またも失態発覚「約130万人分の年金の過少支給」について 誰の責任なのか?»マネーの達人

またも失態発覚「約130万人分の年金の過少支給」について 誰の責任なのか?

日本年金機構の失態

またも日本年金機構の失態


2017年9月に日本年金機構は、
600億円程度に達する、約10万人分の振替加算の支給漏れ
を発表しました。

その翌月には会計検査院の調査により、18億円程度に達する、約1,000人分の遺族年金の過払いが発覚しました。

これらの問題が落ち着いてきたと思ったら、今度は約130万人分の老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)の、過少支給が発覚したのです。

それは2018年最初の年金支給日となる、2月15日に発生しており、日本年金機構には前回の支給日(2017年12月15日)よりも、支給額が減った方から、多くの苦情電話が寄せられたそうです。

日本年金機構はこれを受け、次の年金支給日となる4月13日に、過少支給になった2月分の老齢年金を、4月分と併せて支給すると発表しております。


老齢年金は給与などと同じように、所得税が課税される

老齢年金は雑所得に該当するため、非課税となる障害年金や遺族年金と違って、所得税が課税されます。

またそれを算出するための計算方法を、大まかに表現すると次のようになります。

(A) 1月~12月に支給される老齢年金の合計額-公的年金等控除額=公的年金等の雑所得

(B) 公的年金等の雑所得-所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除など)の合計額=課税所得

(C) 課税所得×所得税の税率(現在は5~45%)=所得税


「扶養親族等申告書」を提出しないと、天引きされる所得税が増える

扶養親族等申告書

≪画像元:日本年金機構


・ 1月~12月に支給される老齢年金の合計額が、108万円以上の65歳未満の方

または

・ 1月~12月に支給される老齢年金の合計額が、158万円以上の65歳以上の方

は、原則として老齢年金から所得税が天引きされます。

また老齢年金から天引きされる所得税は、(B) に記載されている配偶者控除や扶養控除を受けられるかで変わってきます。

ですから年金受給者の方は「扶養親族等申告書」に、
・ 扶養している家族の氏名

・ 生年月日

・ マイナンバー
などを記載して、日本年金機構に提出するのです。

書類を提出期限までに提出できなかった場合


配偶者控除や扶養控除を受けられなくなり、また天引きする所得税を算出する時の税率が高くなります。

そのため老齢年金から天引きされる所得税の金額が、年の最初の年金支給月となる2月から増えるのです。


過少支給の原因は「扶養親族等申告書」の様式変更と記入ミス

マイナンバーの記入欄などが加わったため、「扶養親族等申告書」の様式は、2017年の下半期に送付された2018年分から、A4形式(以前はハガキ形式)に変わりました。

そのため

・ 「扶養親族等申告書」だと気がつかずに、提出を忘れてしまった

・ 様式が変わったことにより、記入ミスをしてしまい、提出期限までに提出できなかった

このような方がいたそうです。

これらの影響によって、2018年2月15日に支給される老齢年金から天引きされる所得税が、2017年12月15日より増えてしまったため、老齢年金の過少支給が発生したのです。


老齢年金の過少支給に気がつかないと、これからもずっと続いていく

老齢年金が過少支給になっていることに気がついた方は、

・ すぐに「扶養親族等申告書」を提出する

または

・ 確定申告を行って還付金を受ける

上記のことができるため、過少支給はいずれ解決します。

「扶養親族等申告書」を、ずっと提出していない方


所得税の取られすぎによる老齢年金の過少支給がずっと続く


2018年2月15日に支給される老齢年金と、2017年12月15日に支給される老齢年金との間に差が出ないため、過少支給になっていることに気がつきません

ですから確定申告を行わない場合には、所得税の取られすぎによる老齢年金の過少支給は、これからもずっと続いていくのです。

自己責任の問題でもある


このように考えると老齢年金の過少支給よりも、それに気がつかないで本来よりも高い所得税を支払い続ける方が、問題があると思います。

なお冒頭に記載した振替加算の支給漏れや、遺族年金の過払いの一部についても、年金受給者がそれに気がついて、必要な書類を日本年金機構に提出していれば、すぐに解決できたのです。


日本年金機構から送付される書類は、中身をきちんと確認する

ねんきん定期便

≪画像元:日本年金機構(pdf)≫


2009年4月以降は誕生月(1日生まれの方は誕生月の前月)に、「ねんきん定期便」が送付されるようになったため、将来に受給できる老齢年金の目安額が、わかりやすくなったのです。

しかし公的な機関などが実施している、年金に関するアンケートの結果を見ていると、
将来に受給できる老齢年金の金額が全くわからない
という方が、現在でもかなりいるとわかります。

こういった方は日本年金機構から「ねんきん定期便」が送付されても、中身をきちんと確認しないで、放置しているのかもしれません

しっかり確認することが大切


ねんきん定期便 35歳、45歳、59歳用

≪画像元:日本年金機構(pdf)35歳、45歳、59歳用≫


年金の過少支給、支給漏れ、過払いなどに、早めに気がつくために大切なことは、日本年金機構から送付される書類を放置しないで、中身をきちんと確認することだと思うのです。

・ 節目の年齢(例えば国民年金に加入する20歳、老齢年金の支給が始まる65歳)に達した時

・ 家族構成に変化があった時

には、何か手続きをする必要があるのかを、調べてみることだと思うのです。(執筆者:木村 公司)

この記事を書いた人

木村 公司 木村 公司»筆者の記事一覧 (134) http://manetatsu.com/author/kkimura/

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。
【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種
【寄稿者にメッセージを送る】

今、あなたにおススメの記事
本サイトの更新情報をfacebook・Twitter・RSSでチェックしましょう
またも日本年金機構の失態
この記事が気に入ったら、いいね!しよう

このページの先頭へ