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意外と多い「贈与と相続の誤解」 食い違うあげる側ともらう側の意識

税金 相続・贈与
意外と多い「贈与と相続の誤解」 食い違うあげる側ともらう側の意識

父親から突然の贈与

同級生曰く、

「同居している俺らに110万円贈与したい、なんて殊勝なことを父親が言うので、びっくりしたのだけれど、どうも父親は〇〇信託銀行の相続税対策セミナーで聞いてきたらしい」

「で、もらったの?」と聞くと、「そうなのです。で、今日の分はおごるから」という。

思わぬ贈与をもらった

贈与と相続の誤解

「贈与も相続人にしかあげられない」という誤解は意外に多いです。

原則、死亡が原因の相続は法定相続人しか財産を渡せません。

但し、遺言書を作成すれば、相続人以外の人に財産を渡すことは可能です。

生きている時にあげる贈与は誰にでもあげられます

親族に限る訳でもありません。

生きている時だから、相手から感謝の言葉も聞けます。

一番大切なのは誰にあげたいのか

節税うんぬんの前に、誰にあげたいのか胸に手を当てよく考えて決めてください。

節税うんぬんはもらった人の話です。

あげるほうは、財産が減るだけの話です。

実際にあった話

同居の息子さんの奥様から

「節税になるのに、なんで義父は贈与してくれないのだろう?」

という相談です。

当然です。

節税になるのは息子さんだけだからです。

つまり、父と息子さんたちは、うまくいっていないということなのです。

そのお父さんの気持ちを、想像できていない訳です。

息子さんの奥さんの立場でいえば、「こんなに同居して頑張っているのに」という意識のずれなのだと思います。

なんで義父は贈与してくれないのだろう?

相続税対策になるのは?

相続税では「3年以内の贈与加算」という制度があります。

同居している息子に感謝して、息子に贈与した後、3年以内に相続が発生してしまうと、相続税の節税にはなりません

では、同居している息子の妻に義父が感謝し、贈与したとしましょう。

3年以内の贈与加算「相続または、遺贈により財産を取得した者」(相続税法19条)に限られているので、死亡直前でも父の相続財産に加算されることはありません

贈与は、意思能力も大切

いくら父の通帳から110万円引き出され息子の妻の通帳にお金が入金されていても、あげたはずの父が認知症で判断能力がない状態であれば、贈与が成立してないとみなされる可能性があります

であれば節税にもなりません。

それは息子の妻が義父のお金を「預かっていた」とみなされます。

贈与なら時効でも名義預金なら時効なし

土地売却があり家族名義に分散して預金している、ケースもたまにあります。

これは

・ 本当にあげて贈与したのか

・ 名義を変えただけなのか


取り扱いが違い

ます。


贈与が事実であれば7年で時効成立です。

贈与でなく名義貸しであれば時効はありません

できれば、もらう人とあげる人に自署してもらい契約書を贈与の時点で作成しておきましょう

契約書を作成するのがいい

あげたくないのなら贈与しない

「あげたこと」にしては節税になりません

あげる気持と資金的ゆとりがあり、子供のために節税するなら、相続人の妻とか、孫(相続人でない)人へ判断能力のあるうちに贈与するのがよいです。(執筆者:橋本 玄也)

《橋本 玄也》
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橋本 玄也

執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也 橋本 玄也

父の死をきっかけに相続に関心を持つ。その後、祖母、母の相続と3回相続を経験。自身の体験から相続人の気持ちがわかるFPです。愛知県の会計事務所にて20年近く相続専門の実務担当として様々な体験をし、遺産分割はこれまで500件以上関わりました。まとまる相続、相続人全員の方から喜んでいただくのを生きがいに、おかげさまで在職中担当したお客さますべて、全員の合意による遺産分割を行うことができました。現在は経験を活し、老人会、市役所、商工会議所、ハウスメーカー、金融機関、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会等、講師を行っています。 <保有資格>:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、宅地建物取引士、相続診断士 寄稿者にメッセージを送る

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