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「配偶者控除」に「基礎控除」…実際に始まるのはいつ? 確定申告にからむ税制改正の施行日

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「配偶者控除」に「基礎控除」…実際に始まるのはいつ? 確定申告にからむ税制改正の施行日

2017年度に引き続き2018年度においても、一般人にとても身近な所得税の税制改正が行われました。

たくさん稼ぐ人にとっては厳しい内容となりましたが、毎日の生活費に悩む低所得者にとっては助かる内容となっています。

ここで間違えてはいけないのが「改正された内容がいつから始まるのか」という点です。

今回は、法律が作られてから実行されるまでの流れと、最近の税制改正の開始ポイントについて整理します。


税法の基礎! 法律が作られて実行されるまでの流れとは

毎年12月税制改正が発表されると、すぐにTVや新聞、メディアで内容が報道されます。

これを受けて一般国民も税制改正された内容を意識するようになっています。

時期を正しく認識していればよいのですが、中には「改正された = 次の確定申告ですぐ使える」と誤解するひとも少なくありません。

ほぼすべての税法は、その年末に改正されても直近の年末調整や確定申告に反映されることはありません

なぜかというと次のステップで税法が作られていくからです。

(1) 各省庁や経済団体からの要望提出(8~9月)

(2) 与党税制調査会(以下、「党税調」)が各省庁や経済団体からの要望とりまとめ(10月)

(3) 党税調が小委員会、総会で議論(11月)

(4) 与党税制改正大綱発表 → 閣議決定(12月)

(5) 内閣が国会に提出 → 国会審議(1月)

(6) 改正法成立 → 公布(3月)

(7) 改正法施行(4月、ただし特段の定めがあるものを除く)

一気にニュースで報道される「税制改正大綱発表」とは、この(4)の段階のものをいいます。

まだ国会の審議や決議を経ていないので、この段階ではまだ法律ではありません

あくまでも「案」に過ぎないのです。

ただ、衆議院・参議院ともに与党が過半数に達しない限り、上回る税制改正大綱となった内容が否決される可能性はほとんどありません。

そのため、大綱発表の時点で法律として成立することが前提となっています。

なお、ここでいう「公布」とは、成立(改正を含む)した法律を一般に周知させることが目的で、国民が知ることができる状態におくことをいいます

国民である皆さんが法律の内容を知る余裕もなく実行されてしまうなら、民主主義に則っているとは言えません。

そして、「施行」こそ、法律が現実に発動し、我々の生活に反映されることをいいます。

皆さんが税制改正で「いつからなのか」を知りたいとき、意識を向けるべきは施行日なのです。

確定申告にからむ税制改正の施行日はいつ?

では、みなさんが最近気になっている税制改正とその施行日について整理してみましょう。

2017年度税制改正

内容

・ 給与所得1,000万円超の配偶者控除及び配偶者特別控除の撤廃
・ 配偶者控除「103万円の壁」が「150万円の壁」へ
・ 配偶者特別控除も給与収入150万円超から201万6,000円まで使えるように

施行日

2018年1月1日

反映される対象

・ 2018年1月1日以降の給与の源泉所得税
・ 2018年12月以降の年末調整
・ 2019年3月15日申告期限の所得税の確定申告

2018年度税制改正

内容

・ 850万円超の給与所得者の給与所得控除縮小
・ 公的年金等控除の一律10万円引き下げ
・ 年金収入1,000万円以上の公的年金等控除縮小
・ 基礎控除が38万円から48万円に引き上げ、所得2,400万円超については縮小(2,500万円超は適用ナシ)

施行日

※2018年1月22日開始の通常国会にて審議予定
2020年1月1日

反映される対象

・ 2020年1月1日以降の給与及び公的年金等の源泉所得税
・ 2020年12月以降の年末調整
・ 2021年3月15日申告期限の所得税の確定申告

つまり、主婦のパートやバイトで「どれくらい働いたらいいの?」を気にすべき時期は今月からすでに始まっていて、「会社勤めと副業のバランスをどうしようかな」について具体的に対策を立てるべき時期は再来年以降になります

さいごに


身近な日常生活に税制改正が絡むと誰でも不安や焦りをおぼえるものですが、ここでもっとも気にしたいのは「施行日」です。

施行日を意識しつつ、今後の対策を立てていただくのがもっとも冷静に対処できるのではないかな、と思います。(執筆者:鈴木 まゆ子)

《鈴木 まゆ子》
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鈴木 まゆ子

鈴木 まゆ子

税理士・税務ライター 中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。朝日新聞『相続会議』、納税通信、KaikeiZineなどメディアで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著) 寄稿者にメッセージを送る

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