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「副業収入が年20万円以下の正社員は確定申告しなくていい」は勘違いしている人が多い。

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「副業収入が年20万円以下の正社員は確定申告しなくていい」は勘違いしている人が多い。

2017年は副業元年となりました。

今後を憂える多くの現役正社員の方が、民泊や週末ライター、副業バイトなどを行っている模様です。

確定申告で現在アタマを悩ませている方も少なくありませんが、その一方、

「収入が年20万円以下だから確定申告しなくていい」

と、何もしないでいる人も多いようです。

「年20万円以下なら確定申告不要」の条件、実際にはとても細かいのです。

副業収入20万円以下が確定申告なし?

「年20万円以下なら確定申告不要」の条件

所得税での「年20万円以下なら確定申告不要」というのは、具体的には次のようになっています。

1. 「20万円以下」とは「収入」ではなく「所得」

もっとも多い勘違いが「副業での売上が20万円以下なら確定申告しなくていい」と言うもの。

正確には、

「収入」ではなく「所得」

です。


所得とは、いわゆる利益、つまり「年間の総収入金額-年間の必要経費の額」を言います。

そのため、仮に副業での売上が30万円であっても、売上から経費を差し引いた所得が20万円以下なら所得税の確定申告は必要ありません

2. 副業だけでなく給料以外の所得の合計額が20万円以下でないとダメ

株や競馬、不動産の収入はどうしよう

正社員としての収入以外の収入が1種類の副業だけならその所得の金額が20万円以下かどうかで判定すればOKです。

しかし、中には

「不動産を売りました」

「株の投資をしています」

「競馬で大当たりしました」

など、副業以外の収入があることも。

この場合はこれらの収入も副業収入と合わせて所得が20万円以下かどうかを判断しないといけません。

なぜなら、所得税法では「給与所得(※)以外の所得の合計額が年20万円以下」と規定されているからです。

税法の所得区分に「副業」という定義はありません。

3. 2つ以上の会社で給与所得を受け取っていたら対象外

また、「給与所得以外の所得の合計額が年20万円以下なら確定申告不要」という規定は、受け取っている給与所得が1つの会社からのみの場合を指します。

つまり、1つの会社に勤務しながら、週末、独立したカタチで副業をしていたり、投資をしていたり…という状態が前提です。

そのため、その所得区分が給与所得となるバイトやパートなどを別途行っている、あるいは2つ以上の会社から役員報酬という名前で給与を貰っている場合は、副業のあるなしに関係なく、確定申告をしなくてはなりません

ただし、給与所得での収入金額から、
・ 雑損控除
・ 医療費控除
・ 寄附金控除
・ 基礎控除
4つの控除を除く各種所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得(※)以外の所得の合計額が年20万円以下ならば、確定申告は不要です。

こんな人は「年20万円以下」でも確定申告が必要

確定申告の対象になっている?

以上をまとめると、「1つの会社から給与所得を受け取っている場合に限り、給与所得(※)以外の所得の合計額が年20万円以下なら確定申告不要」です。

ただし、この条件を満たしていたとしても、確定申告をしなくてはいけないケースがあります。

・ 年間給与収入(所得ではありません)が2,000万円を超える人

・ 同族会社の役員などをしていて、同族会社から賃料や貸付金利子を受け取っている人

・ 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

・ 源泉徴収義務のない人(普段、外注費は払っているけどバイトなどを雇っていない人など)から給与所得を受け取った人

・ 医療費控除、ふるさと納税、住宅ローン控除などにより確定申告する必要のある人

「年20万円以下なら確定申告不要」はあくまでも1つの会社から給与を受け取り、年末調整を受けた人となっています。

(※)給与所得について

正しくは「給与所得と退職所得」なのですが、今回の記事の前提が現役の正社員さんとしているため、あえて「退職所得」という文言を外しました。

細かい内容については国税局の「給与所得者で確定申告が必要な人」をご覧ください

年20万円以下でも住民税の申告はしなくてはいけない

住民税の確定申告はお忘れなく

上記の条件をすべて満たし、確定申告がいらなくなったとしても、それはあくまでも所得税の確定申告がいらなくなっただけです。

副業での所得の合計が20万円以下であっても住民税での確定申告はしなくてはいけません

所得税は所得税法という法律で、住民税は地方税法という法律で定められているからです。

規定の元となる法律が別々なので、申告納税のルールも別々になっています。

「年20万円以下なら確定申告不要」は、一見すごくシンプルなのですが、ウラにある所得税法の規定はすごく細かいのです。

世の中にはいろいろな人がいるため、ざっくりとした規定では対象外の人も対象となってしまいます。そういったことが発生しないよう、規定が細かくなっているのです。

判断に迷ったら、税務署あるいは地域の税理士による確定申告相談会に行かれるとよいでしょう。(執筆者:鈴木 まゆ子)




《鈴木 まゆ子》
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鈴木 まゆ子

鈴木 まゆ子

税理士・税務ライター 中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。朝日新聞『相続会議』、納税通信、KaikeiZineなどメディアで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著) 寄稿者にメッセージを送る

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