平成28年分の確定申告に関しては、初めてマイナンバーを記載して申告という点が一つの大きなポイントでした。
ところが所得税の確定申告の情報そのものは、平成29年7月18日より機能追加されたマイナポータルを見ても(申請により発行されたマイナンバーカードとカードリーダにより閲覧可能)、管理対象とはなっていないことがわかります。
誤解しないで頂きたいのは、「そのもの」という部分です。
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ただ個人の所得は当然管理している
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・年末調整で完結する給与所得だけのサラリーマン
・所得控除がなく、収入が公的年金だけの高齢者
のように収入を得ているにも関わらず所得税の確定申告が不要となる層もいますが、この場合でも勤務先や年金機構が(マイナンバーを記載して)住民税の申告を行います。
住民税の申告は勤務先・年金機構が行ってくれる場合や扶養対象者を除いては、全員が行うことになっています。
なお、確定申告をすれば住民税の申告もしたものとみなされます。
このためマイナンバーでは住民税(マイナポータル上は「地方税」と表示)の申告情報のみを管理することになっています。
社会保障における保険料算定や所得審査でも、専ら住民税の情報を使います。
マイナポータルで確認できる項目
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なおマイナポータルのマニュアルは公開されており、マイナンバーカードを発行していなくともP14~15で管理項目の一部がわかります。
上場株式等の配当所得・譲渡所得のある方は、所得税と住民税では異なる方式で申告することも可能です。
参考記事:まだ間に合うかも! 所得税と住民税を「戦略的」に申告して社会保障制度を有利にする
所得税の確定申告で配当・譲渡所得を申告し、住民税では申告不要の対象とした場合、マイナンバーでは(証券会社の口座などで生じている)上場株式等の所得は管理対象から外れます。
マイナンバーを巡っては、各証券会社の調べで顧客の5~6割しか証券会社が取得できていない(平成29年6月時点)という結果も出ており、9月には日本証券業協会がマイナンバー届出者に対する税制優遇を要望していたぐらいです。
金融資産残高など、管理対象に関する国民的疑念を生んでいるのが原因と見られますが、上記のようにマイナンバーとともに申告している情報すら管理していないものがあるという事実も知っていてほしいところです。
確定申告したか/しないかは記録される
所得税の確定申告に関する情報「そのもの」で、唯一と言っていい記録情報です。確定申告義務のある人が申告書を提出しているか/していないかはきちんと管理されます。
それでも税務署は調査できる
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ただ税務署も申告者やその扶養家族のマイナンバーを管理しているからには、管理情報が住民税の申告情報であっても調査等で情報参照します。
上記の上場株式等の所得や、扶養控除・生命保険料控除などの「額」を除けば、所得税と住民税で大きな差があるわけでもありません。
マイナポータルで把握できる住民税管理情報には所得情報の他、「扶養控除対象」「控除対象配偶者」などの項目もあります。
税務当局が見ても自分が見ても、扶養対象として申告しているのに年収103万円を超えているなどの不整合は丸わかりになります。
これまででも自治体から税務署に連絡があればわかりましたが、効率化されるため扶養家族の誤申告摘発は大きく進むことが考えられます。(執筆者:石谷 彰彦)