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「ダメ物件」を「優良物件」と錯覚させる不動産屋の広告テクニックはコレだ。

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「ダメ物件」を「優良物件」と錯覚させる不動産屋の広告テクニックはコレだ。

「優良物件」に見える広告

マンションや一戸建てのチラシを見たことがないという人はまずいないと思います。

それくらい不動産の広告は多く、いたるところで目にします。そんな広告のなかに、ときどき

「お、これは!」

と身を乗り出してしまうようにな、一見「優良物件」に思えるものを目にすることはありませんか?


本当に優良物件なの?

でも本当にそんな優良物件だったら、広告をばらまかなくても売れてしまうはずです。そう考えると広告には何か裏がありそうですね。

もちろん広告には真っ赤な嘘が書かれているわけではありません。本当のことが書かれているのですが、そこには不動産屋ならではの「広告テクニック」があるのです。今回は、そのテクニックの一部をお話ししましょう。

「不動産の営業マン=悪人」??

不動産業者というと悪人とか詐欺師のようなイメージを持たれている人は少なくないと思います。でも決して悪人が不動産業界に集まっているわけではありません。

どんなに豪腕の不動産営業マンでも、ごく普通の人たちです。

なぜ不動産業者というとグレーなイメージがあるのか

それは、業界の「カルチャー」に問題があるのです。

もともと家電や車などとは違って、不動産というものは情報が一般に出回っていません。しかも普通の人にとって不動産取引にかかわることは、一生のうちにそう何度もあることではありません。

そのため不動産取引を生業としている不動産営業マンとの間には圧倒的な経験値の差ができるのです。

情報格差、経験値が大きな利益となる


不動産業界は昔から、そうした情報格差、経験値の差を利用して大きな利益を上げてきた側面があります。

もちろん、かつてはいろいろな業界でそうした側面があったのでしょうが、多くの業界では透明化、情報公開が進むと同時に、消費者が知恵をつけて公正な取引が行われるようになってきました。

不動産業界では改革が進まない現実

不動産業界ではいまだにそうした改革は進まず、圧倒的な情報格差を利用したグレーなやり方が残っています。

不動産業界にとっては、それが「当たり前」のやり方なのです。

そのため、普通の人たちが業界のカルチャーに染まっていき、顧客の利益を無視した営業活動を当たり前のこととして行なうようになっていくという構図があるのです。

「都合の悪いことは伝えない」

そうした業界のカルチャーのひとつに「都合の悪いことは伝えない」というものがあります。

物件探しをしたことのある人なら、不動産会社の営業マンに「南道路」とか「角地」と呼ばれる物件をすすめられた経験があるでしょう。

「南道路」とは

家の南側に道路がある物件のことで、イコール「常に日当たりのいい物件」を意味します。

もちろん、南道路でなくとも日当たりのいい物件はありますが、いまは日当たりがよくても、周りにほかの建物が建てば、当然、日当たりは悪くなってしまいます。しかし道路ならばその心配がないというわけです。

物件は100件あれば100の個別環境がある

ところが同じ南道路であっても、条件のいい場合とそうでない場合があります。

たとえば、道路に面しているリビングは確かに日当たりはいいけれど、道路の往来が激しく人目が気になってサッシを常に厚いカーテンで覆っていなければならないとしたら、「日当たり良好」の環境は損なわれることになります。

同じことは「角地」にも当てはまります。ふたつの道路が交わったところにあるためにそう呼ばれていますが「南道路」と同様、日の光を常に部屋のなかに入れられる環境があるとは限らないのです。

ここが不動産業者の営業トーク

不動産業者は、「南道路」、「角地」といった【好条件】は強調しますが、たとえば人通りが多くてカーテンが開けられないとか、騒音がうるさいといった都合の悪い条件を自分から伝えることはまずありません

そこで…

「この物件は角地なのでおすすめです」
「角地なのにこの値段はお得ですよ」

といった営業トークを繰り広げるのです。


嘘ではない、「都合のいいことだけ」を書く

もうひとつ指摘しておきたいのは、「敷延(しきえん)」と呼ばれる物件についてです。

「敷延」とは

「敷地延長」という言葉を略した業界用語で、広い土地をいくつかに分割して建てた建売住宅によく見られる物件です(図1)。

図1


この図のような物件の場合、道路から奥まった敷地で、敷地が細く突き出して道路に接するようになっている2棟の家を「敷地延長物件」、すなわち「敷延」というのです。

こうした物件は、価格が安いのに土地の面積は大きくなるという特徴があります。

広告の本当の狙いとは…

では不動産会社はこうした敷地延長物件をどのようにお客さんにアピールするのでしょうか。そこで活躍するのが広告、特に図面を載せない文字だけの広告です。

みなさんも電柱などに貼ってある

・ 土地○○平米
・ ○LDK
・ 前面○メートル道路
・ 駐車場あり
・ ○○○万円

と文字だけで書かれた広告を見たことがあるかと思います。

住宅を探している人がこの広告を見たらどうでしょう。敷地が広く、駐車場まである物件が格安で売られていると思ってしまってもおかしくありません。

広告にウソは書いてありません。ただ不動産業者にとって都合のいい情報だけが書かれているのです。

当然この物件には多くの問い合わせが入ります。ですが広告には敷地延長物件であることはどこにも書かれていませんから、図面や現地を見たお客さんはがっかりして購入することはないでしょう。

でも、それでいいのです。

なぜかといえば、住宅を買いたいというお客さんが向こうからやってきてくれたわけですから。

あとは

「他にもおすすめ物件がありますから」

と、そのお客さんにいろいろな物件を売り込めばいいのです。

こうして、ありとあらゆる手を使った営業活動がまた始まるのです。 (執筆者:大友 健右)

《大友 健右》
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大友 健右

大友 健右

ウェブサイト「住まいの大学」( https://sumai-u.com/ )講師 株式会社アルティメット総研 代表取締役社長 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役社長 一般社団法人 全国不動産次世代流通振興会 代表理事 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。現株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役社長として、住宅リフォームを中心に事業を展開。2011年リフォーム産業新聞 「塗装リフォーム注目企業ベスト30」に選出。 寄稿者にメッセージを送る

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