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職場に知られたくない「所得控除」 確定申告は年末調整よりも個人のプライバシーが守られます

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職場に知られたくない「所得控除」 確定申告は年末調整よりも個人のプライバシーが守られます

元国税調査官の大村大次郎さんが書いた本に、税務職員は普通のサラリーマンよりも、扶養家族が多いという話が記載されておりました。

その理由として税務職員は、「扶養控除」の対象になる扶養家族の範囲などを詳しく知っております。

ですから年末調整などの時に、扶養家族を漏れなく記入するため、普通のサラリーマンよりも扶養家族が多くなるのです。

その結果、扶養家族が増えた分だけ、課税所得が少なくなるので、所得税や住民税が安くなるのです。


課税所得を少なくする「所得控除」は14種類に分かれている

扶養家族がいると受けられる扶養控除は、14種類ある「所得控除」のひとつであり、その他には次のようなものがあります。

雑損控除

災害や盗難などにより、資産に損害を受けた場合に受けられる所得控除

医療費控除

自分自身や家族のために、医療費を支払った場合に受けられる所得控除

社会保険料控除

自分自身や家族のために、健康保険、厚生年金保険、国民年金などの保険料を支払った場合に受けられる所得控除

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済、個人型の確定拠出年金(iDeCo)などの掛金を支払った場合に受けられる所得控除

生命保険料控除

生命保険、医療保険、個人年金保険などの保険料を支払った場合に受けられる所得控除

地震保険料控除

地震保険などの保険料を、支払った場合に受けられる所得控除

寄附金控除

公益団体などに対して、寄附をした場合に受けられる所得控除

障がい者控除

自分自身や扶養家族などに、障がいがある場合に受けられる所得控除

寡婦(夫)控除

夫(妻)と死別、または離別した後に再婚しておらず、かつ扶養家族がいる場合などに受けられる所得控除

勤労学生控除

学生がアルバイトなどで、働いている場合に受けられる所得控除

配偶者控除

配偶者の所得が、一定額以下の場合に受けられる所得控除

配偶者特別控除

配偶者控除の対象にはならない、所得が一定額以下の配偶者がいる場合に受けられる所得控除

基礎控除

誰でも共通して受けられる所得控除

年末調整で受けられない3種類の所得控除は確定申告を利用する

税金を安くしたい方は税務職員を見習い、このような所得控除に関する知識を身に付け、年末調整の時に漏れなく記入したいところです。

具体的には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と、「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」に、自分が受けたい所得控除に関する事項を、しっかりと記入するのです。

ただこれらの書類を見るとわかると思うのですが、「雑損控除」、「医療費控除」、「寄附金控除」に関する事項を、記入する欄はありません。

つまりこの3種類の所得控除は原則として、年末調整ではなく確定申告で受ける必要があるのです。


年末調整で受けられても職場に知られたくない所得控除もある

確定申告で受ける必要のある3種類の所得控除以外であれば、年末調整で受ければ良いのですが、次のような事情の方がいるかもしれません。

障がい者控除を受けられる場合の例

扶養家族に障がいがあるため、障がい者控除を受けられる要件を満たしているが、扶養家族に障がいがあることを職場に知られたくない。

社会保険料控除を受けられる場合の例

無職の子供が国民年金の保険料を支払えず、親が代わりに支払っているため、社会保険料控除を受けられる要件を満たしているが、子供が無職であることを職場に知られたくない。

扶養控除を受けられる場合の例

内縁関係にある配偶者との間に子供が生まれ、かつその子供を認知したため、扶養控除を受けられる要件を満たしているが、内縁関係の配偶者がいることなどを職場に知られたくない。

以上のようになりますが、この他にも職場に知られたくない家庭の事情は、いくつかあるのではないかと思うのです。

翌年の1月1日から5年以内に所得控除を受ける

このような場合には受けたい所得控除があっても、該当する部分を無記入にして、年末調整の書類を職場に提出します

そして翌年になったら確定申告を行い、職場に知られたくない所得控除を受けるのです。

なおこういった還付申告については、翌年の1月1日から5年以内であれば、税務署はいつでも確定申告の書類を受け付けてくれるので、2月から3月頃の混雑している時期に、税務署に行く必要はありません。

また現在はインターネットを利用した、電子申告が可能になっているので、税務署に行かなくても所得控除を受けることができます

確定申告は年末調整よりも個人のプライバシーは守られる

年末調整や確定申告のデータは市区町村に送られ、それを元にして市区町村は、それぞれが納付する住民税の金額を決定します。

また市区町村は決定した住民税を、「特別徴収税額決定通知書」の送付により職場に通知し、職場はそれを元にして、給与から住民税を天引きするのです。

この特別徴収税額決定通知書には、どのような所得控除を受けたのかが記載されているので、職場の方がこの中身を、しっかりとチェックしている場合には、所得控除を受けたことが職場にわかってしまいます。

ただ所得控除に関することは、年末調整の時にチェックしているため、特別徴収税額決定通知書が送られてきた段階で、またチェックするケースというのは、あまり多くはないと思うのです。

また特別徴収税額決定通知書によってわかるのは、どのような所得控除を受けたかだけであり、それぞれの所得控除の対象になった者の氏名、障がいの程度などはわかりませんので、年末調整よりプライバシーは守られます

それでも心配という方は、すべての方が可能ではないのですが、住民税の納付方法を特別徴収(給与からの天引きで納付)ではなく、普通徴収(納付書により自分で納付)にして、特別徴収税額決定通知書が職場に送付されないようにするのです。

最後に

自分で確定申告を行ったり、住民税を納付したりするのは、多少は面倒かもしれませんが、面倒だからといって還付金を受け取らないのは、もったいないような気がします。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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