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【確定申告】贈与税申告の特例は「期限内」に行わないと無効になるものもあります

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【確定申告】贈与税申告の特例は「期限内」に行わないと無効になるものもあります

還付申告は5年間有効であり、平成29年分確定申告書等作成コーナーにおいても、平成25年~28年分の確定申告書も作成できるようになっています。

ただ期限内申告を行わないと、還付額が減額されるケースもあります

また贈与税申告も特例によるものは、期限内申告が必要なものがあります。


所得税の確定申告

青色申告の65万円控除

事業所得・不動産所得・山林所得を申告する場合は、事前に青色申告の申請を行い簿記による記帳を行うことにより、これらの所得から10万円(簡易簿記による記帳)または65万円(複式簿記による記帳)を控除することができます。

65万円控除に関しては、3月15日の期限までに申告することも条件になっています。

事業所得・不動産所得のある方は確定申告で納税することが多いのですが、所得税が源泉徴収される収入を得ている場合は還付申告となる場合もあります。

期限後申告となったことで、10万円の控除しか受けられず、還付額が減額されたり納税になったりするととても損です。

マイホームの「譲渡損失」の申告

不動産の譲渡所得がある場合、特例が使えず巨額の所得税・住民税が課される場合もあれば、特例を使って納税額をおさえることもできます。

特例のうち、売却物件や買替物件にローンがあって譲渡損失が生じるもの

・ 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41条の5)
・ 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41条の5の2)

は、譲渡損失を申告する初年度は期限内申告が求められます。

なお繰越損失が生じ翌年度以降も損失を申告する場合(平成29年分が初年度申告の場合は平成30年分以降)は、期限内申告の要件はありません。

所得税以外にも影響が出る

青色申告特別控除が最大55万円減額になることで、住民税も最大5.5万円分増税となり、自治体の国民健康保険料や介護保険料も増額されます

さらに給付金の所得制限においても所得がかさ上げされ不利になります

また青色65万円控除で扶養の範囲に抑えていた場合は、扶養を外れてしまうことも考えられます。

マイホームの譲渡損失も期限内申告をしなかったことで、住民税や社会保険料、扶養等に影響が出る点に気をつけてください

贈与税申告の特例

贈与税を申告した場合、還付はありえませんが、特例を使って納税額を抑える(もしくは0円の)申告を行う場合に、期限後申告になると無効になるものがあります

住宅取得等資金の非課税の特例

住宅資金を父母・祖父母から贈与を受ける場合、一定の要件を満たすことで贈与税が非課税になるものです。

新築等にかかわる契約が平成28年・29年の場合、省エネ住宅なら1,200万円、それ以外なら700万円まで非課税です。

非課税特例を受けるために申告手続きが必要というのも重要ですが、さらに3月15日までの期限内であることも求められます。

期限後申告の場合は110万円の基礎控除を超えた贈与に関して贈与税本税がかかり、金額や申告時期によっては無申告加算税・延滞税がかかります

例えば1,200万円贈与で満額の非課税特例を受けられた場合、期限内申告であれば納税0円だったものが期限後申告になると、本税だけで246万円の納税となります。

この特例は住宅ローン控除と併用しての利用も可能ですが、住宅ローン控除が還付申告となる場合、初年度に必要とされる所得税の確定申告には期限内という要件はありません(5~6月の住民税決定までに申告しないと住民税で損する可能性はあります)。

ただ住宅取得等資金の非課税の特例は合計所得金額2,000万円以下という所得制限があり正確に贈与税申告を行うために、確定申告と贈与税申告は同時申告するのが望ましいです。

相続時精算課税制度を利用しての申告


60歳以上の父母・祖父母(特定贈与者)から20歳以上の人が生前贈与を受けた場合に、相続時精算課税制度を選択(届出書を提出)し贈与税の申告を行うことで、複数年通算して2,500万円まで非課税となる特例です。

特定贈与者から2,500万円を超えて贈与された分は一律20%の贈与税がかかります。

こちらも期限内に贈与税申告を行わないと、相続時精算課税適用の2年目以降では2,500万円枠の特別控除を差し引かない金額に対し20%の贈与税がかかり、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。

また初めて相続時精算課税制度を選択しようとして、相続時精算課税制度選択届出書・贈与税申告書が期限内に提出できなかった場合は、110万円控除(暦年課税)の贈与税申告になってしまいます。

平成28年に初めて相続時精算課税制度を活用して500万円贈与が行われて期限内申告を行い、平成29年には2,000万円贈与が行われている場合、平成30年3月15日までの期限内申告であれば0円だった納税額が期限後申告になると本税だけで400万円になります

贈与税の基礎控除・配偶者控除の扱いは

贈与税には110万円の基礎控除があり、さらに婚姻期間20年以上の配偶者から住宅や住宅資金の贈与を受けた場合に受けられる2,000万円の配偶者控除もあります

これらに関しては、期限内申告の要件はありません。

配偶者控除については贈与税申告の手続きを行わないと利用できませんが、基礎控除範囲内の贈与であればそもそも申告の必要がありません。(執筆者:石谷 彰彦)

《石谷 彰彦》
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石谷 彰彦

石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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