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相続の疑問に銀行員が回答!【第2回】 死亡したことを、いつまでに銀行へ伝えればいいの?

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相続の疑問に銀行員が回答!【第2回】 死亡したことを、いつまでに銀行へ伝えればいいの?

相続の疑問に、銀行員が答えます!

第2回 死亡したことを、いつまでに銀行へ伝えればいいの?
第3回 預金が凍結されるとどうなるの? ~預金の出金について
第4回 借入が残っていると、どうなるの? ~住宅ローンの場合
第5回 借入が残っていると、どうなるの? ~アパートローンや事業資金の場合
第6回 いまから準備できることはあるの? ~相続のときに困らないために

死亡したことを銀行に伝えるタイミングはいつ?

死亡は銀行にはいつ知らせるか

第1回「死亡すると、銀行はなぜ預金口座を凍結するのか?」の説明を踏まえて、銀行に伝えるタイミングは、

1. 家族(相続人)同士で話し合いをして、全員が納得し、足並みがそろっている

2. 預金が凍結されても困らない

この2つの確認ができてから、銀行に死亡を伝えます

1度伝えたら、取り消すことはできません

家族(相続人)同士で話し合いをして、全員が納得し足並みがそろっていることはトラブルを避けるために重要です。

相続トラブルを銀行が恐れている点です。

預金が多額だと争族になる

30年の銀行員生活でいろいろな相続に向き合い、はっきりと言えるのは「お金があると家族がもめる」ということです。

ひとくちに預金といっても、例えば

「1冊の定期預金を3人で分けるには?」

など、不公平感なく分けるのは簡単ではありません。
 
家族に家族ができると、話しが複雑になります。

「子供の頃から、次男の自分は外に出て自立する、兄は長男なので親の面倒を見る代わりに預金や実家は兄のもの。

父親からそう聞かされてきて、自分もそのつもりだった。

しかし、自分も結婚した。子供もできて教育費などお金が必要になってきた。

今になって思うと、不公平ではないか?

妻にも「お兄さんばかり財産を独り占めして」と責められる。」

これらは、実際に私が対応した相続であった話しです。

こうしたことから、全員が納得し、足並みがそろうまで銀行に伝えるべきではありません

銀行は、死亡したことを聞く以前については関与しませんし、余計な口出しもしません

もめている、あるいはもめそうな場合は、まず話し合いをしてからでも遅くはありません

事態が深刻な場合は、早く凍結させる

もめ事が深刻な場合、相続人が1人で勝手に引き出そうとするかもしれません。

原則、一部の相続人だけでは手続きできません。

ただし、これも絶対ではありません。

最悪の場合、例えば不正な手段を使って引き出される可能性もあり得ます

もちろん不正ですので、これは犯罪になる恐れもあります。

こうした場合、引き出されることの防止に限らず、余計なトラブルをさけるためにも、急いで銀行に伝えて凍結させたほうが良いでしょう。

銀行の判断で預金を凍結する場合

口座を凍結

銀行の判断で家族に断りなしに預金を凍結する場合があります。

もちろん凍結したあとで家族に連絡はしますが、あくまで事後報告です。

これは地方に多いケースです。

例えば地元の名士、地元では有名な会社の社長さんといったいわゆる「著名人」が死亡した場合です。

地域に与える影響も少なくありませんし、本人が死亡したことは誰もが知っている場合が多いです。

こうしたケースでは

悪意をもった人間に預金を勝手に引き出されないようにする遺族の間で相続が紛糾することが目に見えている

といった銀行の判断で、預金を凍結することがあります。

表向きは預金を守るという理由ですが、実際は相続紛糾を予想した銀行の自衛措置です。

著名人が死亡すると、銀行判断で勝手に預金を凍結

死亡した人が著名人だと、家族もそれなりの地位にいる人間が多いものです。

こうした場合、預金を凍結しておかないと、ある家族(それなりの地位)から預金引き出しの依頼があると、断り切れずに引き出しに応じてしまう場合があります。

あとになって相続でもめることになった時に、この引き出しについて銀行が責められることにつながります。

地方の支店、金融機関などでは、新聞のお悔やみ欄を毎日確認して、こうした「トラブルの種」をチェックしているところもあります。

預金凍結については、家族からの苦情なども予想されるため、最近ではこうした銀行判断でおこなうケースは少なくなっています。

融資取引がある場合にも、銀行判断で預金を凍結する場合があります。

こちらは金貸しとして銀行が融資(銀行にとっては債権)を回収するために取る措置です。

「借金だけ残して、預金だけ家族に引き出されないない」という目的です。

預金が凍結されても困らないか?

ひとくちに「預金が凍結される」といっても、実際にどうなるのでしょうか?

「引き出しができなくなる」

「公共料金の自動引き落としを、他の家族口座に変えなければならない」

一般の方がイメージするのは上記のようなところでしょう。

しかし、実際にはもっといろいろな不都合がでてきます。

ですから凍結されても困らないように、準備ができてから銀行に伝えることが大事です。

預金が凍結されても困らないか?

預金凍結とは「氷漬け」

凍結されると、入金も引き出しも、もちろん解約もできません。

つまりは「氷漬け」です。

・ いつも使っていた口座が凍結されたので、当座の生活費も出金できなくなった

・ 公共料金は連絡したが、携帯電話への連絡を忘れていたら、家族全員電話を止められた

・ クレジットで買い物代金の引き落としができず、必要な品物がキャンセルされた

・ 急に凍結されたので、口座に振り込まれるお金が入金されなくなってしまった

このような困ったことが「凍結=氷漬け」されると起きます

事情に応じて対応してもらえるにせよ、普段通りというわけにはいきません。

相続は誰にでもおきること、そしていつ自分の身に降りかかってくるのか誰にも予想できないことでもあります。

預金が凍結されて困らないように、そのための対処法や、前もって準備できるは次回以降に説明します。(執筆者:加藤 隆二)

《加藤 隆二》
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加藤 隆二

執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二 加藤 隆二

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。 寄稿者にメッセージを送る

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