米国の金融政策は次回利上げに向け、佳境入り。9月のFOMCに向け「待ったなし」の状況に差し掛かってきました。

当初は年4回と示唆されていた利上げも、冴えない外部要因を背景に、なかなか進展しません。市場予想ではほぼ確実視される9月利上げ。20~21日に予定されるFOMCではどのような決断がなされるのでしょうか。

引き続き堅調な雇用情勢

米国の雇用情勢が強いことは周知の事実。

実際に、2014年以降、非農業部門雇用者数は安定して月20万人程度増え続けています。また、失業率を見ても5%程度での推移が続き、ほぼ完全雇用

つまり、米国経済のファンダメンタンルズは良好なのです。

企業業績も好調なことを考えれば、既に利上げが始まっていてもおかしくはありません。では、なぜ米国は利上げに踏み込めないのでしょうか。

冴えない新興国経済。一致しないFOMC構成員の見解。

年初の原油安、サーキットブレーカー連発の上海市場。

不安定な資源価格や新興市場の動向を受け、年初に日経平均が暴落したことは読者の記憶にも新しいでしょう。

つまり、米国が利上げに踏み切れない最大の要因は冴えない外部要因に起因するのです。

現状の利上げを巡る議論は、好調な米国経済と冴えない外部要因の綱引き。FOMC構成員の中でも一進一退の攻防が続いています。よって、なかなか利上げに踏み込めないのです。

徐々にとれつつあるコンセンサス

しかし、ここに来て徐々にFOMC構成員の中でもコンセンサス(複数の人による意見の一致、合意いわゆる「根回し」)がとれつつあります。

実際に、最近ではFRBの高官らも9月利上げに向けて強気な発言を繰り返しています。8月26日のジャクソンホールではイエレンFRB議長本人から

「利上げを行う論拠が高まった」

との発言も。

その後、9月に入りハト派として知られるボストン連銀のローゼングレン総裁も9月利上げに前向きな発言をしています。この発言を受け、9日のマーケットではドルが急騰。

特に、対新興国通貨では軒並み1%以上の上昇を記録しました。ダウも約400ドルの大幅安。この状況を鑑みれば、市場も9月利上げ予想を徐々に織り込みに行っていると言えそうです。

9月利上げは時期尚早

しかし、個人的には9月利上げは時期尚早だと思っています。結論から言うと、9月利上げは回避すると思います。

FRB高官らの発言を受けたリスク資産価格の下落は市場関係者の警戒感の現れです。このところのマーケットはブレグジット問題も落ち着き、年初のような新興市場の下落もなくなりました。

しかし、実際にブレグジットのプロセスが始まるのはこれからです。また、ヘッジファンドの運用状況も冴えず、年間資金フローが純減で終わる可能性も出てきました。現状の相場は多くのリスクを内包しているのです。

このような状況で…

ハト派として知られるイエレン議長が利上げに踏み込むでしょうか。

確かに、イエレン議長はジャクソンホールで利上げに対して前向きな姿勢を示しました。しかし、利上げの時期については示唆していない

つまり、イエレン議長は

「利上げに対してはタカ派的であっても早期の利上げに対してはハト派的」

なのです。

よって、9月の利上げは見送る。個人的にはそのように想定しています。(執筆者:徳田 陽太)