目次
いよいよ60歳!

60歳の誕生日を迎えたとき、どう感じますか?
なんて感じませんか?
もしくは「年金なんてまだまだ。まだまだ働くぞ」と思いますか?
もし年金を考えたなら
何をするか検討したときは
「年金定期便」
「ねんきんネット」
を確認することをおススメします。
年金をもらう年齢は、職業など、性別、生年月日によっても異なりますが、60歳で年金について「手続き」や「確認すること」は何があるのか確認してみましょう。
1. 59歳の年金定期便を見てみよう
59歳の年金定期便で、年金の見込み額を見てみましょう。

50歳以降の年金見込み額は
ことを前提に年金見込み額が計算されています。
51歳から58歳までの年金定期便は多めに見積もった年金見込み額です。
なので51歳の年金定期便と比べ59歳の年金定期便はより実際にもらえる年金額に近いのです。
「年金見込み額」に考慮されていないもの
年金定期便の年金見込み額には、年金版家族手当である加給年金や被扶養配偶者の振替加算の額は考慮されていません。
年金定期版では家族まで考慮されていないので、扶養家族がいて加給年金が付く人だと年金額は少な目に見積もりされています。
また60歳以降の仕事の状況も考慮されていませんし、年金をもらっていると定期便の年金見込み額は表示されません。
2. 年金ネットを見てみる
「家で手軽に年金額を確かめよう。」と思った場合の年金ネットですが、できることは以下の内容です。
2. 持ち主不明記録検索
3. 年金見込み額試算。
4. 追納・後納等可能月数と金額の確認
5. 電子版「年金定期便」「被保険者記録照会回答票」を出力。
6. 年金支払通知書などを確認
7. 届出書の確認、作成
ちなみに筆者は年金ダイヤルへ電話で照会してみました。
年金見込み額試算は、60歳以降厚生年金加入で働く場合も、給与を入力できるので、一部止まった後の年金額も確認できるとのことです。
ただ、年金版家族手当の加給年金については、年金手続きをした後配偶者情報が登録されたからでないと、年金額には反映されないとのことです。
3. 特別支給の老齢厚生年金
そんな風に考えてはいませんか?
必ずしもそうではなく、特別支給の老齢厚生年金は60歳から64歳までの間に部分年金が出る人もいます。
1年以上厚生年金に加入していた人は性別と誕生日から何歳から厚生年金をもらえるのか、確認しましょう。
この65歳前に受け取る特別支給の老齢厚生年金は支給開始年齢(60歳から64歳)に年金をもらわず、支給を遅らせたりしても年金額は増えません。
それどころか5年の時効が過ぎると5年経過した月から、特別支給の老齢厚生年金がもらえなくなってしまう可能性も高いのです。
厚生年金に1年以上加入している人は、自分の支給開始年齢が60歳から65歳までのどの年齢なのか、しっかり確認をしましょう。
60歳に年金事務所で確認した方が望ましい理由
年金支給の有無に関わらず、60歳に年金事務所で確認した方が望ましい理由があります。
1. 繰り上げて年金をもらえるのは60歳からだから
厚生年金加入が1年未満の人も65歳から年金はもらえ、60歳から繰り上げて年金をもらうことができます。
60歳から64歳までの間に特別支給の老齢厚生年金をもらえる人も同様です。
65歳から受給するのと比べると30%(1か月受け取りが早いごとに0.5%分×60か月)年金額は減りますが、60歳から繰り上げて早めに年金を受け取る選択肢があります。
60歳時またはそれ以降64歳までに、年金を受け取ったらどのくらい年金額が減るのか確認してもらうと老後の計画が立てやすいでしょう。
2. 60歳以降働く場合、どのくらい年金が止まるかわかるから
60歳以降、年金をもらいながら働きたい人も「どのくらいまでの給与なら」年金が全額もらえそうか、計算してもらうこともできます。
年金定期便では60歳以降厚生年金加入の場合年金見込み額は確認することができないのです。
3. 保険料を10年間払っていなくても「カラ期間」が見つかれば、年金につながるから
保険料納付済み期間と免除期間が10年以上の人に、「年金裁定請求書」が誕生日3か月前に届くのですが、10年ない人には届きません。
と感じる場合も60歳に年金事務所で「どのくらいの期間国民年金を払っているか、免除期間はないか、カラ期間はないか」を確認しておいた方がいいでしょう。

4. 10年の年金期間がない人でも60歳から70歳までの期間は救済期間になり得るから
例えば60歳時全く年金期間がない場合でも、受給期間のない人は70歳まで年金保険料を支払うことができるます。
60歳から70歳まで年金保険料を支払えば、70歳で年金をもらう権利を得ることができます。
5. 60歳から65歳までは、国民年金に任意加入し年金額を増やせるから
60歳から65歳までは、年金期間が40年(480か月)になるまでは国民年金に任意加入し、年金額を増やすこともできます。
例えば1年間、国民年金に任意加入すると、年金額が約1万9,000円、一生にわたり増額になります。
国民年金を免除されていた期間がある場合は、免除分を追納すると、年金額が増えますし、追納してから60歳以降国民年金に任意加入できます。
6. 年金定期便や年金ネットでは計算されない年金額があるから
年金定期便でも年金ネットでも家族手当に該当する加給年金は、年金事務所で手続きを済ませて、加給年金の支給の有無を確かめてからでないと年金額に表示されません。
60歳で年金手続きがまだできない誕生日の人も、自分が加給年金または振替加算の対象者であるかを60歳時に確認しておくと65歳以降の年金額がより正確にわかります。
7. もし長期加入特例や障碍者特例に該当すればと早めに満額の年金を受け取れるから
通常65歳までは部分年金しか支給されないところですが、
・ 障害3級以上
だと支給開始年齢(60歳から64歳までの誕生日)から65歳まで全部の年金(部分年金ではなく)が支給されます。
ところが、全部の年金を享受できるのは退職してからになるのです。
60歳過ぎてから働いている方は、一度退職したとして、年金を試算してもらい、長期加入特例や障害者特例に該当してないか、確かめてもいいのではないでしょうか?
支給年齢(60歳から65歳)になったら、書類をそろえて!
特別支給の老齢厚生年金は、性別・生年月日によって、年金をもらえる年齢が異なります。
年金の支給を受けられる誕生日の3か月前に「老齢年金の裁定請求書」が日本年金機構から住民票のある住所へ送付されてきます。
25年以上年金期間がある人には緑色の封筒で、10年以上で25年未満の年金期間の人には黄色の封筒です。

手続きの前に確認すること
すぐに手続きしたくなるかも知れませんが書類を取りそろえるのはちょっと待って!
同封の「年金請求手続きのご案内」(pdf)を見てください。
配偶者や子供がいて加給年金をもらうことのできる人の提出書類は、戸籍・住民票・所得証明は
と明記してあります。

お誕生日の前日以降に、
・ 戸籍謄本(全部事項証明)
・ 住民票(全員の記載があるもの)
・ 所得証明(受給権の生じた前年分)
の3点を取るのが無難です。
もし、老齢年金の請求手続きを誕生日から1年以上遅れていくときは、所得証明は誕生日前年の古い所得を証明するものが必要になることがあります。
配偶者と生計は同一だけど別居の場合
「生計同一の申立書」が年金事務所にあるので必要事項を記入し、3親等の親族・姻族以外の第3者(民生委員、施設長、友人など)から証明を書いてもらいます。
・ 健康保険証
・ 源泉徴収票
・ 給与明細
などの提示を求められることもあります。
年金事務所の窓口に行くとき

本人が行く場合
・ マイナンバーカード(写真付き)
・ 住基カード(写真付き)
・ 運転免許証
・ 健康保険証
・ 通帳等身分を証明できるもの
・ 印鑑
を持っていきましょう。
代理人にお願いするとき
・ 委任状(年金事務所に書式有)
・ 代理人の身分証明
・ 年金を請求する人の印鑑
・ 年金を請求する人の通帳
などが必要です。
60歳時の確認、誕生日以降の年金手続きが滞りなくいくと、その後は安定的な年金収入が見込まれます。(執筆者:社会保険労務士 拝野 洋子)