昨年の仮想通貨市場は価格高騰により一気に投資家が増えた1年でした。
同時に仮想通貨関連のトラブルも急増しています。
国民生活センターによれば、2017年度に全国から寄せられた2816件、前年度比で3.3倍、2014年度比で15倍もの相談数になっています。
被害の多くは「詐欺」。
そしてもっとも使われる手法が「ポンジスキーム」なのです。

目次
仮想通貨詐欺に多い「ポンジスキーム」とは
「ポンジスキーム」とは、投資詐欺の一手法です。
第一次大戦後、世界中の金融秩序が混乱する中で詐欺を働いたチャールズ・ポンジの名前に由来します。
手法は彼とまったく同じで
方法です。
まず、
「絶対確実」
「元本保証100%」
という文句で出資をさせます。
ほとんどの人は「おいしい話には裏がある」と警戒するので、最初は
と少額出資を勧めます。
その後、他から出資してもらったお金の一部を「配当」、「儲け」という名目で毎月相手に払います。
言った通りの利益を相手に手渡すことで
と相手を信用させるのです。

出資額が最初10万、20万だったのが100万、200万…と大きくなってきます。
と疑いをもつ人もいますが、勧誘側と頻繁に会うことで親近感が生まれているため、疑いを口に出すことに抵抗が出ます。
そしてある日突然、勧誘してきた本人は連絡がつかなくなります。
配当を出せなくなって破綻するか、あるいは資金を抱えて行方をくらますかのどちらかです。
100年以上も前に開発された詐欺手法ですが、現代でも仮想通貨投資だけでなくさまざまな投資案件での詐欺で用いられています。
騙されないためには何に気をつけるべき?
では、このような詐欺に騙されないためには何に気をつけたらいいのでしょうか?
仮想通貨投資で注意すべきポイントは次の通りです。
1. 「確実に儲かる」投資などないと心得る
仮想通貨だけでなくどの投資にも言えることですが、「100%思い通りに儲かる投資」などというものはありません。
ビットコインも2017年12月で200万円台になった頃、「このまま値上がりして1000万円行くかも」と言われていましたが、現実にはそうなりませんでした。
英バークレイズが市場分析の際に用いた感染症モデルでは
とのこと。
そしてその圧力は必ず変動するのです。
値上がりだけを続けることはまずありません。
2. 「100%元本保証」を疑う
「元本保証」は本来、銀行などが預金者からお金を預かった場合、預かった金額を減らさないという約束のことです。
国内銀行の場合は預金保険をかけているので、万一銀行が破たんしても1000万円までは保証されることになります。
ただし預金は金利がほとんどつきません。
つまり、「元本保証」というのは「ローリターン」が前提の「ローリスク」なのです。
投資の世界では
「ローリスク・ローリターン」
の組み合わせが鉄則です。
特に
の世界です。
仮想通貨の取引所は口座開設の際、必ずこのリスクについて説明しています。
「元本保証100%利率50%」というローリスク・ハイリターンは絶対にありません。
3. 社会面・技術面での価値や内容を細かくチェックする
仮想通貨は2018年4月現在でも投機的側面が強い存在ですが、本来の価値は「支払手段」です。
と言われる仮想通貨ですが、
その仮想通貨の
・コミュニティの存在
・上場しているか否か
・決済のスピード
・決済場面の広がり
などを見て投資の是非を決める人もいます。
ちなみに現在80万円~90万円台をうろうろしている「ビットコイン」は、2016年時点で「ビットコインATM」というインフラが海外の多くの国で整っていました。
日本発祥の「モナコイン」も決済できる店舗が国内で増えています。
短期的に「なんでもいいから儲けたい」だけなら、気にすることではないかもしれません。
ただ、長期的視点で投資判断をするなら、技術的な価値や社会的な評価をも意識して調べたほうがいいでしょう。
この他、仮想通貨にまつわる詐欺については、検索すれば既に発生している被害の状況やアヤシイ噂がみつかることがあります。
勧誘されたらその場ですぐ検索することも詐欺防止の対策のひとつです。(執筆者:鈴木 まゆ子)
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