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日銀の政策変更で、8月以降の全期間固定金利は軒並み上昇
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日銀の政策変更により、フラット35に代表される、全期間固定金利型の住宅ローン金利が上昇しています。
今回は、この住宅ローン金利上昇を逆手にとって、フラット35を上手に利用する方法を解説します。
日銀のマイナス金利政策は、目標とする物価上昇率2%の達成よりも、金融機関の利ざや縮小による収益悪化をもたらしています。
さすがにこのままではマズイと考えたのか、7月まで10年物国債の利回りである長期金利の誘導目標を0.1%程度にするとしていたものを、0.2%程度の上昇までは容認する姿勢を示しました。
この報道を受けて長期金利は急上昇し、それまで0.03%程度だったものが0.1%程度で推移しています。
この長期金利の上昇により、長期金利に連動する住宅ローンの全期間固定金利も軒並み上昇し、上昇幅としては0.1%程度とかなり大きくなっています。
今後は、「金利引継特約付きフラット35」の利用も視野に
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ここで注目したいのが、フラット50に導入されていた仕組みをフラット35にも導入した「金利引継特約付きフラット35」の利用です。
もともと、フラット50は50年返済と長期に渡るため、融資対象となる住宅は長期優良住宅に限られ、50年間の間に住宅の売却も考えられることから、金利引継特約が付されています。
この金利引継特約とは、住宅の購入者の同意があれば、売却者が受けていたフラット50の金利水準で、購入者がそのまま返済を継続できるものです。
*購入者に別途審査があります。
例えば、現在のフラット50の金利は2%程度ですが、10年後の売却時の金利が3~4%程度であった場合、金利引継特約を利用すれば、購入者は2%程度と、市場よりも有利な金利水準でフラット50を引き継げます。
そして、このインセンティブは住宅の市場価格にも有利に働くため、住宅売却も恐らく有利な条件で進めることが、できるものと考えられます。
10年後の売却時の金利が現在と同程度であったり、購入者が引継を希望しない場合は、通常の売却手続きで進めることも可能です。
つまり、フラット50を利用している住宅には当初から有利なオプションが含まれており、それをフラット35にも適用したのが、「金利引継特約付きフラット35」です。
「金利引継特約付きフラット35」の利用条件
金利引継特約付きフラット35は、フラット50の制度がベースになっているため、フラット50の条件に準拠しています。
融資対象の住宅は、長期優良住宅です。
また、取扱金融機関がフラット35を専門とするモーゲージバンクや、一部の地銀、信金、信組などに限られます。
ただし、全期間固定金利に関しては、今までよりも金利上昇の可能性が高く、金利引継特約付きフラット35やフラット50の仕組みを活用する価値は、十分にあると考えられます。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)