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【景気拡大が更新中】戦後最長になりそうなほど景気がいいのに…実感が湧かない3つの理由と2つの対策

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【景気拡大が更新中】戦後最長になりそうなほど景気がいいのに…実感が湧かない3つの理由と2つの対策

新卒は10人に9人が内定、正規雇用も増えている

新卒は10人に9人が内定正規雇用も増えている

厚生労働省と文部科学省が2018年3月16日に発表した、2018年の春に卒業する大学生の、2月1日時点での就職内定率は、前年比で0.6ポイント上昇して91.2%となり、過去最高を更新したそうです。

また厚生労働省が2018年7月31日に発表した、6月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.02ポイント上昇して、1.62倍になりました。

このように有効求人倍率が2か月連続で1.6倍に達するのは、1974年1月以来にですから、「バブル景気」(1986年12月~1991年2月)のピーク時の、1.46倍(1990年7月)よりも高いのです。

また同月の正社員の有効求人倍率は、前月より0.03ポイント上昇して1.13倍となり、過去最高を更新したため、パートなどの非正規雇用ばかりではなく、正規雇用の求人も増えているのです。

かなり景気がいいはず…

こういったデータを見ていると、少子高齢化や人口減少の影響もありますが、かなり景気が良いとわかります

ただ景気が良いとしても、2012年12月から始まった景気拡大が、高度成長期の「いざなぎ景気」(1965年10月~1970年7月)を超えて、戦後2番目の長さになったことや、2019年1月まで続けば戦後最長になることには、少し違和感を覚えるのです。

その理由として豊かになったという実感があまり湧いてこないからであり、現在のところ戦後最長である、「いざなみ景気」(2002年1月~2008年2月)の際にも、同様だった記憶があります。

このように景気拡大が戦後最長を更新する勢いなのに、豊かになったという実感が湧かない理由について考えてみると、次のようなものが挙げられると思うのです。

理由1:経済成長率の勢いが以前よりも弱い

経済成長率の勢いが以前よりも弱い

現在の景気拡大に記録を抜かれるまで、景気拡大の長さが戦後2番目だった、いざなぎ景気の時の実質経済成長率は、年平均で11%くらいありました。

また現在の景気拡大に記録を抜かれるまで、直近で有効求人倍率がもっとも高かった、バブル景気の時の実質経済成長率は、年平均で5%くらいありました。

それに対していざなみ景気の実質経済成長率は、年平均で2%前後しかなく、現在の景気拡大は今のところ、これよりもさらに低くなりそうな見通しです。

つまり現在の景気拡大は、長く続いているのですが、その勢いがいざなぎ景気やバブル景気よりも遥かに弱いため、豊かさを実感できないというわけです。

理由2:企業が賃上げに対して慎重になっている

冒頭で紹介しましたように、現在の景気拡大の中で、就職内定率や有効求人倍率などの雇用関係の指標が、過去最高を更新しております。

その他にも頻繁に過去最高を更新しているものがあり、それは企業が蓄えた内部留保(利益剰余金)です。

財務省が2018年3月1日に発表した、2017年10~12月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除いた全産業の、2017年末時点の内部留保は、前年同期比で11.2%増の417兆2,895億円となり、過去最高を更新しました。

なお2012年度末の内部留保は、304兆4,828億円だったので、2012年12月から始まった景気拡大により、100兆円くらい内部留保が積み上がったと考えられます。

政府関係者は経営者などに対して、内部留保を投資や賃上げに活用して欲しいと、何度も催促しているのですが、慎重な姿勢を崩さない企業が多いようです。

このような理由などにより、労働者の賃金が上がらないため、豊かさを実感できないのです。

理由3:賃金から控除されるものが増えている

賃金から控除されるものが増えている

企業が慎重な姿勢を崩さず、賃金が上がらない中でも、賃金から控除される所得税や住民税、健康保険や厚生年金保険の保険料は、増え続けているのです。

特に負担が増しているのは厚生年金保険の保険料であり、2004年から2017年までの14年連続で、毎年0.354%(本人の負担分:0.177%、事業主の負担分:0.177%)ずつ、保険料率が引き上げられました

月給が30万円の場合

2004年の引き上げ前… 月給から控除される保険料は2万370円

2017年の引き上げ後… 2万7,450円

その差額は7,080円(2万7,450円-2万370円)です。

同時期の健康保険は、月給が同じ金額で、東京都の協会けんぽに加入し、介護保険に未加入の場合、月給から控除される保険料は1万2,300円だったものが、1万4,850円に増えるため、その差額は2,550円(14,850円-12,300円)です。

ですから両者を併せると、

2004年から2017年までの14年間で、月に1万円くらい保険料の負担が増えている

のです。


このように賃金が上がらない中で、賃金から控除されるものが増えているために、豊かさを実感できないのです。

対策1:企業は賃上げに対して慎重な姿勢なのに、配当金は引き上げしている

最初に紹介した経済拡大の勢いが、以前よりも弱いという問題は、個人の努力ではどうしようもできません。

しかし2つ目の賃金が上がらないという問題は、例えば近年は容認する企業が増えている副業を実施すれば、対策になると思うのです。

また企業は賃上げに対して、慎重な姿勢にもかかわらず、株主に対する配当金は2000年辺りから、ハイペースで引き上げしております。

ですから株式を購入して株主になり、その企業から配当金を受ければ、賃金が上がらない分を、いくらかはカバーできると思うのです。

例えばミニ株であれば少額から売買ができ、また現在はNISAのような、投資の儲けに対して課税されない制度がありますから、こういったものを活用して、投資を始めれば良いと思います。

株主になろう

対策2:民間保険の保障内容の見直しにより、保障全体としての負担を軽くする

生命保険、医療保険、個人年金保険などの民間保険は基本的に、社会保険の保障の足りない部分を、補うために加入するものです。

つまり社会保険と民間保険をセットにしたうえで、自分や家族に対する保障が十分なのかを、考える必要があるのです。

またこの2つのうちの社会保険の保険料は、個人の努力で引き下げるのは難しいのですが、民間保険の保険料は保障内容の見直しにより、個人の努力で引き下げられます

このようにしてセットになったものの、片側(民間保険)の保険料を引き下げすれば、それぞれが必要とする保障全体で見ると、以前より負担が軽くなるのです。

月給が30万円の場合

民間保険の保険料を月に1万円くらい削減できれば、社会保険の保険料の負担が月に1万円くらい増えたとしても、プラスマイナスで負担増はゼロです。

また月に1万円を超える削減ができれば、社会保険の保険料の負担が月に1万円くらい増えたとしても、保障全体としては以前より負担が軽くなります。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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