相続の疑問に銀行員が回答!【第3回】 預金が凍結されるとどうなるの?

相続の疑問に、銀行員が答えます!

第3回 預金が凍結されるとどうなるの? ~預金の出金について
第4回 借入が残っていると、どうなるの? ~住宅ローンの場合
第5回 借入が残っていると、どうなるの? ~アパートローンや事業資金の場合
第6回 いまから準備できることはあるの? ~相続のときに困らないために

預金が凍結されるとどうなるの?

口座凍結で生活費もおろせない

給料受取や自動引き落としなど、生活の中心になる口座を銀行では生活口座と呼びます。

預金が凍結されると、いろいろと困ったこと、不便なことが起こります。

出金についての困りごとが一番多いのです。

今回はその内容と、対処法について説明していきます。

メイン口座が凍結されたので、生活費まで出金できなくなった

預金が凍結されると、一切出金も入金もできなくなります。

銀行で機械的に一時停止状態としますので、窓口でもキャッシュコーナー、他の銀行やコンビニATMでも出金はできません

凍結されたカードは、ATMに取込まれてしまう場合ものでご注意下さい。

個人が死亡したあとの預金凍結は、一般にも知られていることですが、実際に自分がその立場になると、かなりの確率で困る人が多いです。

「お父さんの給料口座から、必要な分だけお金を引き出して使っている」

口座を財布代わりにしている、一般家庭で良くあるケースです。

手元に現金を持っている人は意外と少ないものですし、あったとしても決して多額ではないでしょう。

食費・光熱費などの生活費全般、日頃の買い物、子供の学費、お小遣いなど、生活口座を凍結された瞬間から、手元にある現金だけで生活していかなければいけません。

こうなると本当に困ってしまいます。

「生活費だから」と頼んでも、引き出しさせてもらえない

1度預金が凍結されると、相続の手続きまで、一切出し入れはできません

これは、例え生活費が足りないという理由でも原則はダメです。

「本当に生活費に使うのか?」

「実は生活費ではなく、他の相続人に黙って引き出そうとしているのでは?」

これらの真実を、銀行が判断するのは困難です。

事情によって少額の引き出しなら可能な銀行もありますが、葬儀や病院代など一部の特例を除いて、一律に出し入れを禁止しています。

事例:夫の口座に全財産が入ったまま凍結され、奥さんが実家にお金を借りる

【対処法】

1. 家族も含めて、なるべく口座は分散させておく

子供など家族名義で口座を分散しておけば、とりあえずのお金は困らないでしょう

2. 少額でもいいので、手続きすればすぐに受け取れる保険を契約しておく

死亡保険金が1~2百万円といった小口のものでもいいので、手続きすればすぐに受け取れる保険を契約しておくと、これも当座の足しにできます。

小口なら毎月の掛金も少ないので、夫婦で相互に保険をかけておくのもおすすめです。

3. 必要な引き出しをしたあとで、銀行に死亡したことを伝える

銀行に死亡を伝えると、凍結されてしまうので、必要な出金をしたあとで銀行に死亡したことを伝えればいいのです。

窓口で一度に多額な出金をする場合、たとえ奥さんが来店しても、本人に確認の電話をすることがあり、銀行に死亡が判明することもあります。

この場合、出金も断わられてしまいます。

ATMで出金する場合、一日の出金限度が決められているので、手間がかかるし、何度も出金していると目立つので、防犯面でも問題です。

カードが盗難されて勝手に出金されることを防ぐため、連続して多額のカード出金をすると、銀行から連絡がくる場合があります。

出金には裏ワザなどはありません

凍結したら裏ワザはありません

死亡の届け出や、届け出る前の出金については

「〇〇万円までなら大丈夫」

「死亡してから〇〇日以内ならOK」

などといった決まりはありません。

大事なのは、

死亡したら速やかに届け出る

ことです。

死亡したことを隠して、自分の利益のためだけに出金した場合、銀行から「出金したお金を戻せ」といわれる場合があるということです。

預金の相続では、相続人全員の権利を守らなくてはなりません。

ですから一部の相続人が自分の利益のためだけに預金を出金した場合(あるいはそうかも?と疑われた場合)には、銀行は出金されたお金を戻すよう求めます。

出金の理由がこれはダメ、これはOKといった目安など存在しません。

銀行は、特定の相続人が利益を図ることに加担することは、絶対にできません

ここが銀行にとって取り扱いに苦慮する部分でもあります。(執筆者:加藤 隆二)

この記事を書いた人

加藤 隆二 加藤 隆二»筆者の記事一覧 (22)

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。
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