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台風21号が過ぎ去ってから1か月以上経過
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今もあちこちで修繕の遅れが目立ちます。
農家のビニールハウスにも大きな被害が出ていて、特産物の出荷ができず、再建について頭を抱えています。
住宅地では、ブルーシートを屋根にかけていて、修繕待ちをしている家が多数あり、マンションではベランダ部分や窓に板を貼り付けているところがあります。
最終回となる今回は、自治体が行っている支援金や融資制度のこと、減免・猶予制度のこと、台風21号で出た問題点を紹介します。
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今回の台風から出てきた問題
台風21号の被害を関西圏全てと見てみると、大阪市内中心部でも、想像を超える大きな被害がでました。
大阪市内のマンションでは、近所のビルの外壁が剥がれて、マンションに直撃し、多くの部屋のベランダが壊れました。
被害額が大きいため、住民とビルの所有者および企業での話し合いが行われています。
保険会社や修繕を請け負う工務店や自動車会社は、被害を大きさから、現在も対応が間に合わない状況が続いています。
自治体では支援金制度や融資制度の対応が、ようやく始まったところです。
り災証明書の扱いや、支援制度も、調べてみると対応や受付期間に差が出ていることもわかりました。
火災保険に加入していなかった世帯となると、修繕費などの支払いが発生すると貯蓄に影響がでます。
各市町村で行われた「支援金・見舞金」制度
自治体が現在行っている支援制度には、どのようなものがあるのでしょうか?
各市町村によって、「支援金」や「見舞金」と呼ばれて支給される制度が行われています。
対象の被害度で制限があり、
・ 全壊
・ 半壊
・ 床上浸水(床下浸水でも受理される場合あり)
を対象として、支援金や見舞金を出しています。
「支援金」については、生活への支援を目的としたところや、住宅改修への支援を目的としたものと分かれ、
・ 改修費にかかった費用の一部負担
・ 1回のみしか申請を認めない
・ 塀・車庫(カーポート)など家から分離している箇所は適用外
・ り災証明で「全壊」・「半壊」が条件
としているところが多く、申請期間は改修時間を考慮して、なるべく長期にしてあります。
さらに条件が付け加えられているところがあり、受付期間も限られているので、申請する時は、自治体に問い合わせてください。
【参考資料】
「泉佐野市・台風21号の被害による住宅改修工事に対する支援金」
「堺市・住宅被害に見舞金支給」
大阪府が行っている住宅修繕融資制度
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この制度は、大阪北部を震源とした「大阪北部地震」にも適用されていて、台風21号の被害にも適用となりました。
融資金利はなしで、返済期間は10年としています。
1被災住宅あたり200万円以内(全壊・大規模半壊・半壊は300万円以内)としていて、指定金融機関で申請を受け付けとしています。
今回、大阪府が行った融資制度については、
・ 「大阪北部地震」のり災証明書
・ 台風21号のり災証明書
を発行されていて、2つのり災証明書を持っている方がいます。
2つ以上(台風24号でも被災しているケース)のり災証明書を持っていても、「1被災住宅あたり200万円以内(全壊・大規模半壊・半壊は300万円以内)」の条件を適用するとしています。
【参考資料】
「大阪府版被災住宅無利子融資制度」
り災証明書の発行期間を延長しているケース
大阪北部以外の地域で、修繕待ちしている家では、被害が出始めているところもあり、一部損壊が「半壊」になっている場合もあります。
り災証明書を取っていなくて、保険会社の申請する場合は、どうなるのでしょうか?
り災証明書は、本来は長期間受付を行わないのですが、台風21号の後に台風24号の影響を受け、特別に台風21号での被害として、り災証明書の受付期間を延長している地域があれば、9月末で打ち切っている地域もあります。
住民からの要望により、「急遽必要となった理由」を書いた理由書をつけての申請を可能とした自治体があるので、受付期間や必要書類(写真はもちろん必要です)を必ず問い合わせてから、申請しましょう。
万が一、発行がされない場合は、保険会社へ問い合わせをして、指示を受けてください。
り災証明書で減免を受けられる措置
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被害の判定内容によりますが、り災証明書を発行してもらっていることで、減免措置を受けられることが出てきます。
「減免」とは税金や保険料などの負担を軽くすることや免除する制度です。
代表的なもの
・ 固定資産税・市税・都道府県税の減免
・ 介護保険料の減免と減額、利用者負担の減免
・ 国民健康保険料の減免や納付猶予、一部負担金の減免と徴収猶予
・ 国民年金の免除と納付猶予
が市町村で手続きすることで、税金や保険関係のお金を軽くできます。
この他に、私立学校に通っていて、今回の台風で大きな被害を受けた世帯は、「私立学校生の授業料の減免措置」を一定期間受けられます。
り災証明書は必ず必要で、り災証明書の内容次第では、減免が受けられないことがあるので、通っている学校の事務所に問い合わせをお願いします。
この他にも、減免対象となるものがありますが、年金関係は、減免や猶予を受けることで、今後の年金受取額に影響が出ないか、確認してください。
実際に被害にあった筆者による4回の連載はここまでですが…
台風21号は多くの被害を出し、今でもさまざまな地域で普通の生活に戻りたいのに、戻れない家庭はあります。
台風21号での寄付金・義援金は各団体や企業が募っていて、2018年10月末で締め切るところが多いです。
「ふるさと納税」をすることで、被害を受けた市町村の財政や市民への救済金を助けることになります。
被災地を助けるひとつの手段であり、あわせて節税対策にもなります。
天災は、いつどうやってくるかわかりません。
この機会に、保険関係の見直しはもちろん、台風被害にあった時の対応などを、少しでもいいので、考えてみてください。(執筆者:笹倉 奈緒美)