「消費者金融」って、どうしてこんな名前で呼ばれるか知っていますか?
「サラ金」なんていう呼び方をすることもありますよね。
それは、消費者向けの金融だからです。
当たり前だなんて怒らないでくださいね。
つまり「消費者金融」は、以前は「大口金融」つまり「事業者向けのローン」が一般的だったのです。
「消費者(一般人)向けのローン」は貸し倒れのリスクが高いので、ほとんどなかったんですね。
住宅を抵当に入れる「住宅ローン」は、例外ですよ。
しかし、それは完全に過去の話になりました。
分類上は、完全に消費者向けのローンなのに「消費者金融」でないものまで、たくさん登場していますよね。
・クレジットカードによる分割払いとリボ払い
・クレジットカードによるキャッシング
最近ではカードを使わずにスマホ決済で消費者向けローンが組めるようになっています。
便利なものです。
しかし、利益を生む見通しがある事業用ローンとは異なり、消費者向けローンは、利用者の毎月の収入だけが返済の頼り。
それゆえ金利も高いので、これが家計を圧迫するわけです。
今回は、その消費者向け金融がなぜいけないのか。
「消費者金融」以前に立ち返って考えてみたいと思います。
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目次
親戚や友人から借りていた
「消費者金融」以前にも、失職や入院、災害などで火の車になっていた家計はたくさんあったはずです。
それでは、その人たちはどうやってお金を工面して生き延びたのでしょうか。
「消費者金融」は無いので、それ以外からお金を借りなければなりません。
どこでしょうか?
それは、親戚や友人など自前の人脈を頼るしかありませんよね。
企業にお勤めの方なら、上司に給料前借りを頼んだり、互助組合を利用するという手もあったでしょう。
そうやって、お金を持っている人と顔を突き合わせて、恥を忍んで借金したのです。
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そこではきっと、こんな会話がなされたのでしょう。
B: 「いや、ウチも今月苦しいんですよね。まったくお貸しできないことはないんですが…。いったいどうしたんですか?」
A: 「~~~」
B: 「そういうことなら仕方ないですね。これだけお貸ししましょう。お返しはあるときでけっこうですので、お気になさらないでください。」
さてここで問題です。
この会話が成立するために、Aの「~~~」に入れるべき、適切なものを(1)~(3)から選びなさい。
(2) 「友だちに、海外旅行に誘われてしまって…」
(3) 「子どもが病気で、手術費用がかかってしまって…さらに入院費用も必要で…」
はい。愚問ですね。
答えは(3)です。
友人が(1)を言って来たらケンカです。
縁を切るかもしれません。
(2)は、わが子が言ってきたなら貸してしまうかもしれませんね。
もしかしたら関わりが深い親戚や友人なら、(3)の事情なんて先刻承知でしょうから、即答で貸し借りが成立する可能性もあります。
「消費者金融」がゼイタクを加速させている
この話から見えてくること。
それは、「消費者金融」以前の社会では、手持ち資金のない人はアイドルの限定グッズや海外旅行を購入できなかったということです。
ゼイタクのための借金はできなかった。
反対に言えば、お金を持っていない人が、それらのゼイタクをすることを、「消費者金融」が可能にしたのです。
「金融は経済の潤滑油」とはよく言ったもので、「消費者金融」のおかげで、きっと嗜好品の売り上げは伸びやすくなったのでしょう。
雇用だって増えやすくなったのかもしれません。
しかし、です。
その借金、親戚や友人に言えますか?
「ゼイタクをたくさん購入する」
いや、もう「無駄遣いをする」と言い換えてしまいましょう。
「消費者金融」以前の社会には、無駄遣いにブレーキをかけるしくみがあったわけですよ。
それは、顔を合わせて恥を忍んで借金をお願いするというやりとりです。
だって「金の切れ目は縁の切れ目」。
そんな散財を日常的にしている人からは、どんどん人が離れていってしまいます。
だから通常の感覚を持っている人は、大切な人にゼイタクのための借金をお願いするなんてできません。
ゆえに、ガマンしたはずなんです。
そこに「消費者金融」という借金させてくれる他人が登場しました。
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いやもう他「人」じゃないですよね。
ATMのような機械になってしまいました。
私たちは機械に対して恥を感じません。
だから借金できてしまう。
そして無駄遣いしてしまうんですね。
「後からリボ払い」というのも、そういう心理を巧みに突いた、とてもよくできたサービスだと思います。
ですから、クレジット払いやキャッシングをする前に、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいのです。
言えないなら、その買い物はやめましょうよ。
親戚や友人に借金しても良いのでは?
この話をさらにすすめて、私はこうも思うのです。
金欠の理由が真っ当であるなら、「消費者金融」を使わず、親戚や友人に借金しても良いのではないでしょうか。
「消費者金融」が増えてきて、借金といえば金融機関相手が当たり前になってしまい、知り合い同士で融通しあう文化が失われてしまったように感じています。
「実家が地震の被害にあって…」
「泥棒に入られて…」
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うん。堅実な暮らしをしていて信用できる人柄なら、私は貸します。
夫に相談して、十分説得できる自信があります。
そういえば私が入院していたときやその後、それを聞きつけた何人もの人が、私にお金やいろいろなものをくれました。
ありがたかった。
世の中って、そういうものだと思います。(執筆者:徳田 仁美)