前回のコラムで、配当による現金収入を増やすには、J-REITへの投資が必要不可欠であることを述べさせていただきました。(前回のコラム:目指せ配当長者!(1) インカム収入を増やすポートフォリオとは?)
では、今年のJ-REIT市場はどのような推移をたどるのでしょうか。
今号では、今年のREIT市況の推移を予想してみたいと思います。
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目次
海外勢の買いを背景に、2018年も堅調推移を予想
昨年来のJ-REITにおける投資部門別売買動向を確認してみると、海外勢が積極的にJ-REITを購入していることが確認できます。
昨年の夏以降、REIT関連投信からの資金流出が相次ぎ、投信部門は売り越しに転じていました。
しかし、秋口以降は海外勢の買いがこの売りを吸収。REIT市場にとっては、非常にポジティブな展開となっています。
また、個人的には、昨夏より売りが続いている投信部門の売りも、今後ピークアウトする可能性が高いと想定しています。
ここ数年、売り方にまわっていた個人も、買い手にまわる可能性があることを考えれば、J-REITは非常に魅力的な買い対象になるのではないでしょうか。
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NAV倍率は1倍そこそこ バリュエーションで見ても割安
REITへの投資を考える上で、非常に重要な指標があります。それがNAV倍率です。
現在の価格が純資産の額に対し、何倍まで買われているかを表す指標です。いわば、株式投資におけるPBRのようなイメージです。
すなわち、この数値が高ければ割高、低ければ割安になる訳です。
現状のNAV倍率を確認すると、1倍そこそこ。
過去10年間の平均値と比較しても、割安な水準に放置されています。
このJ-REIT市場全体のバリュエーションを好感し、海外勢が買い上がってきている訳です。
J-REIT市況ではファイナンスが活発化
ここ数年のJ-REIT市場では、資金調達環境が大幅に改善しています。
既存J-REITの公募増資に加えて、新規上場も活発化しています。
また、物件取得事例も非常に豊富で、オフィスビルや物流施設の取得が相次いでいます。
これらの市場動向から鑑みても、J-REITの資金調達環境が大幅に改善していることが見て取れるでしょう。
さらに、2020年には東京五輪を控えること、あるいは、インバウンド消費の盛り上がりを考えても、日本のJ-REIT市場はポジティブな話題に事欠きません。
2018年には、オフィス供給量の増加が一時的に嫌われる可能性があるものの、ホテル関連REITはインバウンド需要を背景に堅調な展開になると想定します。
バリュエーション、利回りの双方が魅力的なJ-REIT。配当によるキャッシュインを増やすなら、今が買い場かもしれません。(執筆者:徳田 陽太)