今年のはじめに各所で「経済展望セミナー」を開催しました。

その中で、「今年最大の『テールリスク』はチャイナリスクでは?」などと言及して参りました。

今年最大のリスクはチャイナリスク

まず、テールリスクとは?

「テール」とは騰落率分布の端や裾野という意味で、数十年~数百年に一度起こるかどうかのリスクのため、通常、確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な「暴騰・暴落」をもたらすリスクのことをいいます。

正確には、「暴騰や暴落」ということで、必ずしも損失を意味するものではありません。

しかし、実際の市場においては、「ほとんど起こらないはずの想定外の大きな損失が発生するリスク」のことと捉えられています。

セミナーの中で、その「テールリスクの震源がチャイナにあるのでは?」と申して来たわけです。

具体的には、「中国不動産市況の悪化やシャドーバンキング問題、米中貿易戦争などを発端とする中国景気失速リスク」のことです。

中国の非金融企業の債務は、GDP比で160%と、10年前の90%台と比べても大幅に増えてきています

債務をこれ以上膨らませないように動く政府に対して、このままでは、早晩資金繰りに行き詰まる企業も多くなると思います。

また、トランプ政権は7月10日に「約2,000億ドル相当の中国製品への10%追加関税」措置原案を公表しました

貿易戦争が深刻化

このまま、両国間の貿易戦争が深刻化すると…

筆者が一番懸念しているのは、「自動車産業への追加関税」です

もし、そうなった場合、一説によると日本の自動車メーカーにも2兆円以上の負担がかかるという試算もあります

このように、世界中を巻き込んだ景気失速。

まさに、リーマンショックと同様、「普通は起こらないであろうけど、もし起こったら大変な暴落を招く『テールリスク』」になりかねません。

仮に、貿易摩擦や景気減速で中国株や人民元が叩き売られるようなことになった場合、これまでの問題先送りのつけによって、当局の打つ手が限られるのでは?

といった、世界第2位の経済大国の失速に対する筆者の懸念が、あくまで悲観的すぎる予測であってほしいと思うばかりです。(執筆者:阿部 重利)