績(黒字会社かどうか)等は開示している運営会社もありますので、できる限りの情報は収集することが望まれます。


「投資型」の注意点

これまでの「投資型」に加えて、少額を前提とした「株式投資型」の法制度も整い、運用が始まっています。一般的には以下のようなリスクがあります。

損失が発生するリスクがある

投資型では、営業者の事業から得られる収益からの配当や商品等を対価として受け取ることができます。

但し、配当額は事業内容次第で大きく変動し、場合によっては全く配当がない場合もあります。

また投資した元本も最終的にどの程度返ってくるかは、営業者の事業次第となります。

公開情報が限定されている

投資型クラウドファンディングで扱われる投資案件の営業者の多くは、有価証券報告書を公表しておらず、会計監査も受けていません。

つまり、公開情報が限定されるため、営業者の事業内容にとどまらず、運営会社がどれだけ情報を収集しているかが、投資にあたって重要なポイントとなります

流動性が低い

通常の上場企業の株式の売買と異なり、好きなときに追加購入や売却をすることができない、といった制約があります。

以上、クラウドファンディングの種類別の主たる注意点でした。

クラウドファンディングは社会性や利回りの高いものが多く一見華やかですが、大切な資産を投資・出資されることには変わりありません

ですから、流行や表面的な宣伝、また利回り等に惑わされず、十分に内容を吟味したうえで投資・出資の判断をされることをお勧めいたします。(執筆者:岩野 達志)

《岩野 達志》
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岩野 達志

岩野 達志

ロードスターキャピタル株式会社 代表取締役社長 東京大学農学部卒。一般財団法人日本不動産研究所にて不動産鑑定業務等に携わりキャリアをスタート。2000年よりゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパンにて自己投資・運用ファンドの不動産取得部門、2002年以降はアセットマネジメント部門に従事。2004年からロックポイントマネジメントジャパンLLC ディレクターとしてエクイティ500億円以上、案件総額3,000億円以上の投資を実行し、ロックポイントグループの日本における不動産投資業務をリード。 <保有資格>不動産鑑定士、宅地建物取引士 寄稿者にメッセージを送る

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