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「老後の蓄え不十分」、「伸びる平均寿命」、「公的年金運用の赤字」3つのニュースから見える、私たちの将来のこと

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「老後の蓄え不十分」、「伸びる平均寿命」、「公的年金運用の赤字」3つのニュースから見える、私たちの将来のこと

連日、数多くのニュースが新聞やテレビ、インターネットを通じて私たちに届いています。個々のニュースを組み合わせて考えてみることで、今後、起きうることが見えてくるかもしれません。

今回は、いずれも7月下旬または最近の3つのニュースを組み合わせて、今後、起きうることを考えてみたいと思います。




1. 50代、老後への備えが不十分


金融広報中央委員会が実施した「金融リテラシー調査2016年調査結果」によると、50代の男女で「老後の資金計画を立てている」と回答した人の割合は38%でした。

また、「老後の生活費に関する必要額を認識している」と回答した人の割合は54.4%、「将来年金として受け取れる金額を理解している」と回答した人の割合は40.3%でした。

50代になれば、人生の一つの区切りである60歳に向けて、目の前に迫っている年代です。

60代以降は50代までの生活と比べると大きく変化が生じるため、何らかの準備が必要ですが、一方で、住宅ローンの返済・子供の教育費・仕事など、なかなか目の前に迫った60代以降のことについて、考える余裕がないのかもしれません。しかし、気がつけば60歳になっていた。ということだけは避けたいところです。

大きな変化が生じる時には、事前の準備が大切であることは言うまでもないでしょう。

「何とかなる?」と思い、実際に60代・70代を迎えた時に「こんな筈じゃなかった!」ということだけは避けたいところですが、計画なしで果たして上手くいくのでしょうか?

2. 日本人の平均寿命は、男女ともに過去最高を更新


厚生労働省の調査によると、平成27年の日本人の平均寿命は男性が80.79歳、女性が87.05歳となり、いずれも過去最高を更新しました

なお、平均寿命とは0歳時における平均余命のことを言います。平均寿命という言葉はよく聞きますが、平均余命はあまり聞きませんね。平均余命とは、ある年齢の人々が、あと何年生きられるかという期待値(平均値)のことです。

平成26年時点での平均余命ですが、次の通りです。

● 50歳 ・男性:32.18年 ・女性:37.96年
● 60歳 ・男性:23.36年 ・女性:28.68年
● 70歳 ・男性:15.49年 ・女性:19.81年
● 80歳 ・男性:8.79年  ・女性:11.71年

平成26年簡易生命表より(厚生労働省)

簡易生命表の見方ですが、例えば、60歳の人は男性であれば平均で23.36年(約83歳)、女性であれば平均で28.68年(約88歳)まで生きることを意味しています。

したがって、平均寿命よりも平均余命の方がより実際に近いものだと言えます。

長生きすることは良いことですが、「生きる」=「生活する」になりますので長生きする分だけ「お金」も必要になります。霞を食べて生活していくという訳にもいきません。

これは、個人の支出だけでなく、政府も社会保険などの支出が増加することを意味しています。

3. 公的年金の積立金の運用損益がマイナスに

公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2016年4~6月期の運用損益が5兆2,342億円のマイナスになったと発表しました

また、2015年度の運用実績は5兆3,098億円のマイナスとなり、2014年10月の運用改革後の累計でも赤字になっています

世界的な株安の影響とともに、円高基調に変化したことも影響を受けています。

なお、2014年度の収益率は12.27%、2013年度は8.64%。そして2012年度は10.23%でしたので、現時点では、大騒ぎするほど年金資産が大きく目減りしたわけではありません。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2014年10月から、国内外の株式の割合をこれまでの2倍の計50%に拡大しています。

株式投資は債券投資と比べると、大儲けする可能性もありますが、一方で、大損する可能性もあります。したがって、今後も収益率は世界経済・国内経済の影響を大きく受けることになるでしょう

「投資は長期で見るもの」とGPIFは釈明しているようですが、将来、年金の積立金が運用によって大きなマイナスになってしまった場合には、果たして、誰が責任を取るのでしょうか?

結果として、債券投資よりも収益率が高くなれば、誰も文句は言わないとは思いますが、世界最大規模といわている巨大年金ファンド(※)が上手く運用で立ち回ることができるか? も専門家によって意見が分かれるところでしょう。
(※)GPIFの2015年度末の運用資産は約134兆円

少なくとも、私たちの年金積立額は高いリスクと向き合っている状況です。

そして、もし、大きな損失を発生させてしまった場合は、当然のことながら、年金受給額に影響を及ぼすでしょう。また、平均寿命が伸びることにより、支給しなければならない年金額も増加していきます

国の借金も1,000兆円を超え、先進国ではGDP比250%となっており、ギリシャのことを他人事のように言っている余裕はありません。今よりも公的年金に対する政府の支出を増やすといった選択肢も難しいでしょう。


3つのニュースから、考えられること

● 老後の資金計画を立てている人は多いとは言えない。
● 長生きすることで、その分だけ生活費が必要になる。
● 老後の収入の大部分を占める年金は、今後、どうなるのかが分からない。更なる政府の支出も、膨大な借金により期待できない。

したがって、昨今、話題になっている「老後破産」が今後、確実に増加することが予想されます

老後破産を他人事のように考えていませんか?

よく、「将来、年金は当てにできない。」、「年金はもらえないのでは?」と言われる方が多いですが、本当に実感として落とし込んでいるでしょうか?

将来、「こんな筈じゃなかった」では、手遅れです。目の前のことも大事ですが、将来のことも考えておく必要があります。国や会社はどこまで面倒を見てくれるでしょうか?(執筆者:岡田 佳久)




《岡田 佳久》
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執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久 岡田 佳久

株式会社オーブレイン 代表取締役 (講演実績)一般向けセミナー、民間企業、高等学校、大学、資格専門学校、社団法人、NPO法人、商工会議所、男女共同参画センターなど(累計約1,000回以上)。(執筆実績)産経新聞、神戸新聞、Yahoo!JAPAN、ダイヤモンド社、わかさ出版など多数 ≪保有資格≫CFP、FP技能士1級、キャリアカウンセラー(CDA)、 1級DCプランナー(金融財政事情研究会) 、第二種証券外務員(未登録)、住宅ローンアドバイザー(金融検定協会) 寄稿者にメッセージを送る

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