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年末調整で、iDeCo(イデコ)の手数料を下げる期限は「9月」 掛金の拠出は「年1回」「年2回」がおすすめ

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年末調整で、iDeCo(イデコ)の手数料を下げる期限は「9月」 掛金の拠出は「年1回」「年2回」がおすすめ

2017年1月から個人型の確定拠出年金、いわゆる「iDeCo」の加入資格が拡大されたので、国民年金の第3号被保険者となり、自分で保険料を納付する必要のない「専業主婦」、または「公務員」についても、新たに加入できるようになりました。

つまり60歳未満の公的年金の加入者であれば、国民年金の保険料の免除者などの一部の方を除いて、誰でもiDeCoを利用できるようになったのです。

これを受けて新規加入者を獲得するための、iDeCoの運営管理機関(窓口となる金融機関)の競争が激しくなったので、以前よりも手数料が下がりました

こういった企業努力に加えて、2018年から掛金の拠出回数に関する、次のような改正が実施されているため、更に手数料の負担は、軽くなっていくのではないかと思うのです。

iDeCo

iDeCoに加入する時と給付金を受給する時には、手数料が控除される

iDeCoに加入する時には、国民年金基金連合会に納付するため、初回の掛金から「2,572円(税込:2,777円)」の手数料が控除されます。

その他に運営管理機関に納付するため、これにプラスして1,000円程度の、加入手数料を控除される場合があります。

ただこれらの手数料が控除されるのは一度だけなので、例えばiDeCoに20年間加入すれば、1年あたりの手数料は約138円(2,777円÷20年)というように、長期に渡って加入するほど、1年あたりの手数料は自然に下がっていくのです。

また60歳以降に掛金とその運用益を、老齢給付金として受給する時には、信託銀行に納付するため、給付1回につき「400円(税込:432円)」の給付事務手数料が、老齢給付金から控除されます。

ただ老齢給付金を年金ではなく一時金で受給する、つまり一括して受け取ってしまえば、給付事務手数料が控除されるのは一度だけで済むのです。

また年金で受給する場合でも、支給月の間隔を広げていけば、給付事務手数料が控除されるのを少なくできます。

iDeCoに加入する時と給付金を受給する時には、手数料が控除される

掛金から控除される手数料は、運営管理機関によって違いがある

このように加入する時と、給付金を受給する時の手数料は高いのですが、それを下げるための手段があります。

しかし拠出した掛金から定期的に控除される、次のような手数料については、運営管理機関を変更しないと、下げるのが難しかったのです。

(1) 事務手数料
国民年金基金連合会に納付するため、掛金が引き落としされる時に、その中から「96円(税込:103円)」が控除されます。

(2) 資産管理手数料
信託銀行に納付するため、掛金が引き落としされる時に、その中から「60円(税込:64円)」が控除されます。

(3) 運営管理手数料
運営管理機関に納付するため、掛金が引き落としされる時に、その中から「無料~450円(運営管理機関によって異なる)」が控除されます。

このように(1)と(2)の手数料は、どの運営管理機関を選んでも同じなのですが、(3)の手数料は運営管理機関によって、かなりの違いがあるのです。

元本確保型だけを選択していると、手数料負けする場合がある

元本確保型だけを選択していると、手数料負けする場合がある

拠出した掛金から定期的に控除される(3)の手数料が、

高めの運営管理機関

を選んだ場合、1回あたりの控除額は617円(103円+64円+450円)で、

年間だと7,404円(617円×12回)

になります。


その一方で低めの運営管理機関を選んだ場合、1回あたりの控除額は167円(103円+64円+0円)で、年間だと2,004円(167円×12回)になります。

このように手数料が低めの運営管理機関を選んでも、年間だと2,004円になりますから、拠出した掛金を運用する金融商品として、例えば元本確保型の定期預金しか選択していない場合、掛金の運用益より手数料の方が、高くなる可能性があるのです。

iDeCoは掛金の拠出による節税効果があるため、やむを得ないと考えている方もいるようですが、このような手数料負けを繰り返していると、掛金は増えていきません

掛金の拠出を1年に1回にすれば、手数料の納付を節約できる

掛金の拠出を1年に1回にすれば、手数料の納付を節約できる

iDeCoの掛金は従来であれば、毎月拠出する必要があったのですが、2018年以降は12月分の掛金から、翌年の11月分までの掛金(実際の納付月は1~12月)の拠出期間を1年とし、この中で1回以上掛金を拠出すれば良いことになりました。

つまり従来であれば掛金を、1年に12回拠出する必要があったのですが、12回分の掛金をまとめて1度で拠出するというように、1年に1回でも良くなったのです。

拠出した掛金から控除される手数料のうち(2)と(3)は、掛金の拠出を1年に1回にしても、12回拠出した場合と同じように納付する必要があります。

しかし(1)については、掛金の拠出を1年に1回にすれば、11回分の1,133円(103円×11回)を、納付する必要がなくなります。

結果として(3)の手数料が、高めの運営管理機関を選んだ場合、年間あたりの手数料は6,271円(7,404円-1,133円)まで下がります。

また低めの運営管理機関を選んだ場合、年間あたりの手数料は871円(2,004円-1,133円)まで下がるため、手数料負けするのを、かなり回避できると思うのです。

掛金の拠出を年2回にすると、年末調整の準備がスムーズに進む

掛金の拠出を年2回にすると、年末調整の準備がスムーズに進む

掛金の拠出を1年に1回にして、年間の拠出限度額を一括で拠出

する場合、

掛金が引き落としされるのは12月

になります。


このようなケースでは年末調整で控除を受けるために必要となる、「小規模企業共済等掛金払込証明書」と記載された証明書を、お勤め先の会社が定めた提出期限までに、提出できなくなる場合が多いのです。

その理由として1~9月に掛金が引き落としされた場合、11月頃に証明書が郵送されるのに対して、1~9月に掛金の引き落としがなく、10~12月に初めて、掛金の引き落としが行われた場合、翌年の1月頃に証明書が郵送されるからです。

結果として年末調整で控除を受けられない場合には、自分で確定申告を行って、控除を受ける必要があります。

自分で確定申告するのを負担に感じる方は、証明書の代わりとして、掛金の引き落としがわかる通帳のコピーなどが使えないのかを、お勤め先の会社に聞いてみます。

また証明書が郵送されてから1月末までの間に、再年末調整ができないのかを、お勤め先の会社に聞いてみます。

ただこれらの手段を使えたとしても、年末調整や再年末調整に間に合わない場合があるのです。

そこで9月を仮の期限と考え、1~9月までのいずれかの月に、1回目の掛金が引き落としされるように設定し、その月で使いきれなかった残高を、12月に引き落としというように、掛金の拠出を年2回にするのです。

そうすれば上記のように11月頃に証明書が郵送されるため、年末調整の準備がスムーズに進むのです。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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