相続が発生した時の分配

いざ、相続が発生した際には、相続人間でどの資産をどう配分、承継していくかという議論は回避する事が出来ません。

資産というお金に関する取り分を、関係の近い親族間で取り決めるという、あまり居心地のよい場ではないように思われます。

こんな時、不動産の承継について気を付けなくてはいけない事があります。

不動産の承継において、こんなケースがありました

あるケースですが、お父様が事業をされていて、それなりの資産をお持ちでした。

お父様

この方は事業で得られた利益で、都内に商業用ビルをお持ちでした。

立地条件も良く、それなりの賃料収入が入ってくる優良な物件でした。

そのほかにも不動産や金融資産をお持ちではありましたが、資産の価値の大半はこの不動産に集中している…

そんな状態です。

この方の相続が発生した際に起きたのが、以下の事象です。

相続人は3人の兄弟

この方の奥様は既に亡くなられていたので、相続人は子となります。

この方には3人の子供がいました。

3人の息子たち

いざ相続が発生しましたので、この3人での協議(遺産分割協議)が開始されます。

3人ともやはり目がいくのは、この都心商業ビルでした。

しかし重要だったのは、

この3人で各々不動産をどうしていくかという考えが異なる

という点でした。

長男

父から受け継いだ重要な資産であり、これを継続して保有し、代々残していくという考え方でした。

3男

3男は、子供の養育費やら、今後それなりの老後を送りたいという考えが強く、不動産市況が好調な今のタイミングで物件を売却して、お金として受け取りたいという考えです。

2男

2男は、長男、3男のごちゃごちゃとは距離を置きたいという考えで、基本的に長男の指示に従うも、あまり積極的には関与したくないという方向性でした。

3人でもめる

最終的には、1つのビルを3人で共有することに

最終的に長男の意向を尊重しようという流れとなり、不動産の権利を3つに分け、3人での共有物件とする事となりました。

兄弟3人が1/3ずつ、土地も建物も権利を有するという状態で着地しました。

しかし、この協議の中で兄弟間の関係はやや悪化する事となり、この状態の中でその後においては、以下のような事が起きました。

修繕費用は、担保は誰がだすのか

この不動産は相応の規模もあり、また築年数もそれなりに経っていましたので、その後において大規模な修繕工事が必要となりました。

これには1億円近くの工事費用が必要となり、その工事費用は銀行から借りる事となります。

この時に3兄弟の間では、

誰が借主となるのか、

誰が保証人となるのか、

担保は誰が出すのか

という議論が起こります。

最終的に長男が借主となり、2男、3男が保証人となり、かつ2男、3男とも自身の不動産の持ち分を担保提供する結果となりました。

銀行は不動産を担保取得する時に、「一部分だけを担保」とするという事はしません。

不動産の土地建物、持ち分、全体をカバーして初めて「担保」として考えます。

3男としては、そもそも売却が希望だったのに、逆に借入の保証人にならされるは、不動産を担保として提供せざるを得ないは…で長男に対しての憤りがより強まります。

一方の長男は、自身が継続保有したいと言った手前でもあり、関係性の崩れてしまった3男に対して、頭を下げて保証人、担保提供をお願いせざるを得なくなります。

結果的に、兄弟間の関係はより一層悪化する運びとなりました。

兄弟間の関係は悪化

総括

相続人間で方向性が共通しているケースでは問題はないのですが、兄弟間で異なる考えがあった際に、不動産を共有することは、後々のトラブルとなる事が非常に多いです。

できる事ならば、不動産は1人で完全に保有するという事を前提に、相続では考えるべきなのです。(執筆者:松野 のりこ)