日経平均2万14円で大納会(12/28)を迎えた2018年の株式相場、しかし年明け2019年は大発会(1/4)で400円超の下落。
またその翌日(1/5)は400円超の上昇など、乱高下が激しいと予想される1年を象徴するようなスタートを切りました。
リーマンショックから10年がたち、いざなぎ景気を越える景気回復も、消費税増税を前に息も絶え絶えの状況ではこれまでの理論が通じない局面があります。
株式投資の基本は「安値で買って、高値で売る」ことです。
この水準を切れば安値、と呼べるポイントの1つ「PBR(株価純資産倍率)」を解説しましょう。

目次
2019年の株式相場イメージ
2018年の振り返り
日経平均2万3,506円で始まった2018年、10月の2万4,000円台をピークに12月には2万円を切る水準まで下がりました。
米中の貿易戦争への企業業績悪化が年後半にかけて現実化し、為替相場も米ドル@115円には届かず、米国の利上げも鈍化。
思ったより円安に傾かず、アベノミクス始まって以来の年間下落に陥った年でした。
2019年の株式相場イメージ
今年は残念ながら、株式相場で勝つのは容易ではない年になると予想しています。
世界を見てみると米中貿易戦争は3月で決着するはずもなく長期化、イギリスのEU離脱もスムーズにいかず、ヨーロッパは5月にEU議会選挙で急進派が台頭し政治不安に。
米国も不況に陥ることはないものの、昨年より経済が減速する見込み。
日本の状況を見てみると10月の消費税増税ショックはもちろん、米国利上げが鈍化したことから100円前後の円高局面が予想されており、米国株価が上昇しても円高で日本株式相場は上がらない見通しです。
上昇基調にあった相場が踊り場から下落局面に入る、という弱気な相場予想の時に有効なのがこの「PBR」という指標です。
実際昨年は12/25に日経平均が終値ベースでPBR1.0倍を下回りました。が、それを底値として7%以上上昇して現在に至っています。

株価の水準を表す指標「PBR」1.0倍
株価が高いのか安いのかを判断する指標が、いくつか存在します。
その中でも代表的な指標が「PBR(株価純資産倍率)」です。
企業が実際保有する現金や不動産などの純資産を1株当りに戻し、株価と比較することで1.0倍が基本。
理論的には1.0倍を切ると、解散した場合に株主に満額の資産が戻らない水準(解散価値)となります。
「PBR」で分かること
株価は企業業績が影響するのはもちろんのこと、為替相場などさまざまな要因で上下します。
が、企業が実際保有している純資産1.0倍を切る局面は、直近では2009年のリーマンショック時にしか発生しませんでした。
「株価は上昇、企業業績も上昇」する局面ではこのPBRは1.0倍から1.3倍を超えるなど、株価上昇の方が大きくなります。
しかし「株価下落、企業業績は上昇または横ばい」となる現状のような局面では1.0倍近くに下がってきて、PBRが1.0倍を切ることが起きます。
これが昨年12/25でした。
今年は有効な指標となる「PBR」
ここ数年のアベノミクス局面は株価上昇の局面だったので、PBRが1.0倍以上であることは当たり前でした。
が、昨年の年間下落を起点としてPBRに注目することで、株式相場の割安水準が見極められます。
最近は1日の上下動が大きく、「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる急下落が頻繁に起きるようになりました。
この動きも、一過性のものなのか本当に割安と見て買いに行って良いのかの判断に、PBRを活用してみてください。
今年は日経平均が2万円を切る水準になっても、「割安」と言えない状況が予想されます。
デイトレーダーのように時間単位で相場を確認できない投資家の方は、安心して買える水準を待って投資するのも負けない投資手法だと思います。
なお日経平均のPBRは225社の合計値となるので、ご自身で算出することは不可能です。
日経平均株価AI予想のサイトであれば、時系列を含めデータを入手できますよ。
株式相場は半年先の企業業績を映す鏡、と言われます。皆様の負けない投資の一助になれば幸いです。(執筆者:中野 徹)