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NISA口座の約4割は「休眠状態」

株式や投資信託などへの投資によって発生した、分配金や譲渡益に対しては、原則的に20.315%(所得税:15%、復興特別所得税:0.315%、住民税:5%)の税金がかかります。
しかしNISAを通じて投資をすると、1年間の投資額が120万円の非課税枠以内であれば、分配金や譲渡益に対して税金がかかりません。
このようにNISAは非常にお得な制度なのですが、口座の稼働率はあまり伸びていません。
日本証券業協会のウェブサイトに掲載されていた、2017年12月31日時点における、主要証券会社10社のNISA口座の稼働率は、約6割になっていたため、約4割は休眠状態です。
この理由について考えてみると、NISAを通じて投資できる金融商品には、
・ 株式投資信託
・ 国内外のETF(上場投資信託)
・ 国内外のREIT(不動産投資信託)
など、さまざまなものがあります。
初めて投資にチャレンジするという方が、この中から自分に合った金融商品を選ぶのは困難が伴うため、NISA口座の稼働率が伸びていないと思うのです。
年間の非課税枠は縮小しても、通算だとお得な「つみたてNISA」
2018年1月1日からNISAに加えて、「つみたてNISA」という新しい制度がスタートしました。
NISAは年間120万円の非課税枠を5年分使えるため、通算の投資額が600万円(120万円×5年)までなら、税金はかかりません。
一方でつみたてNISAは、年間の非課税枠は40万円まで縮小するのですが、この非課税枠を20年分使えます。
そのため通算の投資額が800万円(40万円×20年)までなら、税金がかからないため、通算で比較するとつみたてNISAの方がお得です。
現在のところは基本的に、どちらか一方を選択する必要があるため、すでにまとまった余裕資金がある方はNISA、まだ余裕資金のない方はつみたてNISAを、選択した方が良いのではないかと思います。
選択肢が少ないつみたてNISAは、選びやすいというメリットがある

NISAとつみたてNISAのもうひとつの違いとしては、NISAは上記のように選択できる金融商品が幅広く、東証1部に上場している企業だけで、2,000社を超えております。
一方でつみたてNISAを通じて投資できるのは、金融庁が定めた基準を満たしている、長期投資に適した低コストの投資信託(現在は約150本)に限られるため、NISAより選択肢が遥かに少ないです。
ただこれから新たに投資を始める方にとっては、選択肢が少ない方が迷わないと思います。
またつみたてNISAは毎月1回などの定期に、積立投資していくため、投資するタイミングでも、迷わないで済むのです。
なおNISAはタイミングを判断して、一括投資するだけでなく、積立投資も可能なため、つみたてNISAより自由度が高いのです。
つみたてNISAより、さらに選択肢を絞ったiDeCoの法改正
NISAやつみたてNISAと同じように、投資によって発生した分配金や譲渡益に対して税金がかからないiDeCo(個人型の確定拠出年金)という制度があります。 iDeCoは運用中だけでなく、掛金を拠出する時や、拠出した掛金と投資の利益を引き出す時にも、税制面で優遇されています。 その反面でiDeCoは原則として、障害状態になったり、死亡したりしないかぎり、最低でも60歳に達しないと、お金を引き出せないのです。 ですから数年後に使う予定があるお金は、いつでも引き出せるNISAやつみたてNISAに、預けた方が良いと思います。 このiDeCoに加入して掛金を拠出したら、運営管理機関となる金融機関が提示する金融商品の中から、掛金を運用していくものを、自分で選択する必要があります。 ただ選択肢が多すぎると、特に初めて投資をする方は、迷ってしまう可能性があります。 そこで法改正が実施されたため、運営管理機関が加入者に提示する金融商品は、2018年5月1日からは35本が上限になりました。 運営管理機関が加入者に提示する金融商品は、上記のように本数が制限されましたが、それでも選ぶのが難しい、または選ぶのを忘れたという方がおります。 そこで「あらかじめ定められた指定運用方法」、いわゆる「デフォルト商品」の規定が整備され、2018年5月1日から施行されました。 そのため加入者に提示される複数の金融商品の中から、 自動的に決められてしまうのは、少し怖いような気がするのですが、特定の金融商品をデフォルト商品に指定する際には、次のような一定の基準を満たす必要があります。 ・ 物価、外国為替相場、金利その他経済事情の変動に伴う資産価格の変動による損失の可能性が、各運営管理機関の加入者集団の属性などに照らして、許容される範囲内であること ・ 運用から生ずると見込まれる、手数料などの費用を控除した後の収益が、各運営管理機関の加入者に必要とされる水準を、確保すると見込まれること ・ 損失の可能性が収益に照らして、合理的と認められる範囲内であること ・ 手数料などの費用の合計額が、見込まれる収益に照らして、過大ではないこと 運営管理機関がこれらの基準をきちんと守って、デフォルト商品を指定するなら、ベストは無理にしても、ベターな金融商品が指定されるはずです。 またこれらの基準から大きく外れた金融商品を、デフォルト商品に指定していたら、その運営管理機関は評価を下げると思います。 ですから今後はiDeCoの商品選びで迷ったら、 を選択肢に加え、掛金の運用先を検討していきましょう。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司) iDeCo(イデコ)が気になったら、まずは資料請求してみませんか↓デフォルト商品を指定する場合には、一定の基準を満たす必要がある