平成30年分の確定申告書等作成コーナーでは、スマートフォンに対応したバージョンも登場しました。
ただしスマホ版のターゲットはサラリーマンの一部であり、自営業者や年金受給者は利用できません。
どんな申告ができるのでしょうか?


目次
医療費控除と寄付金控除(ふるさと納税等)の還付申告のみ
スマホ版で申告できるパターンはかなり限定されており、サラリーマンによる医療費控除・寄付金控除の申告に特化しております。
また所得が本業の給与所得のみで、さらに年末調整が正しく行われていることも条件です。
この状況での医療費控除・寄付金控除の申告は、納付申告はありえず還付申告のみです。
なお医療費控除は、従来型とセルフメディケーション税制の両者に対応しています。
こんな場合はスマホ版で申告できない
住宅ローン控除初年度の申告や、副業その他の所得申告にもスマホ版は対応していません。
副業をしていないサラリーマンでも、例えば下記のようなケースはスマホ版では申告できないことに気をつけてください。
・年末調整で申告した控除に対し修正を行う
・年末調整の計算結果が誤っている
・平成29年分以前に発生した繰越損失の申告を行う
・平成29年分以前の還付申告を遡って行う
スマホ版の作成コーナーを進めて行くと、初期の段階でチェックがあり、申告できない状況が判明した時点でPC版に誘導されます。
従来からスマホでもPC版を使うことができないわけではありませんが、制約がある点には注意してください。

IDパスワード方式e-taxと書面提出に対応
スマホ版は、電子申告(e-tax)と紙で印刷しての提出、両方に対応しています。
ただしe-taxに関しては、マイナンバーカードを利用する形ではできず、ID・パスワード方式に限定されています。

e-taxを利用するためには準備が必要
ID・パスワード方式e-taxは、事前に下記いずれかの手続きが行われていることが条件です。
2. 平成29年分の確定申告を申告会場で行い、本人確認が行われたうえで電子送信している
このいずれかが行われている場合、下記のような届出完了通知が発行されているはずで、この通知を基にe-taxを行います。


ID・パスワード方式は事前に税務署での手続きが必要ですが、添付書類がそろってくる1月中旬を過ぎると、窓口が混みあってくるので待たされる場合があります。
e-taxでは源泉徴収票や寄付証明書などの提出を省略できる
サラリーマンが医療費控除・ふるさと納税の確定申告を行うにあたっては、原則として給与所得の源泉徴収票・寄付金の証明書、セルフメディケーション税制の場合は健康増進取組を証明する書類を提出する必要があります。
医療費・医薬品の領収書については、平成29年分より明細書を提出することで5年間保存すればよくなりました(医療費通知の内容を申告する場合は、通知の提出が必要)。
e-taxでスマホ申告を行った場合は、本来提出すべき書類も提出省略が可能になります(ただし医療費通知は郵送で要提出)。
マイナンバー通知カード・本人確認書類の写しも書面提出では必要ですが、IDパスワード方式の届出で本人確認が行われているので、これらも不要になります。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)