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ふるさと納税で総務省は大損、返礼品規制に必死な本当のワケとは?

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ふるさと納税で総務省は大損、返礼品規制に必死な本当のワケとは?

「地方の特産物が実質2千円で購入できる」


これがふるさと納税の醍醐味でしたが、

総務省の返礼品規制によってその魅力がかき消されようとしています


確かに返礼品目当てのふるさと納税は「地域を良くしたいために寄付をする」という本来の趣旨から逸脱していますが、地元の会社から特産物を市区町村が購入することで、

地場産業の育成=地域経済の活性化

に貢献しているのは事実です。

山形県知事の発言どおり、地域経済は活性化されているのにもかかわらず、「3割」という具体的な基準を設けてまで総務省が返礼品規制に必死になるのはなぜでしょうか。

ふるさと納税の制度とは何か?

総務省の返礼品規制に必死な理由を理解する前に、ふるさと納税の制度について知っておく必要があります。

ふるさと納税は制度上、住民税の20%までは住民票に登録されていない市区町村を選択して納税(寄付)できます

たとえば、神奈川県横浜市に在住している人が宮崎県都城市の牛肉を目当てに5万円のふるさと納税で寄付すれば、住民票に登録されている市区町村(横浜市)は同額5万円の税収が減ることになります。

要するに返礼品の魅力しだいで、税収に差が生じるようになりました。

ふるさと納税による黒字・赤字の計算方法

ふるさと納税により寄付を受けた金額 - 住民が他の市区町村へふるさと納税した金額(住民税の寄付金控除額)

2015年度のふるさと納税で都城市が約42億円の黒字に対して、横浜市は約29億円の赤字です。

ふるさと納税の制度により3重の負担を強いられる総務省


総務省が3重の負担を強いられるのは、普通交付税という制度があるためです。わかりやすくいうと市区町村の財政を補う制度です。

普通交付税の計算方法

地方財政計画で事前に普通交付税の金額を決定します。具体的には次の通りです。

・普通交付税(財政不足額)=基準財政需要額-基準財政収入額

・基準財政需要額=単位費用(法定)×測定単位(人口など)×補正係数

・基準財政収入額=標準的税収入見込額×75%(残りの25%はインセンティブとして市区町村の手元に残ります。)

総務省の負担1

市区町村の現金収支のマイナス分を総務省が負担します。ふるさと納税による横浜市の約29億円の赤字は基準財政収入額が減少するため、「約29億円×75%=約21.75億円」が翌年度に普通交付税で賄われました。

この約29億円の赤字分は地方財政計画により、翌年度の基準財政収入額を算定するときのベースになるためです。

総務省の負担2

ふるさと納税に寄付を受けた金額は寄付扱いとなり、基準財政収入額(現金収支の収入)に含まれません。したがって、受け入れた金額がそのまま市区町村の手元に残ります。

都城市は現金収支のマイナス分に、ふるさと納税による受け入れ金額と同額の普通交付税の交付を受けています。

総務省の負担3

普通交付税により返礼品の購入代金の一部を総務省が肩代わりしています。

理由は普通交付税の計算要素である「単位費用」の中に返礼品の購入代金を含めて、総務省が計算するためです。

しかも、地元の会社から特産物をあまり購入していない市区町村まで、返礼品の購入代金の一部が普通交付税の交付を受けています。

まとめ

ふるさと納税の制度により

・ 地場産業の育成を財政面の一部を支援しているのは市区町村ではなく、普通交付税を交付している

・地元の会社から特産物をあまり(全く)購入していない市区町村へ返礼品の購入代金の一部を普通交付税の交付をしている

・ ふるさと納税による赤字の75%を補てんしている

・ 受け入れ金額と同額を負担している

3重の負担を強いられている総務省が返礼品規制に必死になるも無理はありません。(執筆者:阿部 正仁)



《阿部 正仁》
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会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。単に税金のハウツーだけにとどまらず、教科書に書かれない制度の考え方を誰にでも分かりやすく伝えることを身上とする。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。 <実績>おもにマネーの達人、経営ハッカー、会計事務所様のブログ、税理士向けのサービス会社の記事、美しい文章の作り方講座の記事などを現在執筆中 寄稿者にメッセージを送る

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