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経営者にとって悩ましい「事業承継」問題 最低限とっておくべき2つの対策とは

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経営者にとって悩ましい「事業承継」問題 最低限とっておくべき2つの対策とは

「事業承継」のご相談


先日、ある企業オーナー様から「事業承継」のご相談がありました。

最近、経営者の方とお話ししていると、先日のオーナー様のようにとても真剣に考え、悩み対策を講じている方と、

「現状で手一杯で先々のことを考える余裕がない…」
「まだ先のことだから…」
「後継者が見つからないので…」

などと事業承継対策を先送りにしている方とで2極化しているように思えます。

しかしながら、後者のように対策をせずに放置していたおかげで、

「いざ事業承継という時に、相続等を巡ってもめ事が起きる」

「後継した者が経営ノウハウを知らないため、取引先・従業員の信頼を得られず窮地におちいる」

等と言った問題が生じ、最悪の場合、廃業まで追い込まれるケースもあるようです。

そのような最悪のケースにならないためにも、事前に、後継者の候補者を見つけ、その候補者を育成し、徐々に経営権を移していくなどといった計画的な取組みが大切だと思います。

いざというときの為の総合的支援策

現在では、事業承継税制の抜本拡充を始めとした事業承継円滑化に向けた総合的支援策が実施されています。

平成20年5月に「経営承継円滑化法中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)」が成立し、平成21年4月には経営承継円滑化法改正施行規則、改正税法などが施行されました。

その中で、

(1) 相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)、
(2) 民法の遺留分に関する特例、
(3) 金融支援など支援策の充実

などが図られていますが、特に中小企業の場合、事業承継対策としてまず大切なのは「経営そのものの承継」ではないでしょうか?

ノウハウを伝承していくこと


日本の多くの中小企業においては、経営者自身が大部分の自社株式や事業用資産を保有し、強いリーダーシップで、事業全体のマネジメントを行っているケースが大半です。

その場合、何と言っても、後継者への業務知識や経験、人脈、リーダーシップなどのノウハウを伝承することや、経営に対する想いや価値観、態度、信条といった経営理念を伝承できなければ、次世代への襷が繋がりにくいでしょう

事業承継の失敗例としては、

(1) 全く伝承されずに、次の経営者が真新しいことばかりやろうとする
(2) 全く保守的で、全て前経営者のマネばかりで発展性がない

などと言ったケースがあります。

やはり、前経営者から経営そのものを承継し、それをベースに次のリーダーが、時代にマッチングした企業にカスタマイズ出来れば成功につながりやすいようです

そしてこのようなベースを踏まえた上で、次に大切なのが「自社株式・事業用資産の承継」といった準備・対策だと思います。

「自社株式・事業用資産の承継」とは

まずは後継者が安定的に経営をしていくための、自社株式や事業用資産を集中的に承継させることです

そのためには、後継者でない配偶者や子などに民法上保障される最低限の資産承継の権利である「遺留分」を侵害することがないように事前の配慮が必要なケースもあります。

さらに、先述のように後継者や会社が、「遺留分」に配慮すると、後継者でない他の相続人から自社株式や事業用資産を買い取らなければならない場合も生じたり、多額の相続税がかかる場合もあります

そのための資金の確保をしておくことも必要でしょう

このように最低限、 「経営そのものの承継」、「自社株式・事業用資産の承継」の二面において準備・対策をしておくことがポイントと考えています。(執筆者:阿部 重利)

《阿部 重利》
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阿部 重利

阿部 重利

経済産業省認定経営革新等支援機関 ヒューマネコンサルティング株式会社 代表取締役 金融機関での実務経験を生かし、経営顧問・コンサルティング活動の傍ら、全国各地で講演会をはじめ、年約150本の企業研修、講演会、セミナー、などを精力的にこなしている。そのパワフルでユーモア感のある語り口と説得力は各方面から好評を得ており、これまでコンサルティングや研修、講演を受けた企業人の知識やモチベーション・スキルアップに大きく貢献している。著作多数。 <保有資格>:BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ / CFP(R) / 金融知力インストラクター / DCアドバイザー / 年金・退職金総合アドバイザー / 心理カウンセラー / キャリアカウンセラー / ワークライフバランスコンサルタント 寄稿者にメッセージを送る

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