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中国・韓国の「電子決済」普及率は50%以上 日本が20%未満にとどまる3つの阻害要因

ビジネス 経済
中国・韓国の「電子決済」普及率は50%以上 日本が20%未満にとどまる3つの阻害要因

日本の支払いの電子化(今後電子決済と表記する)はどこまで進むのか?

将来の世の中の流れを気にせざるを得ない。

電子化と言っても、単にクレジットカードでの決済だけにとどまらない。おサイフ携帯などもそれにあたる。

どこまで進む?日本の電子決済

日本における電子決済の状況

ただ、その種類が日本の場合、規格が多岐にわたっていることがわかる。

クレジットカードなどは、小売店ごとに存在し(イオンカード、nanako、高島屋、丸井等)、それぞれにVISA、MASTER、JCB、UC、Amexなどのクレジット会社の種類、鉄道においても複数存在(関東圏を主としたSUICA、関西圏を主としたICOCA、北海道を主としたKITAKA)。

日本での電子決済比率を見る限り、現状では低いと言わざるを得ない

リテールテックジャパンの連載コラムで使用されている2016年2月10日に開催のザ・ワールドワイドジャパンの戦略説明会発表資料によると

韓国 : 73%
オーストラリア : 63%
中国 : 55%
米国 : 41%
日本 : 17%

(参照元:リテールテック

中国では、意外かもしれないが日本よりも電子決済が進んでいる

もちろん銀聯カードの普及による電子決済が普及したこともあるが、今では、携帯によるアプリの決済により電子化が進んでいる

普及の進んでいる中国について少し解説いたします。

中国の銀聯カード

≪画像元:中国銀聯≫

中国の電子決済の現状

銀聯カードの普及は電子決済を促進したことは言うまでもない。

代表的な中国銀行、中国工商銀行のキャッシュカードは、銀聯のデビッドカードになっている

よって、お店に行って、この銀聯カードのデビットカードでの支払いは可能である。

現在その銀聯カードをしのぐ勢いで、普及が進んでいるのは、「微信(We Chat)」及び「支付宝(Alipay)」である

中国の3大インターネット会社であるBAT(Baidu―百度、ALIBABA(阿里巴巴)、Tencent(腾讯)のうち、微信はTencent、支付宝はALIBABAが所有する会社のアプリである。

これらの支払いは単にレストランにとどまらず、ホテル、オンラインでの買い物の決済にも使用することができる。

あえて強調するならば、中国ではこの2つのアプリによる支払いができなければ、生活できないくらい普及が進んでいる

身近な例として、日本人駐在であれば、お手伝いさん(アイとも言う)を雇っていることも多いが、そのお手伝いさん(アイさんとも言う)の給与は、現金ではなく微信、または支付宝で支払われていることが多い。

家に買ってくる肉や野菜も微信で支払っており、ごまかしが効かない。タクシーの支払いも可能である。

どこまで進む日本の電子決済

グローバル経済の中にいる日本での電子決済はもちろん進んでいくと予測できるが、いくつか阻害要因を考えてみた

(1) 使用場所の普及

クレジットカードと、中国の微信や支出宝の大きな違いは決済日です

クレジットカードの場合は後日支払いのため、消費者には有利であるが、小売店側に不利となる。

中国の場合は早く現金化したいために、サイトの長いクレジットカードよりも、微信や支付宝等のデビットカードの性格を帯びた決済手段を小売店側が好み、進んだと考えられる。

中国のローカルのホテルでは、クレジットカードが使用できない場所も存在している

そういう考えでいくと、日本で即現金化を必要とするビジネスモデル、例えば100円ショップや格安の散髪チェーン(QB House)等は現金のみというのは納得いく。

(2) 個人情報保護

中国では確かに個人情報の提供は非常に嫌がる。

ただ、微信や支付宝は、携帯番号と身分証明書に紐づけて使用するため、個人情報提供を拒否すると、生活できなくなる。

逆にそうすることによって、金融システムの信用性を担保してきた側面もある

クレジットカードの契約の際に個人情報を記載する必要がある。

日本では個人情報を提供することに非常にネガティブな反応をするし、カード会社では、個人情報の信用情報の審査というステップが踏まれる。

信用情報は、カード会社の間で共通の情報は存在しているものの、やはり身分証明書と携帯番号で縛られた中国の状況と比較すると、電子決済普及の阻害要因になってしまう

(3) 年齢の壁

年齢の壁がある電子決済

個人的にはこの壁が一番大きいような気がする。

中国ではお手伝いさん(60歳代の人を含めて)普通に微信を使用している。

先日の中国の発表では、中国における微信のユーザーは10億人(77%)を突破している。(参照元:BBC

日本では微信に変わるLineのアクティブユーザー数は7,300万人で、人口比約58%となる。(参照元:Social Media Lab

またこの単純比較の数字だけではなく、このアプリを使用した電子決済を比較した場合、もっとこの格差が広がる。(定性情報ではあるが、中国では、微信、支付宝の使用者は1~2回に1度は支払いをしている一方、日本では、Lineの使用者が店頭、オンライン購買で支払手段として使用するのはあまり見かけない)

さいごに

阻害要因は他にも存在するが、できるだけ阻害要因が小さくなり、より便利な世の中になっていくことを願いたい。(執筆者:廣田 廣達)

《廣田 廣達》
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廣田 廣達

廣田 廣達

アジア(主に中国)と日本の様々な違いを価値に変えるビジネスマン。専門はマーケティング、異文化間コミュニケーション。人生の中でほとんど中国人と接し、複眼的に物事を見ることを自負としている。中国での駐在経験や、ライフワークで行った講演会等で得られたことをベースに、今後の日本における生活の変化予測を、専門性の視点で(それぞれの国が評価されていることや、進んでいることを中心に)に取り上げる。 講演実績:三菱総合研究所、日刊工業新聞社、桜美林大学、異文化コミュニケーション学会(SIETAR)など多数 寄稿者にメッセージを送る

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