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「タックスヘイブン」の実態(3) タックスヘイブンを利用する目的「トラスト」について

税金 相続・贈与
「タックスヘイブン」の実態(3) タックスヘイブンを利用する目的「トラスト」について

こんにちは! 国際フィナンシャルコンサルタントの荒川 雄一です。

さて、今回も引き続き、タックスヘイブンを利用する目的の一つである「トラスト」について、取り上げてみたいと思います。

タックスヘイブンを利用する目的(トラスト)


ある一定以上の資産家で、資産を後世に残したいと思う方なら、海外において、トラストの活用は大変効果的であるといえます。

トラストとは、日本の「信託」に近い仕組みです。しかしながら、その目的のほとんどは、相続対策として用いられています

日本において、相続発生時に問題となるのは、相続税の支払いにより資産が目減りすること・遺留分があるため、たとえ遺言を書いても、自分の残したい人に財産を渡せないことではないかと思います。

このような自分自身の意思(遺志)を、遺留分の規制なく、また、相続税も回避しながら実現する方法の一つとして、海外ではトラストという制度が利用されています。

具体的には、資産家は信託者として、自分の財産を受託者名義に所有権移転します。ここで受託者となるのは、通常、法律事務所やコンサルティング会社などです。

収益は信託者が定めた受益者に渡せる

そして、受託者は、その受託した財産の運用方針を決める「財産運用委員会」の提言を受け、その財産を運用し、そこで獲得した収益を信託者が定めた受益者に渡します。

受益者は、自分の子供や身内である必要はありません法人でも、公益団体、お金を渡したい個人でも構いません

また、信託者は、財産を受け取った受託者が、適正な業務を行っているかをチェックするため、保護者(プロテクター)を任命することもできます。

信託者の死亡時にも規制なく残したい人に財産を渡せる


そして、最終的に、信託者が亡くなった後に、その財産を受益者へ移転させる取り決めをしておきます。

信託者である資産家の死亡時には、すでに財産は受託者名義のため、遺留分の規制なく、残したい人に財産を渡すことができます。

また、受益者が日本人または日本法人などではなく、「タックヘイブン対策税制」の対象とならなければ、日本における相続税や贈与罪など対象外とすることも可能です。

中世の時代からヨーロッパの貴族や世界中の大富豪が、代々資産を継承することができたのも、このトラストの仕組みがあったからに他ならないといえるでしょう。

次回は、タックスヘイブンを利用する目的別に、今後の影響について、考えてみたいと思います。(執筆者:荒川 雄一)

《荒川 雄一》
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荒川 雄一

荒川 雄一

IFA JAPAN®株式会社 代表取締役社長兼CEO 国際フィナンシャルコンサルタント 投資顧問会社 IFA JAPAN®株式会社ほかリンクスグループ3社の代表を務める。中小企業診断士、日本FP協会認定CFP®。現在、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「海外分散投資」や「モデルポートフォリオ運用」を専門としている。中でも、海外ファンドを用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。また、投資教育にも力を入れており、国立高知大学非常勤講師など、講演回数700回以上。日本経済新聞ほか、各マネー誌など執筆多数。 寄稿者にメッセージを送る

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