最近、よく空き家問題が新聞、テレビで話題です。

・そもそも「空き家」の何が問題で、何故、空き家が多くなったのか

・相続の実務家として相続後の自宅、農地をどうするのか

といった相談を多く受けてきて、見えてきたものがあります。

何故「空き家」が問題か?

何故「空き家」が問題か?

最近、逃走した犯人も空き家に隠れている可能性があります。

空き家は犯罪の温床になり、防災、美観・臭気の問題の問題があります。

また、そもそも所有者不明の不動産、遺産分割が未分割のままで、市役所としても固定資産税の徴収が困難な先になります。

所有者が遠方の相続人がいるので、共有の不動産では、売るのも、貸すのもできません

また、維持管理をする人もなかなかいないといった現状です。

これでは資源の無駄と言わざるを得ません。

何故、「空き家」と「荒れた農地」が多くなったか

親と子が同居していない家が多くなったのが原因の一つです。

相続税の小規模宅地等の特例は、同居していると相続税が安くなる制度ですが、今の時代、同居している親も少ない

これは相続の仕事をしてきて実感です。

両親が亡くなり、子が同居していないため実家が空き家になるケースです。

私自身も、親が亡くなり、多くの調整区域の農地と自宅を取得しましたが、その不動産を売却する選択肢は、まったくありませんでした。

先祖の土地は守るものであり、気持ちの上でもかなり抵抗がありました。

農地が荒れるのは、農業後継者がいない

25年経ち、この農地を子供たちに引き継がせることがいかに大変なことか、最近ようやく気付いた次第です。

農地が荒れるのは、農業後継者がいない

ということです。

それが現実です。

お子さんのいない家が多くなった。

お子さんのいない方が亡くなると、相続人がきょうだい、おい、めいとなるため、相続手続きの音頭を取る人がいない場合がある

相続財産が現金・預貯金のみで、そこその額があれば相続人も動きますが、残された財産が不動産のみであれば、面倒で動く人もいない。

さらに調整区域(原則家が建てられない区域)の不動産の場合は売りにくい

売れないから、専門業者も動かない。

残念ながら、専門業者が動くのは、預金、売却金で報酬を得られる場合です。

ましてや、農地の場合は、固定資産税も少ないためだれも動かない。

草も生え、近隣に迷惑もかける。

農地の場合は、固定資産税も少ないためだれも動かない

未分割の土地では、市町村も固定資産税の徴収が困難です。

家の解体費用がかかる。

売却するにも、家が古いと、取り壊しが前提となる。

取り壊しても、売れるとは限らない。

調整区域で実家を相続した場合

家の相続税評価は固定資産税の評価で、古いものであれば評価も低いが、さらに解体費用を考えると、負の不動産かもしれない

そういった事情も相続人全体で理解し、遺産分割を行う必要があります。

売却時の税金の問題

相続で空き家になった家を売ると譲渡税が安くなる?

これには条件が色々あります。

・両親とも亡くなった時しか使えない。

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋である事。

・死亡時、介護施設にいた場合、適用できない。
(小規模宅地等の制度とは違う)

3年以内の相続税取得費加算も改正され、あまりメリットがなくなりました。

相続した遺産のうち不動産の割合部分すべてを取得費に加算できたのが、今は取得した財産のうち、売却した不動産のみが加算となっています。

つまり経費にできる金額が少なくなったわけです。

生産緑地の問題

2022年に市街化区域で生産緑地に指定されていた農地が、期限で指定解除が可能

2022年に市街化区域で生産緑地に指定されていた農地が、期限で指定解除が可能となります。

農業従事者になることで、固定資産税が安くなる土地=「生産緑地」です。

今は、農業従事者がいないため(30年前は兼業農家が多かった)、2022年になると、生産緑地指定解除希望の人が多く出てきて、土地の価格が暴落する可能性があります。

我が家の、調整区域の農地は、宅地転用が難しい土地であり、将来を考えるとゾッとします。

画期的な農業政策ができ、農地所有者にとっても嬉しい形態ができるのを祈るばかりです。

※調整区域の農地に家を建てるには、日常生活に必要な物品のお店の建築分家住宅である既存宅地(昭和45年11月23日以前より宅地であった)など、さまざまな条件があり、許可制です。(執筆者:橋本 玄也)